■文章テクニック11/漢字とひらがな
パソコンで文章を書くと、
どうしても漢字が多くなってしまいます。
漢字が多くなりすぎると、
読みづらくなるものです。
もちろん、ひらがなばかりでも読みづらくなります。
つまり、バランスが大事なのです。
日本語というのは、そのバランス感覚を養う、
素晴らしい言語だと思います。
どちらか一方の極端な考え方をせず、
あいまいなグレイゾーンを受け入れることのできる国民性は、
この言語から来ているのかもしれません。
日本語は、中庸の精神を養う言語だと私は思います。
そこで、
私が考える漢字とひらがなのバランスですが、
2:8くらいが適切なのではないでしょうか。
漢字が2割で、ひらがなが8割です。
そして、
・ところ(所)
・とき(時)
・こと(事)
などはひらがなにしたほうがいい場合があります。
たとえば、
私が娘を叱った所、娘は泣いた。
「所」は場所をあらわす言葉です。
しかし、この文は、場所として「所」をつかっていません。
「時」と同じ意味で使われています。
こういう場合は、ひらがなにするほうが妥当です。
私が娘を叱ったところ、娘は泣いた。
他にも、
・困った時は、いつでも相談にきなさい。
⇒困ったときは、いつでも相談にきなさい。
・大切な事を、大切にできない事が人生を狂わせる。
⇒大切なことを、大切にできないことが人生を狂わせる。
明治・大正期の小説を読むと、
下記の言葉は漢字で書いてあります。
たしかに、漢字が多いと、高尚さを感じさせます。
そうしたことを狙って書くのならばいいのですが、
単純に、作者の考えや思いを伝える場合は、
読みづらくなるだけですから、
なるべくひらがなにしましょう。
・貴方 ⇒ あなた
・何方 ⇒ どなた
・何処 ⇒ どこ
・位 ⇒ くらい(ぐらい)
・程 ⇒ ほど
・等 ⇒ など
・其れ ⇒ それ
・敢て ⇒ あえて
・如何にも ⇒ いかにも
・然し ⇒ しかし
・或いは ⇒ あるいは
・又 ⇒ また
・只今 ⇒ ただいま
・御座います ⇒ ございます
・乍ら ⇒ ながら
・即ち ⇒ すなわち
・飽く迄 ⇒ あくまで
・生憎 ⇒ あいにく
※漢字をひらがなにすることを「開く」と言います。
やわらかくて親しみやすい文章にするには、
漢字を開いたほうがいいでしょう。
「御注文」も「ご注文」としたほうがやわらかくて、
読みやすい感じがします。