100年後DOなってるの?
dainosuque
「100年後DOなってるの?」
西暦2115年、Y染色体の異常により男性が生まれにくくなってしまった。
男の希少価値が上がった。
日本では2008年以降の人口減少も伴い全人口は一千万人だった。
そのうち男性は約百万人だった。
女性による若年層男性への集団レイプが多発した。
日本政府は男性を守るため東京都内に赤ちゃんから四十代を隔離した。
男性はその中で平和に暮らした。
満50歳になった男性は東京都の外に出ても良かった。
彼らは年100万円の特別年金が支給される。
何処に行っても良かった。
サバイバル生活をしても良し、何でもよかった。
50歳以上の男性はほぼ自分でコミュニティを作って女性に働かせて年金は手付かずで暮らしていた。
また、男子を生んだ女性は政府より特別年金一千万円が保証されていたので、女性たちはこぞってコミュニティへ参加した。
僕は今年18歳になったばかりだ。
女装し東京都を抜け出し母を捜す旅に出た。
母の出身である「師匠コミュニティ」に行き、情報を得ようと思った。
僕は一ヶ月、師匠の身の世話をしたり、畑仕事をしたりしていた。
しかし母の情報は得られなかった。
ある晩、夜のお供の番が来た。
月に一回は師匠の夜の相手をしなくてはならなかった。
「そんなに緊張せず、裸になってベットに寝てごらん」
師匠は優しく言い、紺色の作務衣を脱ぎ捨てた。
月明かりに見えるフォルムはとても齢80歳の身体には見えなかった。
「……」
僕は迷う、本当の事を言うべきか言わざるべきか……。
一刻の猶予も無い! 師匠が近づいてくる。
僕は一歩後退りした。
「どうした? 怖いのか?」
「いや違います。その~あのぉ」
「言いたいことがあれば言いなさい」
僕はその言葉を聞き、決心がついた。
「じつは僕は男なんです。東京都から逃げてきました。嘘ついててごめんなさい」
首筋のスイッチを押した。
プシューと音を立てて僕は着ている肉襦袢を脱いだ。
それが抜け殻のようになり床に落ちた。
中から筋骨粒々の身体が出てきた。
それを聞き、師匠はゆっくりと窓際に歩き出した。
と、プシューという音と共に師匠の肉襦袢が落ち、ペニスはポコっと抜け落ちた。
中から女性の裸体が現れた。
さなぎから脱皮した蝶のように美しかった。
裸体を月明かりが照らす。
「じつはわたしも男じゃないの。子供を産んでからずっと師匠の代わりをしてきたわ。あなた名前は?」
何かを諦めたのか、それとも何かを悟ったのか、そんな感情の篭った笑みを浮かべた。
「ケイスケです。先祖ののサッカー選手の名前から名付けられました。3×4(スリーバイフォー)です」
僕は伝説的有名なアスリートのインブリードを持っていた。
「……!」
女性は両手で顔を覆い泣き崩れた。
そして立ち上がると落ち着いた口調で話し出した。
「ケイスケ? 私の先祖があなたのご先祖と恋仲になったのですが、二人は結ばれず終ってしまいました」
何も言わず彼女は僕に抱きついてきた。
僕は無言でそっと彼女を抱き寄せた。
翌日、コミュニティを後にした。
母を捜す旅は続く。
(了)
リンカ (土曜日, 19 9月 2015 17:20)
最後のくだりがちょっとわかりづらかったですが、アマゾネスみたいな男女逆転の世界が面白かったです。続きもので読みたいです。
鈴木康之 (土曜日, 19 9月 2015 00:10)
B
師匠コミュニティの説明があれば、もっと良かった気がします。
桑山 元 (金曜日, 18 9月 2015 10:18)
「A」
なんか不思議な世界観が妙にツボにハマります。
なんなんでしょう?
リアル過ぎる描写や設定とファンタジックな展開なんでしょうか……。
色んな意味で後を引く物語です。