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■アドラー心理学とは?
アドラー心理学とは、「幸せになるための心理学」です。
この心理学を提唱した「アルフレッド・アドラー氏」は、
オーストリア出身の精神学者/心理学者になります。
欧米では「ジークムント・フロイト氏」「カール・グスタフ・ユング氏」と並ぶ、三大巨頭として評価されていました。
「人は変われる、幸せになれる」という前提にたち、以下のように考えるのが特徴です。
「人は過去の原因に突き動かされるのではなく、自ら定めた目的に向かって動いていく」
「いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも、失敗の原因でもない。
どんな意味付けをするかにより、現在のあり方が決まる」
「人間の悩みは全て対人関係の悩みである。
どんな種類の悩みであれ、そこには必ず他者の影が存在する」
こうした価値観が前提となっています。
特に特徴的なのは、当時、フロイトやユングの提唱していた
原因論(人の感情・行動・症状などは、過去を原因として生み出される)に対して、
目的論(人は過去の原因に突き動かされるのではなく、自ら定めた目的に向かって動いていく)を提唱したことです。
こうした独自の理論に基づく「個人心理学」を体系化した「アルフレッド・アドラー氏」の名をとって
、一般的にはアドラー心理学と呼ばれています。
【原因論と目的論】
■原因論
「原因には結果がある」という前提を持つのが「原因論」になります。
そして以下のように考えます。
過去の出来事が、現在の状況を作り出している、
これまでの出来事が、未来を作り出す。
人の感情・行動・症状などは、過去を原因として生み出される
こうした「原因論」の例は以下になります。
(1)仕事をしすぎて、体調を崩す
(2)異性にフラれたショックで自信を失い、異性に対して、行動する勇気を失う
(3)何かしらの出来事(原因)があって、家に引きこもる/他者と自分を切り離す
(4)「いつも帰りが遅い」という理由で、仕事帰りの夫に対して、怒りをぶつける
■目的論
「人は過去の原因に突き動かされるのではなく、自ら定めた目的に向かって動いていく」
という前提を持つのが、「目的論」になります。
そして以下のように考えます。
(1)人間の行動には目的がある
(2)目的を達成するために、今の状況を作り出している
(3)どんな人間にも究極目標がある(人より優れたい・完璧でありたい・安全を求めたいなど)
こうした「目的論」の例は以下になります。
(1)体を休める、あるいは家族や愛のタスクを満たすために、体調を崩すなど、休養を取らざるを得なくなる
(2)傷つきたくない、あるいは安全でいるために、行動しない選択をする
(3)親の注目を集めたい、あるいは愛を感じるために、引きこもる
(4)夫との愛やつながりを感じるために、怒りの感情を出す
■ライフタスクとは?
アドラー心理学では、人が幸せになるためにクリアすべき課題をあげています。
それを「ライフタスク」と呼びます。
そして人生の目標は、これらをバランスよくクリアすることだとされています。
【アドラー心理学:ライフタスクとは】
●仕事のタスク(ワークタスク)
:仕事・家事・育児・学業など
●交友のタスク(フレンドシップタスク)
:友人・会社の人間関係など
●愛のタスク(ラブタスク)
:家族・親子・夫婦・異性関係など
●セルフタスク
:趣味や健康など、自分自身に関すること
●スピリチュアルタスク
:自然への畏敬・瞑想など
どれも人生や対人関係において、重要なテーマになりますね。
これが、アドラー心理学が提唱する
「人は過去に支配されず、何らかの目的があって、現在の状況をつくり出している」
という目的論であり、原因論との違いです。
もしも問題行動の目的を知らないまま、
原因論のみで考えると「非建設的な行動を取り続ける」ということになりかねません。
実際に、自分を変えられないまま、何年・何十年と時間が経過するケースはたくさんあります。
そのため、行動の目的を探り「目的に沿った建設的な行動」を考え、明確にして、選択し直すことが、
人生や対人関係を変えるポイントになります。
■人生に影響を与える「ライフスタイル」とは?
アドラー心理学のライフスタイルとは、
「自分や世界に対して、どのような意味付けをしているか?」であり、
「人生のおける思考や行動の傾向(パターン)」とも言えます。
その人が「世界」をどう見ているか。
また「自分」のことをどう見ているか。
これらの意味付けを集約させた概念が、ライフスタイルだと考えて下さい。
狭義的には性格とすることもできますし、もっと広く、その人の世界観や人生観まで含んだ言葉になります」
ここでいう世界観や人生観とは、下記3つをひっくるめたものになります。
●自己概念:「私は◯◯である」
:私は必要とされている人間/いなくても良い人間 など
:私は価値のある人間/無価値な人間 など
●世界像:「◯◯は△△である」
:仕事とは、自分を成長させるもの/苦痛なもの など
:お金とは、人を幸せにする/不幸にする など
●自己理想:「私は◯◯であるべき」
:私は会社を引っ張っていくべき など
:世界はもっと住みやすく、平和であるべき など
このように主観的な思い込みが、ライフスタイルです。
そしてライフスタイルは、諸説ありますが、
10歳頃くらい迄に「これでいこう」と決心すると言われています。
もちろん主観的な思い込みですので、事実ではなく、
「勘違い・間違い・刷り込み・親や周囲の影響」など、様々な要因から作られています。
このライフスタイルを変えれば人生は劇的に変わるのです。
では、どうやってライフスタイルを変えればいいのか?
それを4つのステップで解説します。
■ステップ1/自分のライフスタイルを知る
【自分のライフスタイルを知る方法】
●質問を使い、明確にする
自分をどのような人間だと思っているか?
仕事・お金・他者・愛などを、どのように捉えているか?
どんな理想像(私は、◯◯すべき・皆◯◯すべき など)を持っているか?
周囲の人や他者から、どのように見られていると思っているか?
など
●対人関係を通して、自分を知る
人は「対人関係を通して、様々な感情を感じ、自分・相手・出来事に意味付けしている」と言えます。
つまり、対人関係を通した、ものの見方・捉え方を振り返ることで、
あなたのライフスタイルを探ることができます。
この作業を通して自分を客観的に捉えることができるため、
主観や思込みから抜け出し、別のライフスタイルを選択しやすくなります。
■ステップ2/客観的な視点で見る
【ライフスタイルを客観的に捉え直す質問】
・それは本当ですか?
・それは誰が決めたの?
・そう考えること(行動すること)のメリットは何ですか?
など
こうした質問は効果的で、事実ではない主観的な思い込みの存在に気づき、
別の建設的なライフスタイルを選択する助けとなります。
■ステップ3/目的を明確にする
ライフスタイルが持つ「目的」を明確にしましょう。
例えば、「私は愛される価値がない」という、
悲観的なライフスタイル(意味付け)を持っている場合、
そこには「どんな目的があるのか?」を「目的論」を使って探ります。
例えば、以下のような目的があるかもしれません。
・傷つかないため
・安全でいるため
・周囲の注目を集めたい
など
このようにライフスタイルには、目的があります。
さらに目的論の「どんな人間にも究極目標がある」という視点で見るなら、
「私は愛される価値がない」と思うことの究極目標(目的)は、
「幸せになる」「愛を感じる」「他者とつながる」ということかもしれません。
こうしたライフスタイルの持つ「目的」や「究極目標」を明確にするため、以下を行いましょう。
【目的や究極目標を明確にする質問】
・ライフスタイルには、どんな目的があるか?
・目的(上記質問の答え)には、どんな目的があるか?
など
こうして目的や究極目標を探ることで、建設的なライフスタイルを選び直しやすくなります。
■ステップ4/自分の短所を長所に置き換える
自分の短所を長所に置き換えましょう。
例えば「私は飽きっぽい」と思っている人は、その通りの経験を作り出します。
それが自分にとって非建設的だと思う場合は、変えていきたいですね。
この時「飽きっぽい」という主観的な思い込みを「別の言葉に置き換える」ことで、
意味付けを変えることができます。
例えば、「好奇心が強い」や「何かをやめる/始める決断力がある」などのように、
別の言葉に置き換えることで、意味付けが変わります。
そのために行いたい質問の例が以下になります。
【短所を長所に置き換える質問】
・短所を長所に置き換える(言い換える)と、どうなるか?
・短所の中にある良い面は何か?
など
まとめ
しかし、ライフスタイルにしても、目的にしても、 無意識レベルで定着しているものがあります。 たとえば、年収1000万円になりたいという目標があったとしても、 それは、 たんに安定した生活で「仕事なんかしたくない」という究極の目的が、 無意識に持っていたとします。 そうなると、何の行動もしなくて、 結果的に年収1000万円にはなりません。 そんなふうに無意識(潜在意識)のなかで、 どんな目的を持っているのかを探るのは、 ヒプノセラピーの領域です。
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