何度でも読み返したくなる本があります。
人生で困ったことがあったとき、
目標になかなか手が届かないとき、
どうしても解決したい問題が起こったときなど、
私はいつもこの本を読み返します。
それが
『NLPのすすめ』(ジョセフ・オコナー/ジョン・セイモア)
NLPという言葉はすっかり一般的になってしまいました。
カウンセリングや心理学を勉強する人たちの間で、
NLPを知らない人はいないでしょう。
しかし、
「NLP」って何?
「NLPとは?」
と質問すると明快に答えてくれる人は、
なかなかいません。
NLPとは、
「ニューロ・リングイスティック・プログラミング」の略です。
直訳すると「神経・言語・プログラミング」となります。
創始者は、
カリフォルニア大学の言語学助教授だったジョン・グリンダーと、
心理学科学生のリチャード・バンドラーです。
2人は、
1970年代に、
3人の療法家を研究しました。
・ゲシュタルト療法のフリッツ・パールズ
・家族療法家のヴァージニア・サティア
・ヒプノセラピストのミルトン・エリクソン
この3人です。
そもそも、
ジョンとリチャードは、
新しい治療法の学派をたてるつもりはありませんでした。
ただ、
著名な療法家の用いるパターンを見つけ、
それを他人に伝えようとしただけでした。
療法家たちのパターンを集め、
洗練させ、
論文にまとめ上げたのです。
それがNLPです。
NLPは、
次の分野に役立つことがわかってきました。
1)効果的なコミュニケーション
2)個人に変化をもたらすこと
3)学習の促進
4)人生をもっと豊かにすること
5)その他
たとえば、
ラポール(信頼関係)を築くための方法として、
「交差ミラーリング」という手法があります。
腕や手の動きを、
相手と一緒にし、
マッチさせると、
ラポールが築けるというものです。
声の音調や速さを合わせるのも効果的だと本書にあります。
逆に、
音調や速さを変えて
ミスマッチを起こさせて、
一度ラポールを得た相手の長電話を
やめさせることもできるというのです。
このNLPを応用すれば、
ビジネスで成功することも簡単です。
本書では、
ウォルトディズニーをモデル化して、
ディズニーの戦略を形式化しています。
それは、
次の8つのステップで語られています。
ステップ1/どんなに難しいものでもいいので、
解決したいと思う問題を選びます。
「年収1億円になる」ということでもかまいません。
しかし、いまはその問題を考えないで、
「夢想家」「批評家」「現実主義者」の3人のための、
座席を目の前に置きます。
ステップ2/まず夢想家の席に座って、
自分が創造的だったときのことを思い出します。
座席に座ってその思い出を再体験します。
ステップ3/あなたがある計画をすっきりと効率的に
行動に移したときのことを思い出します。
もし難しかったら、
モデルになるような人のことをイメージしてもいいです。
用意ができたら現実主義者の席に座ります。
ステップ4/あなたが建設的な態度で、
批判したことのある思い出をイメージします。
イメージしつつ第3の席に座ります。
ステップ5/あなたが取り組もうとしている問題や目標を決めます。
そして、
まずは夢想家の席に座って、
あなたの心を開放し、
失敗することがあり得ないとしたら、
何をするかを自分に問いかけるのです。
ステップ6/次に、現実主義者の席に座ります。
夢想家が計画したことについて、
現実主義者として考えてみるのです。
・どうやったら実行できるか?
・現実的にするためにはどこを変えればいいのか?
それを考えていきます。
ステップ7/次に批評家の席に着いて、
現実主義者の立てた計画を調べ、
評価します。
・何か欠けているものはないか?
・他人の協力が必要ならば彼らにとって役立つものはなにか?
・あなたは何を得るのか?
・それは興味深いか?
・どういう結末になるのか?
ステップ8/最後に夢想家の席に戻ります。
現実主義者と批評家から学んだことを考慮しながら、
夢想家として、
計画に創造的な変更を加えていきます。
計画が3つの立場すべてに一致し、
適合するまで、
位置を移動し続けるのです。
この方法を使えば、
どんな目標でも叶えることができます。
いわば、
「1人戦略会議」です。
このような手法が、
本書にはふんだんに紹介されています。
ビジネスで成功するためだけでなく
心の傷や心のブレーキを取り外す方法や、
人間関係を改善する方法、
幅広い範囲に応用できる手法がたっぷりです。
たくさんの手法をすべて覚えきれませんので、
何かあったら、
本書を開くようにしているわけです。
(高橋フミアキ)