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なぜ瞑想をすると人生が変わるのか?

「なんで皆わかってくれないんだろう?」

「あぁ、なんか良いこと、ないかなぁ~」

これが以前の私の口癖でした。

 

私はお笑い芸人をしています。

芸人というのは舞台でコントを演じるのはもちろんですが、自分たちで台本も書きます。

私はズバ抜けて面白い芸人ではありません。

でも、それにしても私に対する周囲の扱いはひどいものがありました。

 

一生懸命書いていった台本も採用させず、ひどいときには稽古場で読まれもせず、話題にも上らないことすら多々ありました。

ロビーでお客様をお見送りすると、先輩や仲間の前にはファンの方が長い列を作っています。

私の前には誰もいません。

それでも一生懸命笑顔を作っていました。

「絶対に面白いものを作ってやる。絶対に面白くなってやる」

その意気込みは徐々に変化していき、いつしか「俺の方が絶対に面白いはずなのに」に変わっていきました。

先輩達や仲間のネタを見ても「ここはそんなに面白くないんじゃないか?」という所ばかりが目につきました。

 

 

人生を変えるためにボクがやったこと!

面白くなるために、自分が変わるために、あらゆるものにチャレンジしました。

発想法の本も読み漁りました。

自己啓発の本も読みまくりました。

一日に何回「ありがとう」と言えるかにも、カウンターを買ってきて挑戦していました。

 

アファメーションという方法も試しました。

「私は面白い」と口に出して宣言し、自分自身の潜在意識に働きかけるというものです。

毎日毎日続けました。一日に何度も口に出して唱えました。

 

既に自分が理想の自分になったかのように振舞う。

そう聞いて「既に自分が面白い人になった」かのように振舞いました。

しかし周りの評価は変わりませんでした。

 

「自分は既に面白い」

 

そう信じ込めば信じ込むほど、他人のネタの「面白くないところ」ばかりが目につきました。

信じ込んでいる理想と周りの評価という現実のギャップは、私の態度を頑ななものにしていきました。

 

私は仲間からもスタッフさんからも段々と孤立していきました。

 

自分が評価されない苛立ちや自分の頑張りが認められない腹立たしさで、私の心はパンパンになっていました。

 

 

そんなときに色々なチャレンジの一つとして取り組んだのが瞑想でした。

 

と言っても「瞑想が良い」と聞いて、すぐに瞑想に取り組んだわけではありませんでした。

 

正直言って最初はバカにしていました。

「お寺のお坊さんのように座禅を組むなんて時間の無駄だ」

「そんなことで自分を見る周囲の目が変わったら苦労しない」

「そんなことは夢見がちな暇な人間がやること。こんなに忙しい私に、そんなことに割く時間はない」

 

そんな風に思って相手にしていなかった私ですが、ある事実を知って愕然としました。

 

スティーブ・ジョブズが瞑想を習慣にしていたのです。

さらにビルゲイツ、松下幸之助、長嶋茂雄、マドンナ、イチロー、ビートルズ、稲盛和夫なども瞑想を習慣にしていたことを知りました。

 

 

 

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瞑想に取り組んでみたけれど・・・

 

これをきっかけに瞑想、ヨガ、マインドフルネスを扱った本やホームページを調べ始めました。

瞑想を習慣にした一般の方の意見に目が留まりました。

 

「何故瞑想をするのかというと、瞑想をした日としない日では明らかにパフォーマンスに差が出るから」

 

腰の重い私もようやく始めてみようという気になりました。

 

見よう見まねで座禅らしきものを組んでみます。

なんとなく親指と人差し指で輪を作りひざの辺りに掌を上に向けて置いてみます。

軽く目を閉じます。

ゆっくり呼吸をします。

 

吸って~、吐いて~~、吸って~、吐いて~~。

ひざが痛いなぁ。

あれ、背筋はもう少し伸ばしたほうがいいのかな?

何か音が聞こえる。何の音だろう?

そういえば明日までにネタ考えなくちゃいけないな。

あと今日中に銀行からお金もおろしておかなくちゃ。

あ、ダメだダメだ。

無心にならなくては。

 

……そういえば、昨日、あんな事言われたなぁ。腹立つなぁ。

あの人、前にもあんな事言ったし。

あの人だけじゃない、他にもこんな事を言った人が。

ダメだ、ダメだ。無心にならなくちゃ。

 

最初の瞑想は4分しか続きませんでした。

そのたった4分が長かったこと、長かったこと。

おまけに色々なことが思い浮かんで結構クタクタになりました。

 

「全然無心になれなかった」という思いから、やっぱり自分はダメな人間だと落ち込みました。

 

きっと正しい方法で瞑想を行っていないからだ。

私はそう考えました。

 

瞑想の方法に関する本などを探してきて色々読んでみました。

ところが内容が難しかったり、抽象的過ぎたり、本によって言っている事がバラバラだったり、自分に実感できなかったりして、瞑想の方法は結局

 

わかりませんでした。

 

唯一わかったことは「どうやら瞑想にも色々な流派というか種類があって、やり方はまちまちらしい」ということでした。

そうなると正しい瞑想の仕方はますますわかりません。

完全にお手上げになってしまいました。

 

そんななか、心に残るフレーズがありました。

 

「池に小石を投げ入れると波紋が出来る。その波紋を抑えようとして、手で池の水面に触れれば別の大きな波紋が生まれてしまう。波紋は押さえつけず、そのままにしておけば次第に消えてゆく」

 

なるほど。

 

この例えはすっと私の心に染み込んできました。

 

雑念が浮かぶことが悪いことではない。

浮かんでもいい。ただそっとしておく。

そうわかってからは瞑想を続けられる時間がどんどん延びていきました。

 

 

 

不思議なことが起こりはじめた!

 

 

瞑想を始めてから半年ほど経ちました。

 

今では毎日……とまではいきませんが、週に5日くらいは20分ほど瞑想をしています。

半年経った今でも、雑念はガンガン湧いてきます。

 

その全てをそっとしておけるかというと、そうでもなく、結構その雑念に囚われて考え込んでしまうこともあります。

でも、以前に比べれば圧倒的に「ま、いいか」と言う感じで手放せることが多くなってきました。

 

 

すると不思議なことが起き始めました。

 

周囲の人の私への接し方が徐々に、本当に徐々にですが変わってきたのです。

以前は稽古場で発言をしても、まるで議事録から削除されたかのように、私の発言は最初からなかったものとしてスルーされることが多々ありました。

 

ところが最近は私の発言を頷いて聞いてくれたり、そこから話題が盛り上がったるすることも増えました。

会話の最中に意見を求められることも多くなりました。以前では考えられないことです。

 

台本の採用率はまだまだ百発百中とはいきませんが、これもかなり上がってきています。

お見送りのロビーでは「あのコーナー、私、大好きなんですよ」とか「あのネタ、面白かったです」なんて声を掛けてもらえることも増えてきました。

 

まだ列が出来るほどではありませんが。

 

 

瞑想には不思議なパワーがあって、そのパワーが天とつながり、私の周囲の人を変えたのでしょうか?

 

もしかしたらそうなのかもしれませんが、私の考えは少し違います。

 

変わったのは周囲の人ではなく、私なのだと思います。

一番大きかったのは「ま、いいか」と手放すことを覚えたことでした。

 

手放せるというのは囚われないということ。

 

他人からの評価も、それが良い評価であっても悪い評価であっても「なるほどなぁ。そういう考えもあるのかもしれないなぁ」と、ある種「ま、いいか」くらいの感じで、深刻すぎず素直に受け止められるようになった気がします。

 

以前の「何故そういう事言うんだよ。だったらお前だって……」と考えていた時よりも疲れませんし、「これ改善したら、もうちょっとマシになるかも。ありがとう」なんて思えることも増えてきました。

 

同時に先輩や仲間のネタを見ていても「うわぁ。こんなこと、よく考えついたなぁ。凄いなぁ」と感心することが凄く増えました。

「面白いです。ほんと、凄いですね」とお世辞ではなく本心で言えるようになりましたし、それで屈辱感を覚えることもありませんでした。

それに比例して仲間との会話はどんどん増えてきました。

 

 

 

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瞑想時に脳はどのような変化を?

 

よくよく考えてみれば当たり前のことです。

眉間に皺寄せて「俺の方が!! 俺の方が!!」と言ってる奴に私だって話しかけたくありません。

 

自分が何気なく言ったことをありがたがって聞いてくれたり、自分の良い所を見つけてくれたり褒めてくれる人には話しかけたくなりますし、そばにいたくなります。

 

手放すこと、囚われないことによって、心に隙間が出来たのだと思います。

隙間が出来れば相手のことを受け入れるスペースが出来ます。

隙間がなければ相手から与えられるものは「押し付け」になりますが、隙間に収納できれば「プレゼント」として受け止められます。

 

瞑想の効果はそれだけではありませんでした。

手放す習慣は頭の中にも隙間を作ってくれました。

よく脳はコンピューターにたとえられます。

 

 

ちょっと想像してみて下さい。

 

パソコンの中に、もう使わない古い資料や、どうでも良い写真や動画をずっと溜め込んでいたらどうなりますか?

空きスペースがなくなって新しいものが入らなくなってしまいます。

それどころか途中でフリーズしたり、一つの作業にものすごく時間がかかったりと作業効率がガクンと落ちます。

 

 

脳もそれと一緒です。

 

 

他人の評価に対する「心配や恐怖」とか自分の余計な「こだわり」を手放せば、かなり大きな空きスペースが確保できます。

脳はサクサク動きます。

 

それから、これは後から知ったことなんですが、「脳は空白を嫌がる」と言う性質があるそうなんです。

 

どういうことかというと、脳に空白があると、脳は無意識にそれを埋めようと新しいことを考えつくそうなんです。

 

そう、ひらめきです。

 

つまり手放して空きスペースを作れば、アイデアが出やすくなるのです。

これは逆に言うと手放さなければ、アイデアも思いつかないし、他人の意見にも頑なになってしまうということ。

 

どちらの方に人が集まってくるか?

 

一目瞭然ですよね?

 

 

まとめ

瞑想は人生を変える。

そんな訳ないだろ、バカバカしい。

私も以前はそう思っていました。

 

もしかしたら、あなたも「頑なに」そう思っているかもしれません。

もし、自分の頑なさに気づいたら、今が良いチャンスなのではないでしょうか?

瞑想なんて簡単です。

 

とりあえず、やってみる。

 

その後で、他人の意見を参考にしたり、本を参考にしたりしながら「自分の気持ち良いスタイル」になるよう、ちょっとずつ修正を加えていけばいいんですから。

 

だって考えてもみて下さい。

「こうしなければいけない」という正しい瞑想の方法。

それすら囚われていることなんですから。

 

気楽な気持ちで、気軽に人生を好転させちゃいませんか?

 

 

(文・桑山元さん)