『アイデアのちから』(チップ・ハース+ダン・ハース)日経BP社
全米で150万部のベストセラー本です。
本書には記憶に焼き付くアイデアには次の6つの原則があると言っています。
【原則1】単純明快であること
【原則2】意外性があること
【原則3】具体的であること
【原則4】信頼性があること
【原則5】感情に訴えること
【原則6】物語性があること
単純明快ということの説明に、
小さな町のローカル新聞の成功事例が載っています。
ノースカロライナ州ダン、人口14,000人程度の小さな町です。
この町で発行されている
「デイリー・レコード」という地元紙は、
普及率112%。
人口よりも購読者数が多いのです。
この新聞の経営者フーバー・アダムスはこう言います。
「ご存知の通り、
地方紙が読まれる最大の理由は、
地元の人の名前や写真を読者が見たいからだ。
それは誰よりも我々が得意とする唯一のことだし、
他では得られない唯一のものだ」
「地域重視」という単純明快な編集方針を持った新聞だってことです。
デイリー・レコードの成功の理由を聞かれたとき、
アダムスはこう言いました。
「理由は3つ。
人名、人名、とにかく人名だ」
なるほど、
地元紙の紙面に知り合いの名前が載っているわけです。
だからみんな読むんですね。
素晴らしい!
ナイスアイデア!!
そして、
意外性に関しては、
「パターンを破ることだ」と著者は言っています。
人間は一貫したパターンがあるとすぐに順応します。
同じ感覚的刺激を繰り返すと、
それに注意を払わなくなるのです。
だから、出来上がったパターンを壊す必要があります。
私が広告代理店にいたとき、
出来上がった広告をクライアントに見せると、
「なんか、おかしいよ」
と言って却下されるのです。
クライアントは普通の広告表現を求めているわけです。
当たり障りのない写真に、
当たり障りのないキャッチコピーで、
ちょっとカッコいいのを望んでいました。
それだと目立たないし、
自然に流れていき、
注目されません。
結局、
普通のありきたりの表現になってしまうのです。
つまらない広告を作ってしまったなぁと
いつもがっくりしていたものです。
意外性を実際にやるには、
ちょっと勇気が必要です。
斬新なアイデアをひねり出す人というのは、
他人と違うことをよしとする勇気を持っています。
本書にはそんなことは書いてありませんでしたが、
読んでいてそう思いました。
(高橋フミアキ)