ゲーテ

ゲーテという作家は恋多き男でした。


1749年から1832年で没するまで、

何度の恋をしたのでしょうか。



14歳のとき近所の料理屋の娘の親戚でグレートヒェンという年上の女性に恋をします。

初恋でした。


この恋は、

失恋に終わりますが、

ゲーテにとっては生涯忘れられないものになったようです。


ゲーテの代表作『ファウスト』の第一部のヒロインの名前が、

グレートヒェンでした。



16歳で故郷を離れライプツィッヒ大学に進学しますが、

この時期、

勉強に身が入りません。


通っていたレストランの娘アンナ・カトリーナ・シェーンコプフに恋をします。


そこで彼女のために『アネッテ』という詩集を執筆しました。

洗練された都会の女性の自由奔放な振る舞いが

ゲーテを苦しめます。


ゲーテが嫉妬するあまり、

この恋は破局なってしまうのです。


21歳のときは

フリーデリケ・ブリオンという女性と恋に落ちます。

そのとき『野ばら』『五月の歌』など

体験詩と呼ばれる抒情詩が生まれました。


23歳のときは、

舞踏会で出会ったシャルロッテ・ブッフと熱烈な恋愛をします。


毎晩彼女の家へ訪問しますが、

彼女が実は婚約中であることを知ります。


それでもゲーテは彼女があきらめきれず、

何度も手紙や詩を贈るのです。


そうです。


まさに『若きウェルテルの悩み』そっくりの体験をゲーテはするのです。


シャルロッテの結婚が近づくと自殺を考えるようになり、

ベッドの下に短剣を忍ばせていました。


『若きウェルテルの悩みは』こうした実体験から生まれた小説だったのです。



25歳のときはまた新たな恋をします。


リリー・シェーネマンというフランクフルト屈指の銀行家の娘です。


この女性と婚約まで至るのですが、

両家の親族間のそりが合わず婚約解消となりました。


『若きウェルテルの悩み』が出版されると、

たちまちベストセラーとなり、

ゲーテはヨーロッパ中の有名人となります。


この本の影響で自殺する若者が急増したことで社会問題にもなっています。



26歳になったゲーテは人妻のシャルロッテ・フォン・シュタイン夫人と恋に落ちます。


ゲーテよりも7つも年上の女性でした。

すでに7人の子どもがありましたが、

聡明で美しい女性でした。


ゲーテは彼女のもとに熱心に通い、

熱烈な詩を贈っています。


さらに、

39歳のときゲーテのもとを訪れた女性クリスティアーネ・ヴィルピウスを恋人にします。

23歳の娘です。


そして内縁の妻にします。

連詩『ローマ哀歌』は彼女への恋心をもとに書かれたものです。


彼女との間に長男が生まれています。

その後、次々と4人の子どもを産みます。



ゲーテは離婚と結婚をなども繰り返しているのです。


ゲーテは生涯、8度の結婚をします。


80歳のときに恋に落ちた相手は、

19歳の娘でした。


さすがに年の差があり過ぎます。

9度目の結婚は周囲の猛反対に合い断念します。


1832年、83年の恋多き人生に幕を閉じます。


文豪に名作を誕生させた原動力は常に恋愛だったようです。


世間体や周囲の目など気にせず、

大いに恋をしたくなりました。


死の直前の言葉は「もっと光を!」だと伝えられています。



(高橋フミアキ)