■つい食べてしまう「過食」を治す方法
食べなければ痩せます。
ダイエット食品をとっても、運動をしても、食べてしまえば結局は太るのです。
ですから、食べなければいいのです。
しかし、人間ですから、どうしても食べてしまいます。
痩せたいのに食べてしまうのです。
つい食べてしまうと罪悪感にさいなまれます。
自分を責めて苦しくなります。
悶々として眠れなくなることもあるでしょう。
この罪悪感が重篤な病気を引き起こすこともあります。
一刻も早くこの罪悪感を手放しましょう。
精神科専門医の水島弘子先生の著書『「拒食症」「過食症」の正しい治し方と知識』という本のなから、その方法をご紹介します。
もっと詳しく知りたい人は、本書を読んでみることをおススメします。
過食症には2種類の過食があります。
1つは「飢えを解消するための過食」です。
食べるということは、本能ですし、人間が生きるうえでのベーシックなものです。
食べるという行為は私たちが命を維持するために絶対に必要なものです。
この過食は決して病気ではありませんし、治療の必要はありません。
問題なのは、もうひとつの「過食」のタイプです。
2つ目の「過食」は、「モヤモヤとしたネガティブな気持ちから逃れたい」という動機から行われる「過食」です。
この「過食」は摂食障害になる可能性がありますので治療が必要です。
クリニックに行って「あなたは過食症ですね」と言われるのは、まず「過食症状」があること、そして「体重が標準体重の80%以上ある」人です。
それだけでクリニックでは「過食症ですね」と言われてしまいます。
ここでいう「過食症状」というのを誤解しないでください。
単に食べ過ぎてしまうのは、過食症状ではありません。
「食べ過ぎ」とか「だらだら食べてしまう」というのも過食症状ではありませんので、ちょっと食べるからといって「ああ、私は過食症なんだ」と思わないでくださいね。
「過食症状」というのは、明らかに「過食のスイッチ」が入って始まり、終わり(多くはおう吐)があるタイプの過食です。
そして、過食の間はまるで人間が変わったようになります。
「過食中のことを、あまり覚えていない」
という人もいます。
憑りつかれたように食べる感じです。
そして、心のなかでは「食べないですむのなら、そのほうが痩せるので好ましい」と思っています。
こうした「過食症状」が、平均して週2回以上あって、それが3ヶ月以上続いているのが「過食症」です。
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「過食」は、自分を嫌いだと思う気持ちが蓄積したところに、ふとしたきっかけで起こります。
自分を好きになれないケースはいくつかあります。
たとえば、幼少期に虐待を受けた人は、なかなか自分を好きになれません。
虐待を受けて育った人は、自分が嫌いだという気持ちがどんどん蓄積していくでしょう。
両親が不仲で、自分で何とかしなければと思うのですが、何もできないという場合も自分を好きになれないでしょう。
両親が離婚できないのは自分がいるせいだと思っているケースも同様です。
「あなたさえいなければ、とっくの昔に離婚してるわよ」
と母親に言われたりすると、自分のことを嫌いになるでしょう。
「過食」の人は、本心を他人にいえません。
表向き、はきはきした性格に見えたりする人でも、肝心なことは口を閉ざしていたりします。
自分の本当の気持ちや、相手にやって欲しいことなどは決して言えずに内側に溜め込んでしまいます。
これが「過食」のエネルギーを生んでいくのです。
過食症については、効果的な治療法が明確になっています。
「対人関係療法」と「認知行動療法」の2つです。
この2つの治療については、治療終了後、6年後まで追った研究でも効果が安定していると示されています。
「対人関係療法」と「認知行動療法」の2つのどちらかの専門クリニックで受けるといいでしょう。
「抗うつ剤は、うつが強い人やこだわりが強い人にはプラスですが、過食症という病気の全体を治す力はありません」
と水島広子先生は言っています。