文章テクニック3


◆文章テクニック3/具体的な情報を入れる


 具体的な情報のない文章は何の意味もありません。何も伝わらないのと同じことだからです。たとえば次の文章を読んでみてください。どんなお店なのか伝わりますか? 
 
 おしゃれでセンスのいいレストランがオープンします。広い店内にはさまざまな工夫がなされていて、まるで昔の世界にタイムスリップしたような感覚になる空間です。しばらくの間は赤字覚悟で割り引しますので、ふるってご来店のほどお待ちしております。

 

 

 何がどうおしゃれなのか? いつ、どこでオープンするのか? 広い店内というけど何席あるのか? 昔の世界っていつごろのことなのか? そんな具体的な情報を盛り込んでもらわないと何も伝わらないですよね。

 

 

 私がまだ駆け出しのライターだったころです。グルメ雑誌のお仕事をたくさんいただきました。そのとき、レストランを紹介する記事に「センスのいい内装」と書いてしまい、編集に怒られたことがあります。

 

「センスがいい、ってどういいのか、ちゃんと書いてくれないと困ります」

「オープンしたのは何年なんですか? 席数は? わからないなら、電話するなりしてもう一度取材してきてください」

「君の代わりのライターはゴマンといるんだよ」

 

 たしかに、有名な雑誌でしたから、その雑誌で仕事をしたいと思っているライターはいっぱいいました。その編集者は私の根性をかってくれてて、ダメな記事を書いてもちゃんと叱って、直させてくれました。

 普通は、ダメな記事を一度でも書いてしまうと、次にはお仕事が来ないものです。

 私はホントに人に恵まれました!

 

 では、先の文章に具体的な情報を入れてみましょう。

 

 2013年4月1日にイタリアレストラン「フミアキーノ」がオープンします。場所は西新宿5丁目、高層ビルの一画に突如として14世紀のフィレンツェが出現!
 200坪のゆったりとしたスペースにわずか120席という贅沢な空間に、ラファエロやミケランジェロの絵画や聖像が観葉植物の間から見ることができる。アンティークな木目調の重厚なドアを開けて中へ入ると、勇壮なカンツォーネが聞こえてくる。

 気分はもうルネサンス!

 

 いかがですか?

 具体的な情報が入るとそのお店が目に浮かぶようになるでしょ。不思議なものです。具体的な情報が情景をイメージさせるんですね。