■文章テクニック6/一文一意を心がける
まずは、次の文章を読んでみてください。
2つ年上の姉は、高校でバスケット部に入っている僕が学校から帰ってきたとき、汚い足で廊下を走るのを、いつも嫌がって怒ります。
何気ない普通の文です。姉にいつも僕が怒られているということを伝えたい文です。意味も伝わるし、読みづらさもありません。ただ、ちょっとだけ複雑な文になっていて何度か読み返さなければ理解できないところがあります。
これは多重構造の文です。
1)2つの年上の姉はいつも嫌がって怒ります。
2)僕が汚い足で廊下を走るのを。
3)僕は高校でバスケット部に入っています。
4)僕は学校から帰ると汚い足で廊下を走ります。
この4つの文を一文に詰め込んでいるのです。ひとつの文でより多くの情報を語ることはかなり高等な技術です。文豪がやるのならいいのですが、素人が真似をするとやけどをしてしまいます。
複雑になって、何も伝わらない危険性があるのです。
ですから、まずは一文一意を心がけてください。一文にはひとつの意味を盛り込むということです。たくさんの情報を一文に詰め込まないで、単純化を図ることです。
先の文はこんなふうに分けて書くことができます。
2つの年上の姉はいつも僕を怒ります。僕が汚い足で廊下を走るからです。僕は高校でバスケット部に入っています。学校から帰るとつい汚い足のままで廊下を走ってしまうのです。