ついつい食べてしまうという「過食」は、改善できます。
感情を活用すればかなりの「過食」が治るんです。
精神科専門医の水島広子先生は著書『「拒食症」「過食症」の正しい治し方と知識』のなかから、感情を活用してダイエットを成功させる方法をご紹介します。
※詳しく知りたい方は、水島広子先生は著書『「拒食症」「過食症」の正しい治し方と知識』をお読みください。
怒りや不安や恐怖のようなネガティブな感情もすべて意味があるのです。
それは、
「いま、自分が置かれている状況を知らせてくれるシグナル」だということです。
たとえば「悲しい」という感情が浮かんできたら、いま、あなたは何かを失っている状態です。
愛する人を失ったとか、会社をクビになったとか、友人に裏切られたとか、何かを失ったとき、人は「悲しい」という感情に支配されてしまいます。
「怒り」は、「自分の期待が満たされていないか、権利を侵害されているというシグナル」です。
「不安」は、「安全が確保されていないことのシグナル」です。
ネガティブな感情にもそれぞれ意味があったのです。
つい食べてしまうという過食は「自分はダメだと思っている」ことからやってきます。
「お前は、こんなこともできないのか?」
と両親に叱られた経験があると、なかなか自己評価を高めることができません。
時間が守れずいつも待ち合わせに遅刻してしまうとか、なかなか部屋の片づけができないとか、やろうと思っているのにできないということがあると、よけいに「自分はダメな女だ」と思ってしまうのです。
まずは、このネガティブな気持ちにも、ちゃんと意味があるのだということを認めてあげましょう。
「こんな気持ちを感じちゃダメなんだ」と否定することを辞めましょう。
「自分はダメだなぁ」というネガティブな感情が浮かんできたら、自分を責めずに、こう思ってください。
「ああ、そういう気持ちが出てくるような状況に置かれているんだなぁ」
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ネガティブな感情を受け入れるには、誰かに聞いてもらうことが有効です。
感情は、安全な人に話して受け入れてもらうと、自分でも受け入れが進むものです。
「それは頭にくるね」
「誰でも心配になるね」
などと聴いてもらうと、自分の感じ方がおかしくないということが納得できますし、自分の現状位置の確認がさらに進みます。
しかし、友人や家族に話を聞いてもらうときには、重要なポイントがあります。
これを忘れてしまうと逆効果になることがありますので注意してください。
それは、
「話を聴いてくれるだけでいいからね」
「何かのアドバイスは求めていないからね」
と明確に言っておくことです。
明確にしないと、相手は親切心から
「こうしてみたら、どうかしら」
「こんなふうに考えてみたらどう?」
とアドバイスしてしまいます。
このアドバイスはよけいにあなたを追い込んでしまうのです。
話を聴いてもらう目的は「感情を活用して現在位置を確認すること」です。
ですから、
「いま、自分に何が起こっているのかを整理してみたいから、ただ話を聴いてくれる?」
と勇気を出して言ってみましょう。
■対人関係療法でダイエットを成功させる方法
ついつい食べてしまうという「過食」は対人ストレスの可能性があります。
「自分が誰かに期待していることと、相手が現実にやっていることが違う」とイライラしたり、怒りを感じたり、自分がダメだからと自責感や罪悪感を持ったりします。
また、
「誰かがあなたに期待していることと、自分のやりたいことが違う」ときも、自責感や罪悪感、怒り、不安などのストレスとなり、そのストレス解消のためにやけ食いしてしまうことがあるのです。
つまり、「過食」につながる感情は、「役割期待のずれ」から起こることが多いのです。
ですから、ついつい食べてしまうという状況が起きてきたら、その発端がどこから来るのかを、思い出してみてください。
記憶を掘り起こすのです。
無意識レベルの忘れてしまった記憶がそうさせることもありますが、それはヒプノセラピーで記憶を呼び起こすといいでしょう。
具体的には次の2つの記憶です。
1)あなたが誰かに期待したのに、期待通りに動いてくれなかった記憶
お母さんに話を聴いて欲しかったのに、お母さんは仕事が忙しくてちっともかまってくれなかったとか、友だちに仲良くしてほしかったのにいじめられたとか、そういった過去の記憶かもしれませんし、現在進行中の出来事かもしれません。
2)あなたが誰かに期待されていたのに、あなたが期待通りにできなかった記憶
テストで100点取れなかったことで父親に叱られたとか、兄弟姉妹と比較されて自分がダメだと言われとか、そういった過去の記憶かもしれませんし、現在進行中の出来事かもしれません。
そんなふうに、過食につながるストレスが、誰かとの会話が発端だったのであれば、その会話全体をシナリオのように再現してみると、わかりやすくなります。
これは、コミュニケーション分析という技法です。
そのやり取りのなかで、あなたは相手にやって欲しかったことをどのように伝えていたのか、相手はそれに対してどのように答えていたのかを見ていきます。
この作業を通じて、次のようなことを理解していくのです。
1)あなたが相手に期待していることは、そもそも相手にとって可能なのかどうか?
2)相手は本当にそんなことをあなたに期待しているのだろうか?
3)そもそもちゃんと伝わっているのだろうか?
どこかに、自分勝手な思い込みや、早とちりがあったかもしれません。
それらを冷静に客観的に見ることで、ストレスが軽減されていきます。
現在進行中の対人関係の場合、あなたのストレスが軽減されることで改善されることがあります。
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