■文章テクニック14/ヘーゲルの弁証法を取り入れる
論理的な文章は、
「序論」「本論」「結論」という
3段構成になっています。
その3段構成のなかに
ヘーゲルの弁証法を取り入れてみましょう。
ヘーゲルの弁証法は、
ある命題(テーゼ=正)と、
それと矛盾する、
もしくはそれを否定する反対の命題(アンチテーゼ=反対命題)、
そして、
それらを本質的に統合した命題(ジンテーゼ=合)
の3つで構成されています。
全てのものは己のうちに矛盾を含んでおり、
それによって必然的に己と対立するものを生み出します。
生み出したものと
生み出されたものは互いに対立しあいますが、
同時にその対立によって互いに結びついています(相互媒介)。
最後には
この二つがアウフヘーベン(aufheben, 止揚,揚棄)されるのです。
このアウフヘーベンは「否定の否定」で、
一見すると
単なる二重否定すなわち肯定=正のようになります。
しかしアウフヘーベンにおいては、
正のみならず、
正に対立していた反もまた保存されているということです。
たとえば、こんなテーゼを作ってみました。
●テーゼ:
リーダーシップとは、人を動かす力である。
このテーゼを否定(アンチテーゼ)してみましょう。
●アンチテーゼ:
自分の利益にならないことを進んで行う者はいない。
もしもリーダーの指示が自分に不利益をもたらすものであった場合、
誰もリーダーのために動かない。
このアンチテーゼをさらに否定して
アウフヘーベンしてみましょう。
●ジンテーゼ:
リーダーがチームの構成員の利益を確保すれば、
構成員はリーダーの指示に従うはずだ。
つまり、
リーダーシップとは、
他人に利益をもたらすことである。
いかがでしょうか?
こうしたことを事前に考えたうえで、
文章を書いていけば、
さらにいい文章が書けるようになります。
論文の3段構成に、
弁証法を入れると次のようになります。
1)序論
(1)テーマ:何について語るのか?
(2)選択理由:このテーマを選んだ理由
(3)仮説:作者の主張(テーゼ)
2)本論
(1)根拠:仮説の根拠となるデータや証言、事例など
(2)反論:作者の主張に対する反対意見を述べる(アンチテーゼ)
3)結論
(1)まとめ:本論での論証をまとめる
(2)主張:本論で出た反論を受けて一段深めた主張をする(ジンテーゼ)