· 

お金のパワーをうまく活用する方法

お金のパワーをうまく活用する方法

 

 

『ソウル・オブ・マネー』(リン・トゥイスト/ヒカルランド)

 

本書の著者は、3人の子どもを持つ主婦であり、

慈善事業でお金を集める「ファンドレイザー」だ。

 

 

世界から飢餓をなくすために設立されたハンガープロジェクトの中心的人物で、

とくに「ファンドレイジング(資金調達)」の面で手腕を発揮し、

これまでに数百万ドルを越える多額の個人寄付を集めてきた。

 

そんな著者が見つけた「お金と人間の関係」について、

まったく新しい可能性があることを教えてくれるのが本書だ。

 

つまり、お金との関わり方を変えれば、自分を変えられるし、

人生を大きく飛躍させることもできると教えてくれている。

 

 

 

■インドでは施しを受ける行為がビジネスになっている!

 

 「ガンジーの5番目の息子」と呼ばれるラームクリシュナ・バジャジと著者が出会ったときのことだ。

ラームクリシュナは、ガンジーが養子にして育てたという人物だ。

 

ラームクリシュナとボンベイの通りを歩いていると、町の人々が彼の前でひざまずき、彼の足に接吻した。

さらに、施しを求める人々もたくさんいた。

 

だが、ラームクリシュナは彼らを無視する。

 

まるで視界に入っていないかのように、まるで存在していないかのように、

ラームクリシュナは物乞いの人々をまたいで進んでいった。

 

偉大な実業家であり指導者であるラームクリシュナが物乞いする人々を無視していたのだ。

 

変形した手、盲目の赤ん坊、泣きながら旅行者の衣服を引っ張る少女、それはショッキングな光景だ。

 

多くの人は胸が痛み、せがまれるままにお金を与えるだろう。

 

だが、偉大な人物で、思いやり深いラームクリシュナが、彼らを無視する。

 

悲しい現実だが、インドでは施しを受ける行為がビジネスになっていて、

マフィアのようなボスのもとで組織化されているのだ。

 

このビジネスでの成功のかぎは、

どれだけショッキングな光景を演出できるか、

どれだけ可哀想だと思われ罪悪感を抱かせるかにかかっている。

 

だから、ボスは、子どもたちに、より哀れに見える方法を教える。

 

物乞いの人々にお金を与えることは、この綿密に組織化された不正システムを永続させることになる。

 

よかれと思って与えたお金がより大きな悲劇を生むのだ。

もっとも悲劇的な被害者は、教えられた通りに、

片腕を失くしたり目を潰したりしてしまった子どもたちだ。

 

 

自分たちが使っているお金が、どのような結果を作り出すのか、

今一度、考え直す必要があるかもしれない。

 

たとえば、低価格で購入した輸入ものの日用品は、

残酷な児童就労によって生産されたものかもしれない。

 

もし、そうなら、その商品を購入することは、

残酷な児童就労の片棒をかついでいることになる。

 

 

スポンサード リンク

■お金持ちにもハートをオープンに!

 

 著者は、マザー・テレサから深いインスピレーションを得たと言っている。

マザー・テレサは自分のことを「神の鉛筆」だと表現している。

神が自分を通して世界にメッセージを発信しているのだという意味だ。

 

 

マザー・テレサと著者が会見している途中、突然、お金持ちの中年インド人夫婦が入ってくる。

2人とも大柄で香水の匂いをぷんぷんさせていた。

 

挨拶もせず、厚化粧の女性は著者にカメラを押し付け

「私たちは、写真がいるのよ! 撮っていなかったの!」

と文句を言って、著者に写真を撮るように促す。

 

お金持ちの夫婦は、マザー・テレサを椅子から引っ張り出して夫婦の間に立たせ、

マザー・テレサに自分を見上げるポーズを取るように注文をつけた。

 

マザー・テレサは高齢からくる骨粗しょう症によって首から背骨にかけて歪曲していたにもかかわらず、

お金持ちの奥さんはマザー・テレサの顎に手を入れ、

マザー・テレサの顔を無理矢理、上に向けさせた。

 

そして、無事写真が撮れたらひと言のお礼も言わず去っていった。

 

マザー・テレサは何事もなかったように椅子に戻り、著者との話を静かに続けた。

 

著者は、このお金持ちの夫婦に対する怒りでいっぱいになっていた。

別れの時間がやってきて、著者はマザー・テレサと涙ながらに別れた。

 

マザー・テレサは、お金持ちの夫婦に対して何の問題も持っていなかった。

 

 

ホテルに戻った著者は、お金持ちに対する怒りを手紙に書いてマザー・テレサに送った。

数週間後、マザー・テレサから返事がやってきた。

そこにはこうあった。

 

「あなたは、彼らに対してもハートをオープンにしなければなりません。

そうして、彼らの生徒となると同時に、教師にもなるのです。

 

あなたの思いやりを拡大して、彼らをも含めることです。

これがあなたのライフワークのとても大切なポイントですよ。

彼らを締め出してはならないのです。彼らもまた、あなたの仕事です」

 

 

この手紙を受け取った著者は、貧しい人々や餓える人々に献身するのと同じ姿勢で、

お金持ちや権力者にもハートをオープンにし、

思いやりと愛を広げていくことを決心する。

 

このコミットメントが大きく人生を変えると著者は述べている。

 

マザー・テレサは世界102ヵ国で400以上の孤児院を運営している。

 

運営経費は数億万ドルにのぼる。そのお金をマザー・テレサは祈りによって手に入れているという。

だからマザー・テレサは決してお金を貯蓄しなかった。

 

 

 

■欠乏に関する3つの神話

 私たちは「欠乏」という魔法にかかり、その創作された世界で生きていると著者は言う。

「欠乏」は真っ赤な嘘であり、この嘘が私たちの間で、それがまるで真実であるかのようにずっと受け継がれていく。

欠乏に関する神話は次の3つである。

 

 ◇欠乏の神話その(1)「充分には無い」

 全員に行き渡るだけ充分には無い。誰もが成功するわけではない。

人間はあまりに多すぎるし、食糧は充分には無い。

水は充分には無い。空気は充分には無い。

時間は充分には無い。お金は充分には無い。

人々はそう思い込んでいる。

 

この神話に生きていると、椅子取りゲームのように惨めな敗者にならないために努力し競争する。生き残るために戦うのだ。

 

 ◇欠乏の神話その(2)「多ければ多い方がいい」

 もっと、もっとと、人々を急かす考え方が、この「多ければ多い方がいい」だ。

この神話はもっと多くを求める中毒性の習慣となり、

そのプロセスを止めることができなくなる。

どんなにたくさんお金を儲けても、もっと上があり、いつまでたっても勝者にはなれない。

 

 ◇欠乏の神話その(3)「それは、そうと決まっている」

 私たちが何か新しいことをやろうとしたとき、伝統や習慣や常識が、立ちはだかり、

新しい挑戦をやめてしまう。

つまり、あきらめてしまうのだ。

 

何千年もの間、私たちは「充分な資源を獲得するためには、闘い、競争する必要がある」という信念のなかで生きてきた。

しかし、私たち人類は「誰もが健康で快適な生活をするのに充分以上のレベル」に到達しているにも関わらず、

多くの人が闘いと競争が必要だと決めつけている。

「そう決まっている」と思い込んでいるのだ。

 

 

スポンサード リンク

■感謝は豊さへのパスポート

 

 

 意識を欠乏と不足に向けると、人生はすべてが欠乏と不足になる。

それがあなたのテーマソングになり、あなたが思い描くイメージになる。

 

そうなると、どれだけお金があったとしても心の平安はいつまでたってもやってこない。

あなたは欠乏のパワーを増幅させ欠乏と不足を現実に引き寄せてしまう。

 

ところが、私たちは「感謝」によってお金との関係を変えることができる。

いわば、「感謝」は、豊かさへのパスポートといえる。

 

 

では、どうすればそのパスポートを手に入れることができるのだろうか?

 

 

バングラデシュという人口1億3000万以上の国がある。

1900年代にこの国に入植した海外資本によって、樹木は伐採され、戦争によって土地は荒廃し、

毎年起こる洪水が多大な被害をもたらした。

 

1970年代後期には、国連によって世界の貧しい国の第2位に認定され

「援助の洪水」によって、すっかり他国へ依存する国となった。

 

国全体が巨大な「施しを求める鉢」と化し、

バングラデシュ国民自体も、同じようなセルフイメージを持つようになった。

 

 

長期にわたって援助に依存してしまうと、

国民は、成功を可能にする自分自身の有能さも、自国に対するヴィジョンも失ってしまう。

 

そこで著者は、バングラデシュ国民が自分たちの資産の認識と、

アイデアを実行に移す計画と行動につながるプログラムを開発することにした。

 

 

このプログラムから生まれたワークショップが「ヴィジョン&コミットメント&アクション」だ。

著者らは、首都ダッカで1000人以上集まる公園で最初のワークショップを開始した。

 

プログラムは、音楽とともに開幕し、リーダーの挨拶のあといくつかのエクササイズを行った。

 

そしてイメージワーク。

全員に目を閉じてもらい、自立したバングラデシュ国民とは、どんなふうに感じるかをイメージしてもらった。

 

もし、バングラデシュが最高級の物品を輸出しているとしたら、どんな感じでしょうか?

 

もし、バングラデシュが芸術と音楽で有名だったら?

 

バングラデシュのリーダーシップが、世界に貢献していたとしたら? 

 

それはどんなふうに見えるでしょうか?

 

 

1人のバングラデシュ人の男性の目から涙が流れ落ちた。

やがて、静かに泣く姿が次々に増えていった。

1000人以上が肩を寄せ合うなかで、数百の顔が泣いていた。

 

そして、参加者の何人かは「犠牲者」でいることをやめた。

 

 

外部の援助がなくては何もできない、助けが必要な自分たちでいることから降りた。

 

彼らは農地を開墾することからはじめ、湖と魚が豊富に取れる川を見つけた。

政府は彼らに100エーカーの開発地を提供した。

 

自らに、現状の感謝できる側面を問いかけることが、世界に最善を見出す一番の秘訣である。

「問題点」を探すのではなく、「機能している点」を探し、そのことに感謝するのだ。

 

 

■「イーグル(わし/鷲)」と「コンドル(たか/鷹)」の伝説

 

 アマゾンの奥地に暮らすアチュアル族には「イーグルとコンドルの伝説」と呼ばれる予言がある。

数千年の間、「イーグル人」と「コンドル人」の統合の時代がやってくると伝えている。

 

この伝説によると、最初、地上の人間たちはひとつだったが、

やがて2つのグループにわかれて別々の発展を遂げた。

 

イーグル人は、科学と知性を高度に発展させた。

コンドル人は、自然との調和とインスピレーションに長けていた。

 

 

地球の大きな転換点で、イーグル人たちは、科学力や技術力の頂点に達する。

同時に、スピリチュアル面では危機に陥れるほど衰退し、自身の存続自体が危機的状況になる。

 

 

一方、コンドル人たちは、自然と深いレベルでつながり、その洞察力を高度に発展させる。

それと同時に、彼らは物質界での知識と資源に餓え衰退してしまう。

 

地球の新しい段階において、イーグル人とコンドル人が再び統合されると予言されている。

 

それが現代である。

 

イーグル人とコンドル人は、もともとひとつであるということを思い出すことによって再びつながり、

共通の起源を思い出し、知識と叡智をわかち合い、お互いがお互いを救い合う。

 

イーグルとコンドルは翼を寄せ合い、ともに同じ空を飛ぶ時代がやって来たのだ。

 

 

 

スポンサード リンク

■まとめ

 

 

 

 本書には、こんな詩がおさめられている。

 

 私は、強さを求めた

 すると神は、私が強くなるために困難を私に与えた

 私は、英知を求めた

 すると神は、解決することを学ぶための問題を与えた

 私は、繁栄を求めた

 すると神は、働くための脳と腕力を与えた

 私は、勇気を求めた

 すると神は、克服するための危険を与えた

 私は、愛を求めた

 すると神は、助けるための人々を与えた

 私は、願い事をした

 私は、自分が求めたものを何ひとつ受け取らなかった

 私は、自分が必要としていたものを、すべて受け取った