テンプレート3


 

 

 

 

(3)AかBかのテクニック

 ○○○○なら天国。○○○○なら地獄。

 実はこういうことだ。○○○○○○○○○○○○。

 審判の時がきた。胸がドキドキする。

 結果はこうだ。○○○○○○○○○○○○。

 

 

 

【文章例】

 女房がミネラルウォーターを買ってきたら天国。肉なら地獄。

 実はこういうことだ。俺は女房に殺されるのである。俺は、毎日、肉を食べさせられ、肉の残りカスが腸に溜まり、それが有害物質になり血液中に入り込んでしまう。ゆくゆくは動脈硬化を起こし、糖尿病になり、俺は苦しんで死ぬのだ。

 肉の残りカスを洗い流すには、ミネラルウォーターが一番いいらしい。果たして、女房が買ってくるのはどちらだろう。

 その疑惑が浮かんだのは昨夜だ。女房が娘に俺のことを「死ねばいいのに」と言っているのを聞いてしまったのである。もうすぐ女房が買い物から帰ってくる。

 審判の時がきた。胸がドキドキする。

 結果はこうだ。

「ただいま。すぐに夕飯の支度をするわね」

 と女房はキッチンへ入った。俺は怖くてキッチンへ行けない。女房がいったい何を買ってきたのか、確かめるのが怖かった。

「あなた、これでも飲んでて」

 と女房が持ってきたのは、デトックス効果があると言われているミネラルウォーターだった。

(了)(417w)

 

 

 

 

 
コメント: 26
  • #26

    あいけん (月曜日, 07 7月 2014 22:47)

    『盲点』

     殺されなかったら天国。殺されたなら地獄。
    実はこういう事だ。数年前、日本の自衛隊は憲法解釈の変更で軍隊となった。友好国の危機を救うために今日、私の率いる部隊がある中東の紛争地域に上陸したのだ。しかし私たちの部隊は上陸早々、ゲリラ組織に身柄を拘束されてしまった。
     私たちの身柄を拘束したゲリラ組織は、残虐な組織として有名だ。先日誘拐された友好国の兵士が10人並べられて次々と処刑されいくビデオ映像が動画サイトに配信された事は耳に新しい。
     ガチャ、という音と共に黒い覆面をしたゲリラが数人、こちらにむかって歩いてくる。手にはAK銃を所持していた。
     ついに審判の時がきたか。胸がドキドキする。しかし、ドキドキしながらも私は殺されないだろうと思っていた。なぜならば、この国は指折りの親日国で、日本人には優しい。それに、先日同じく誘拐された多国籍軍の中で唯一処刑されなかったのが日本人であったのだ。彼らは「日本人だけは決して殺すな」という暗黙のルールを持っているらしい。
     結果はこうだ。なんと男は私達を壁沿いに並べると私たちに向けて次々と銃を発砲したのだ。私も撃たれ、目の前が真っ暗になった。天国に登っていく最中に奴らの話し声が少し聞こえた。
    「なぜ、撃ったのですか? 奴らは日本人ですよ?」部下であろうか、発砲した男にそう尋ねると男は何度も頷きながらこう答えた。
    「先日の攻撃は日本によるものだ。日本の攻撃で私の部下たちは殺された。あの中に私の親友もいたのだ。今までは日本の自衛隊は決して私たちに銃口を向けなかった。彼らは自分が撃たれない限りは絶対に発砲しない。だから私たちもそんな自衛隊に敬意を表して発砲しなかったのだ。しかし、彼らは撃たれなくても、撃てるようになった。では、我々も殺られる前に殺るまでだ」男は右腕に彫ってある「侍」というタトゥーを悲しそうな顔で見つめながらそう言った。

  • #25

    あいけん (月曜日, 07 7月 2014 22:24)

    『2着のウエディングドレス』

     母親が出席してくれるなら天国。出席してくれないのであれば地獄。
     実はこういう事だ。私、谷町佳代子と山本理沙は今日レズビアン同士で結婚式を挙げる。母には8年前、レズビアンだという事を告白した。その時の母の表情は今も脳裏に焼きついて離れない。まるで生気を全て吸い取られてしまったような表情だった。
     1ヶ月前、結婚の報告をした時も母はただすすり泣くだけだった。
     お母さんにだけは分かってもらいたかった。私のこの気持ち。
     もう後10分程で式は始まってしまう、母の姿はまだない。
     やっぱり来てくれないかな、と半ば諦めながら審判の時を迎えた。でも母が来てくれるんじゃないかと、胸はドキドキする。
     私と理沙が結婚式場の入口の前にスタンバイしていると、横の階段の方からバタバタと音がした。そして黒い着物姿の母の姿が目に飛び込んできた
    「お母さん!」嬉しくて涙が込み上げてきた。
    「佳代子。ごめんね。一番辛かったのは私じゃない、佳代子なんだよね。こんな事に気づいてあげられなくてごめんね。あなたが幸せなら、私も幸せよ」
    「お母さん…」
    「ほら、涙を拭いて。せっかく綺麗なお化粧が台無しじゃない」
    「お母さん、来てくれてありがとう」私はお母さんのくれたハンカチで涙を拭った。

  • #24

    山口倫可 (水曜日, 02 7月 2014 15:33)

    「癖」

    バレなければ天国、バレたら地獄。

    実はこう言うことだ。
    今、私は職場でパワハラに遭っている。
    年下の女性課長から、毎日のように嫌がらせをされている。
    「もう耐えられない…」と思っていたある日、自宅の洗濯物の中のブラジャーが目に入った。

    なぜそんな行動を取ったのか、今でもわからない。
    トイレでブラジャーをつけてみると、背筋が伸びて強くなったような気がした。
    それはまるで魔法のような力を私に及ぼした。
    女性課長の蔑みの言葉や、嫌みのある態度を難なくかわせるようになったのだ。
    しかも、営業成績もトップクラスに入ることができた。

    最近、つけるブラジャーによってもテンションが少し違うことがわかった。
    妻のブラジャーをつけると、心は落ち着くがやる気モードが入らない。
    娘のブラジャーをつけると、天から何かが降りてきた如く闘争心が湧く。

    娘が買ってきた新しいブラジャーが気になっているとき、
    下着ドロボーに狙われていると、娘が交番に相談に行った。
    お巡りさんを連れて娘が帰ってくる。
    審判のときが来た。胸がドキドキする。

    お巡りさんが事情聴衆をしながら、
    誰にも見えないように私の顔を見てニヤリと笑った。

    翌日、出勤途中に交番の前で呼び止められた。
    「ひょっとして、お仲間じゃないかと思ったんです。実は、男性用もあるって知ってましたか?」

  • #23

    山口倫可 (水曜日, 02 7月 2014 14:50)

    「告白」

    私なら天国、魔希なら地獄。

    実はこういうこと。
    私は野球部の佐藤君が高1のときからずっと好きだった。
    でも、告白できずにいた。
    引っ込み思案で、お世辞にも美人と言えない私は、
    叶わぬ恋とひそかに陰から彼を慕っていた。

    ところが、クラスで一番嫌いな魔希も、
    佐藤君が好きだと親友の怜子から聞いた。
    裏表があって男の子の前では媚を売る魔希は、
    女子の間では評判が悪かった。
    怜子が、「いいの?直子。あんなヤツに佐藤君とられて。
    私は直子のほうがずっと、佐藤君とお似合いだと思うな。
    佐藤君も直子と話してるとき、楽しそうじゃん」と言い、
    修学旅行の前に告白して、
    京都の町並みを手を繋いだ歩いちゃいなよーとけしかける。

    私は意を決して、修学旅行の前日
    佐藤君の下駄箱にラブレターを入れた。

    審判のときが来た。胸がドキドキして止まらない。

    結果はこうだ。
    佐藤君は、バスに乗り込むと私の顔を見もせず素通りし、
    斜め後ろの魔希の横に座った。
    彼の姿を目で追っていた私に、魔希は不敵な笑みを返した。

  • #22

    浅加怜香 (水曜日, 02 7月 2014 06:09)

    『暗号』

    「4989」と書いてあればあれば天国。なければ地獄だ。
    実はこういうことだ。ぼくは大学受験をしたのだ。
    今日は合格者発表の日。受験番号は「4989」番
    もし、「4989」の番号がなければ、今年も浪人決定だ。
    また地獄のような1年を過ごすのかと思うと気が重い。

    予備校に通っていたのにまた浪人になるなんてことになったら、両親は悲しむだろう。

    審判の時がきた。胸がドキドキする。
    結果はこうだ。掲示板には「4989」の番号があった。
    「やったー!」ぼくは合格したのだ。
    「4989」という受験番号を見たとき、
    四苦八苦とも読めるから、気にはなっていたけど、
    克服できたみたいだ。

  • #21

    山内たま (火曜日, 01 7月 2014 03:41)

    「真のアスリート」
    飛べれば天国、飛べなければ地獄。
    実はこういうことだ。血の滲むような練習をしてきたこの四年間の集大成として臨んだオリンピックの舞台、今日のショートプログラムで冒頭の大事なジャンプを失敗。その後、ショックを引きずり、残り二つのジャンプもダウングレードをとられ、思うように点数がのびなかった。なにより、顔がこわばり終止笑顔が引きつってしまい、表現力のジャッジも厳しいものだった。
    明日のフリーも冒頭のジャンプを失敗したら、感情のコントロールが難しいだろう。
    もうメダルは難しい。しかし、アスリートが諦めたら、その時点で負けである。
    二日目フリーの出番の時がきた。胸がドキドキする。リンクにあがるその一歩まで身体全部が心臓のようだった。
    結果はこうだ。メダルには手が届かなかった。
    しかし、フリープログラムのワールドレコードを更新。また、これまで誰もが成し遂げなかったトリプルジャンプ八種類すべて成功。八種類のジャンプを飛ぶとき、一つずつ感謝の気持ちを込めて飛んだ。これまでの自分に悔いはない。
    どこかの国の実況中継していたアナウンサーが鼻をすすりながら語った「メダルという記録はないけど、彼女の演技はみんなの記憶に残るでしょう」

  • #20

    蘭子(佐藤晶子) (月曜日, 30 6月 2014 11:45)

    「ネット婚活」

    窓際に座っている女性なら天国。
    壁際に座っている女性なら地獄・・・。

    今日はネット婚活で知り合った女性と初めて実際に会うために、ホテルの喫茶ルームに来たのだ。
    この喫茶ルームは、いつも空いていて、中庭から中の様子が見える。

    ネット婚活のプロフィール写真なんてまったくあてにはならない。
    僕はそっと中庭から観察をしている。

    窓際には、清楚な美人タイプの女性が時おりスマホを触りながら、ハーブティを飲んでいる。
    壁際の女性は、大柄で経済雑誌をバサバサと広げながら、コーヒーを飲んでいる。
    小柄で身体も細い僕は、大柄な女性に対してコンプレックスがあるし、仕事ができる女性もちょっと怖いのだ。

    待ち合わせの時間がやってきた、これは審判のときだ。
    胸がドキドキする。
    約束通り彼女のスマホに、今喫茶ルームの入り口ですとメールをした。

    メールを受け取った彼女は、椅子を立ち上がることになっている。
    え?!
    ニッコリ笑って立ち上がっていたのは、軽く僕より15歳は年上に見える近所のおばちゃんのような女性。
    入り口脇の死角に居たのだ。
    しまった・・・。

  • #19

    夏来 みか(戸部 みか) (日曜日, 29 6月 2014 21:01)

    「恵みの雨」

    雨なら天国。晴れなら地獄。

    実はこういう事だ。
    2ヶ月もの間、晴天が続いた。
    雨が一滴も降らなかった。
    都心の水源のダムも水位がどんどん下がり、
    あと2週間、雨が降らなければ、給水制限が始まる。

    砂漠化が進む地域に、人工の雨雲を発生させ、
    雨を降らせる装置を研究、開発している我が社に、
    政府から水源地域に、雨を降らす事ができるか、
    極秘の依頼が来た。

    審判の時が来た。胸がドキドキする。
    結果はこうだ。

    快晴の天候の中、装置を動かすと、
    もくもくと雨雲が空中に出現し、
    ダムの上にだけ、大量の雨が降り出した。

  • #18

    佐伯 悠河(小林亜紀) (日曜日, 29 6月 2014 20:11)

    「大一番」

    当選なら天国、落選なら地獄。
    実はこういうことだ。4年に一度のオリンピック、その開催地に、今、日本が名乗りを上げている。
    目端の利く俺は、こういうこともあろうかと、全財産をつぎ込んでお台場周辺の土地を買いまくった。それがもう10年近く前の話だ。
    覚えている奴もいるだろうが、2009年の投票で、日本も俺の目論見も無残に敗れ去った。
    おまけにその後の地震でさらに地価が下落し、周囲はバカな投資をしたと俺をあざ笑った。
    だが今、ついにリベンジの機会がやってきたのだ。

    審判の時が来た。胸がドキドキする。
    結果はこうだ。日本は見事、2020年夏季オリンピックの開催地に選ばれた。
    地価はみるみる上がり始めた。見ていろ、これからは俺の天下だ!

  • #17

    まりこ(神田まり子) (土曜日, 28 6月 2014 02:24)

    まぁいっか

    検査結果が基準値をクリアすれば天国。だめなら地獄。
    実はこうだ。五十歳の節目に受けた人間ドッグで肝臓の異常を示す所見が出たのだ。すぐに近所の高橋医院で診てもらった。酒が原因らしいとわかった。
    私は酒を断った。一ヶ月ごとの検査の値は順調に良くなった。今日は三ヶ月目の検査の結果を聞く日だ。
    酒を断ったころは花見酒の美味いころだった。しかし俺はぐっとこらえた。だんだんアルコールの無い生活にも慣れたと思えてきたのだが、この頃の暑さだ。つり革につかまりながら眺める車内広告の金色のビールのなんと美味そうなこと!
    検査結果が良かったら、もちろんビールだ!ゴクゴクゴク、と冷えたビールを飲むのだ。
    検査結果が悪かったら・・・禁酒の日々はまだまだ続く。
    どうだろうか。もうじき審判が下る。

    白衣の高橋先生はさっきから何度もカルテをひっくり返して見ている。そして口を尖らせたり眉値を寄せたりしている。
    「安藤さん・・・これはえらいことですよ・」
    心臓がドキドキした。汗が出てくる。検査結果が悪いのだろうか。
    「検査結果なんですがね」
    そこまで言うと高橋先生はカルテから顔をあげてにっこりした。
    「とってもいいんですよ!」

    家に帰るとユリが待っていた。ユリはこの頃死んだ妻に似てきた。いや妻以上の美しい娘になってきた。ユリは冷蔵庫を開けると刺身とビールを出した。グラスに注がれた金色のビールと白い泡。グラスはたちまちうっすらと汗をかいてくる。
    「おめでとう、お父さん、でもビールはこのグラスに一杯にしてね。一度はイエローカードが出たのだからね。ユリ、お父さんに元気で長生きしてほしい。」
    「いいよ、元気で長生きしてやるよ。そのかわり、嫁に行くなよ。」俺は言った。
    ユリは「えーっ」と言ったきり、後はえへへと笑っている。
    なんだユリ、いるのか、やっぱり。まぁいっか。俺はビールに口をつけた。唇に残った泡を舐める。ほろ苦く香ばしい味がした。

  • #16

    鵜養真彩巳 (土曜日, 28 6月 2014 00:02)

    「ペナルティキック」

    決まれば天国。外れたら地獄。
    実はこういうことだ。鈴木太朗は、先月会社の金を横領してしまった。幸いまだ会社にはばれていない。彼は闇サイトを利用し、サッカーワールドカップの試合を対象にしたサッカーくじで穴埋めをすることにした。
    「闇サイトなんて、誰でも利用してるだろ。それより会社の金をどうにかしねえと。」
    サッカー好きの彼は、自分の予想に自信があった。そこで、掛け金を指定された口座に振り込むと、行きつけのスポーツバーへ向かった。
    そして今、後半戦のロスタイム、1対1で最後のペナルティキックとなった。
    「これで決めれば、俺の罪は帳消しになる!」
    審判のホイッスルが鳴った。選手がゆっくりと進んでシュートをする。キーパーは右へ飛び、ボールはネットをゆらした。
    店内がわあっとどよめく。彼の予想通り、2対1で日本が勝った。彼はほっとして、近くの人と抱き合いビールで乾杯しあった。そのとき、彼の肩を叩く者がいた。
    「鈴木太朗さんですね?神奈川県警の者です。あなたに違法賭博の容疑が出ています。署までご同行いただけますか?」


  • #15

    高山雄大(髙荷一良) (金曜日, 27 6月 2014 20:02)

    「分かれ道」

    左を選ぶか右を選ぶか。村に通ずる道を選べば天国。谷に向かう道を選ぶと地獄。
    実はこういうことだ。
    ここは峠にある分岐点。ここを過ぎれば街道までは一刻だ。
    だが、村を指し示す杭がどこにも見当たらない。
    「おかしい、確かにあるはずだ」
    そう呟きながら峰雄は右に左にと探し回った。
    先ほどまでの晴天が嘘のように灰色の雲が忍び寄る。
    先を急がなければ日没までに村には到着できない。
    この辺りは迷い道として度々遭難者が出るという言い伝えがある。
    「しまった」
    慌てて探しまわったのでここを通ったであろう足跡をぐちゃぐちゃにしてしまった。
    にわかに雨が落ちてきた。
    容赦なく峰雄と枯れ葉に雨滴が降り注ぐ。
    あたりには靄が立ち込め視界が遮られていく。

    「そうだ、昨夜…」
    宿の若女将が
    「迷わないおまじない」
    と言って渡してくれたものがあった。
    それは今にも破れそうな地図と古めかしい磁石だった。

    心得のある峰雄は、急いで地図に方位磁石を重ねた。
    「村と今いる場所を結んで子の方向に…」

    審判の時がきた。胸がドキドキする。
    結果はこうだ。
    「うっ、針が…。」
    峰雄はくるくると回る針を喉がカラカラになるまで見つめていた。

  • #14

    マーガレット花摘 (木曜日, 26 6月 2014 22:52)

    ※テンプレ抜けてる部分があったので書き直して再度送ります。



    『ラッシュアワー』

    空いていれば天国。満員なら地獄。

    実はこういうことだ。
    朝のラッシュアワーに、電車が大幅に遅れていた。立て続けにホームに電車が入ってきたと思ったらぎゅうぎゅうだった。3本目の電車に、私の前に立っていたサラリーマンは無理矢理からだをねじ込ませていた。スーツの裾がドアに挟まったまま、電車は去っていった。
    さらに待つこと15分。
    今日は9時から会議があり、私がプレゼンをすることになっている。遅れるわけにはいかない。
    この前までの電車で混雑が終わっていればいいのだが。
    次の電車に乗らなければ遅刻は免れなさそうである。

    『電車が参ります。遅れましたこと、心よりお詫び申し上げます』
    ホームに放送が入り、電光掲示板が『電車が』『参ります』と点滅を始める。

    審判の時がきた。胸がドキドキする。
    結果はこうだ。

    1号車、2号車と目の前を通り過ぎて、電車が止まりドアがあいた。

    人が弾き出された。また車内に戻るその人と一緒に、私も全身を電車にねじ込んだ。

  • #13

    マーガレット花摘 (木曜日, 26 6月 2014 22:45)

    『ラッシュアワー』

    空いていれば天国。満員なら地獄。

    実はこういうことだ。
    朝のラッシュアワーに、電車が大幅に遅れていた。立て続けにホームに電車が入ってきたと思ったらぎゅうぎゅうだった。3本目の電車に、私の前に立っていたサラリーマンは無理矢理からだをねじ込ませていた。スーツの裾がドアに挟まったまま、電車は去っていった。
    さらに待つこと15分。
    今日は9時から会議があり、私がプレゼンをすることになっている。遅れるわけにはいかない。
    この前までの電車で混雑が終わっていればいいのだが。
    次の電車に乗らなければ遅刻は免れなさそうである。

    『電車が参ります。遅れましたこと、心よりお詫び申し上げます』
    ホームに放送が入り、電光掲示板が『電車が』『参ります』と点滅を始める。

    1号車、2号車と目の前を通り過ぎて、電車が止まりドアがあいた。

    人が弾き出された。また車内に戻るその人と一緒に、私も全身を電車にねじ込んだ。

  • #12

    秋カスミ(佐藤亜矢子) (水曜日, 25 6月 2014 23:53)

    『バカ息子』

    「僕じゃないよ、バカだな」と言われたら天国。「僕なんだ」と言われたら地獄。
    実はこういうことだ。
    1時間前、息子の祐二から、会社のお金を使い込んで、すぐに500万補填しなければいけないんだと慌てた様子で電話があった。こちらも慌てて、銀行に行き定期預金をおろしたところ、「詐欺に注意」の文字が目に入り、ふと我にかえった。確認するのは簡単なこと。本人の携帯にかければいい。
    自分の息子が使い込みなどするはずない。けれど、最近なんだか羽振りがよかったり、キャバクラ通いしている気配があったりと気になることは少なからずあったのだ。

    審判のときがきた。胸がドキドキする。受話器を持つ手が震える。
    結果はこうだ。
    10コール目にようやく電話に出た祐二。500万や使い込みの言葉にぽかんとした様子。「俺じゃないよ、そんな電話信じてバカだなぁ、まさにオレオレじゃねぇか」。ほっとした。そして少しでも疑った自分を恥ずかしく思った。

    その瞬間「500万あるんなら、車買い換えたいんだ、そこ補填してよ」。このバカ息子・・。

  • #11

    翔一 (水曜日, 25 6月 2014 00:10)

    『すれ違い』

    うまく躱せれば天国。ぶつかりでもしたら地獄。
    実はこういうことだ。
    俺は就職活動のために初めて新宿へ来た。その帰り道、横断歩道の向こう側から柄の悪そうな男が近づいてきたのだ。左右には人の壁で大きくは移動できない。しかも相手はスマホをいじりながら歩いているため、気付いていない可能が高い。
    うまくかわせれば無事にやり過ごすことができる。しかし、ぶつかった際にはどうなるか全くわからない。
    審判の時が来た。胸がどきどきする。
    結果はこうだ。
    俺は男と正面からぶつかってしまった。
    慌てる俺に対して男が声をかけてきた。
    「も、申し訳ございません!大丈夫ですか?」
    何故か自分以上に焦ってしどろもどろになっている男に茫然としてしまう。
    「は、はい」
    「そうですか。本当に申し訳ございませんでした!」
    そういって男は足早に去っていく。状況を全く呑み込めない俺はただその場に取り残されるしかなかった。

  • #10

    岡田那津子(おかだなつこ) (月曜日, 23 6月 2014 13:52)

    すみません、#9のタイトル抜けてました。
    『99.99%』でお願いします。

  • #9

    岡田那津子(おかだなつこ) (月曜日, 23 6月 2014 13:51)

    99.99%そうなら、天国。99.99%違うなら、地獄。

    実はこういうことだ。俺は、知ってしまった。どうやら過去に妻が浮気をしていたらしいと。それも、息子の達也を妊娠したあたりの時期にかぶっているということを。さらに、相手は、俺の学生時代から信頼している先輩だということも、だ。

    3ヶ月前、俺たち夫婦と先輩夫婦でホームパーティーをしていたとき、二人がこっそり話してしまっているのを聞いたんだ。

    「だから、先輩の子じゃないって。別に認知とか求めてないし。」


    妻は、今まで見たことのないほどの厳しい顔で先輩にそういい放っているところを。そして、先輩は、ただ唇をかみしめてうつむいているところを。

    俺はその日から夜も眠れないほど悩み続けた。俺は他人の子を自分の子だと思って5年も愛して育ててきたのか?もう俺は気が狂いそうだった。

    そして、耐えられなくなった俺は、妻と子供が寝ている間にこっそり達也の唾液を取ってDNA鑑定に出した。これですべてが明らかになる。

    数週間後、手元に鑑定書が届いた。結果はこうだ。99.99%親子である。俺は鑑定結果を見ながら流れる涙を止めることができなかった。よかった、達也は間違いなく俺の子供だ。俺と妻の子だ。

    そして、半年後。先輩夫婦が離婚した。理由は先輩の浮気だそうだ。妻が言った。

    「ほら、私の友人で、恵子が半年くらい前に子供産んだでしょ?シングルで。あれ、先輩の子なのよ。」

    不倫の末に子供を産んだことに負い目を感じていた恵子さんは先輩の子じゃないと言い張り、認知も断ったそうだ。でも、納得のいかない先輩は多額の慰謝料を払って奥さんと別れて恵子さんと暮らすことにしたらしい。

    あの時の会話はそういうことだったのか。俺の早とちりで疑ってしまった妻に「ごめん。」とつぶやいた。

    「なに?なにかいった?」

    にっこりと妻は微笑んだ。

  • #8

    林夏子 (月曜日, 23 6月 2014 06:40)

    【計量】
    明日の計量で52キロ以下ならば天国。52キロを超えていれば地獄。
    実はこういうことだ。俺はプロボクサーとして7戦目でチャンピオンになった。王者決定戦の計量が明日に迫っている。周りから天才といわれているが、調整に失敗し体重オーバーなら戦わずして王座を剥奪されてしまう。空腹に耐えながら待つ計量までの時間がとてつもなく長く感じる。
    審判の時が来た。胸がドキドキする。
    結果はこうだ。
    俺は無事に計量をクリアした。いよいよ明日王者決定戦に挑む。相手は強豪だが、負けるつもりはない。恐れず挑むまでだ。

  • #7

    星野ゆか (金曜日, 20 6月 2014 02:03)

    『イケメンの恋』

    彼女が指輪を受け取ったら天国、そのまま帰ったら地獄だ。

    実はこういうことだ。
    順一は、最愛の彼女に「俺と結婚してください。結婚してくれるならこの指輪を受け取ってほしい。結婚できないならそのまま帰ってほしい」とプロポーズした。
    順一はキレイな顔立ちをしていた。
    女性からモテモテだったので、女性を取っ替え引っ替えして恋愛を楽しんでいた。
    ある日、順一は今までとは違うタイプの女性と出逢った。
    その女性は清純な美しさを持つ人であり、順一は生まれて初めて「ビビッ」とくるものを感じた。
    本気で女性に惚れた順一は、今まで付き合っていた女性全員と別れた。
    そして彼女と付き合い始めたが、彼女なしでは考えられないほど真剣に愛するようになった。

    それから2年が経った。
    順一は彼女との結婚を考えるようになり、ついにプロポーズしたのだ。
    もし彼女が指輪を受け取ったら、順一は最愛の彼女と結婚できる。
    もし彼女がそのまま帰ったら、順一は彼女と結婚できず、人生で初めての失恋となる。
    彼女を失うことは、彼女以上の女性が現れないことを意味する。

    いよいよ審判の時が来た。胸がドキドキする。
    結果はこうだ。

    彼女は、指輪を受け取った。
    順一が彼女を抱きしめようとしたとき、彼女はこう言った。
    「順一さん、ありがとう。嬉しいわ。でも、順一さんと結婚することはできない。今まで私のことを話していなかったけれど、実はあなたが今までお付き合いしてきた女性達から依頼された『復讐代行彼女』だったの。あなたを本気にさせたうえでプロポーズされた時にあなたを振ることで、あなたが今まで彼女達にしてきたことを思い知らせることが目的だったの。大切な依頼者の恨みを晴らすために指輪は受け取るわ。でも私は、あなたみたいな男性が大っ嫌い!あ~やっと清々したわ。」

    清純な美しさにあふれる笑顔で、京香は高級レストランを後にした。

  • #6

    星野ゆか (金曜日, 20 6月 2014 01:49)

    『美しいお姫様』

    お姫様が階段をおりたら天国、階段をおりなかったら地獄だ。

    実はこういうことだ。
    フラン国の王子様は、美しい顔立ちで多くの女性を魅了していた。
    そんな王子様も23歳になり、人生の伴侶を決める年頃になった。
    王子様は末っ子なので、他国へ婿入りする必要がある。
    多くの結婚話があったが、王子様はどのお姫様にも興味がなかった。
    ある日、王子様は街で見かけた美しい女性に一目惚れした。
    その女性は、資源が豊富なチャコ国のお姫様だった。
    チャコ国の美しいお姫様は瞬く間に評判となり、既に10人の王子様が求婚した。
    もしお姫様が王子様を気に入ったら、王様と一緒に階段をおりてヴェールをあげる決まりがある。
    だが、決してお姫様が階段を下りることはなかった。
    そんなお姫様の評判が評判をよび、チャコ国を訪れる王子様は後を絶たないという。

    フラン国の王子様は、チャコ国に行く決意をした。
    チャコ国の家来に案内され、階段の上にたたずむ美しいお姫様に求婚した。
    もしお姫様が階段をおりてきたら、王子様は美しいお姫様と結婚することができ、ゆくゆくはチャコ国の王様になる。
    逆にお姫様が階段をおりなかったら、王子様は美しいお姫様と結婚できなくなり、親がすすめる結婚話を受けるしかなくなる。

    審判の時が来た。胸がドキドキする。
    結果はこうだ。
    美しいお姫様は、王様と一緒に階段をおりてヴェールをあげた。
    お姫様の美しい顔立ちにみとれていると、王様がこう言った。
    「そなたに話しておきたいことがある。実は、そなたが求婚したのは私の一人息子なのだ。男として産まれたのはよいが、どうも心は女性のようでな・・・。わが国を守るためにお姫様でとおしていたが、息子はそなたを非常に気に入っておる。そなたさえよければ、私はこの結婚話を進めてもいいのだが・・・どうかね?」
    フラン国の王子様は、美しい王子様のウィンクを恐る恐る見つめた。

  • #5

    高山雄大(髙荷一良) (火曜日, 17 6月 2014 18:26)

    「朽木橋」

    わが陋屋の前には朽木橋という橋がある。橋の名前の通りところどころ傷んだ箇所がある。

    この橋を無事渡れれば天国、もし転落してしまったら地獄。

    実はこういうことだ。
    水無月に入った途端、雨が断続的に降り始めた。もう3日目だ。特に今日は1時間に80mmを超える猛烈な雨が村を襲った。川は瞬く間に増水し、橋を今にも押し流す勢いだ。

    私の家にはこの朽木橋を渡らなければたどりつけない。背後は山のため迂回するにしても時間がかかる。
    「おとう、渡れないよ」
    か細い声が耳に届く。
    そう、小学生になったばかりの娘が向こう岸にいるのだ。開いたオレンジ色の傘に水しぶきが跳ねる。雨音だけが鼓膜の奥を執拗に追いかける。
    岸からあふれ出た濁流が娘の足元を襲い始めた。このままでは数分で膝に達してしまう。

    「荒れ狂う雨よ。その心を静めておくれ。どうか娘だけは助けて下さい」
    審判の時がきた。祈っている場合ではない。動かなくては。胸がドキドキする。
    結果はこうだ。
    私は両足に力をいれ、腰をおとした。流されようが飛ばされようが娘のところには何としても辿り着かなければならない。と、その時、
    「あんた、そこ、どいて!」
    大声で叫びながら突進する妻が現れた。身体中に空のペットボトルをくくりつけ、手にはロープが握られている。
    「あっ、あぶない」
    私の声をふり払うように、ロープを素早く門柱にくくりつけ、軽やかに橋を渡り始めた。お世辞にも華奢と言えない妻の身体がひらりひらりと揺れながら進んでいく。朽木橋がまるで最後の力をふりしぼって支えているかのように。

    そして数秒後…。
    突き飛ばされてずぶ濡れとなった私は、妻と娘が抱き合う姿をただただ眺めていた。
    そして…。
    私は、雨がやむまでの間、傾いた屋根の上で孤独の時間をただただ過ごすのだった。



  • #4

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014 19:36)


    『ジェットコースター』

     採用なら天国。不採用なら地獄。
     実はこういうことだ。堂本はある会社の採用試験を受けた。それには3カ月間の研修期間があった。そのために彼はこれまで働いてきた会社を辞めた。妻には内緒だ。 ずっと入院生活を続けている妻に最先端の治療を受けさせるためには、どうしても年収1500万円以上は必要だった。
     しかし、この研修を受けた10人のうち、採用されるのは一人だけだった。

     いよいよ審判の時がきた。採用される者の発表だ。胸がドキドキする。結果はこうだ。

    「皆さん3カ月間の研修、お疲れさまでした。それでは今回採用させていただく方を発表します。――高橋浩二さん……」
     それを聞いて堂本は深く肩を落とした。妻の蒼い顔が目に浮かび、彼は途方に暮れた。
    「……そして堂本晋平さん。――今回は特別に2名採用することになりました」

    「まったく、ジェットコースターは心臓に悪いぜ」
     堂本は大きな溜息をついたあと、幽かな笑みを浮かべた。

    (了)

  • #3

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014 19:06)


    『ジャングル』 (外的葛藤のテクニック)

     私は疲れ果て、大木に背をもたれてじっと目を閉じていた。
     しばらくすると遠くから草木をかきわけて、誰かがやってくる気配がした。それが味方なら天国、敵なら地獄だ。

     実はこういうことだ。私は戦闘中、ジャングルにひとり迷い込んでしまい、すでに一週間になる。食料もつき、もう一歩も動けない。
     もし、やってくるのが味方であれば、私は助かる。しかし、それが敵の場合、私は殺されるだろう。最悪のケースは拷問にかけられた上でひどい死に方をすることになる。

     気配がすぐそこまできている。いよいよ審判の時がきた。しかし、私はすでに意識朦朧で、そのまま気を失ってしまった。

     結果はこうだ。目を覚ますと私は、ふかふかの草のベッドの上に寝かされていた。私の動きに気がついたのか、目の前にかわいいゴリラの子供がやってきた。見覚えのある子だ。何日か前に沼にはまってジタバタしているところを私が助けてやったチビゴリ君だ。
     少し離れたところで母親らしきゴリラが、優しく微笑んでこちらを見ていた。おそらく彼女が私をここまで運んでくれたのだろう。
     チビゴリ君はバナナの皮をむいて、それを私の口元に寄せた。私は遠慮なくひと口いただく。バナナの甘みとともに、その滋養が体中にしみわたるのを私は感じた。

    (了)

  • #2

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014 19:04)


    『渾身のスイング』 

     「都市対抗野球大会」準々決勝、9回裏ツーアウト満塁。私はツーストライクまで追い込まれていた。次の一球が勝負だと心に決めた。

     ヒットなら天国、三振なら地獄。

     実はこういうことだ。
     ヒットならサヨナラ勝ちになり、ベスト4が確定して野球部は存続する。しかし三振すればベスト8どまりで、この大会をもって野球部は解散になる。その場合、野球で採用された私はほどなく失業だ。

     ピッチャーが振りかぶり、腕を投げおろした。うっ、アウトコース高めのボール球だ。私は構わず渾身の力を込めてバットを振り切った。

     結果はこうだ。
     ボールは高く放物線を描いた。ライトへの凡フライに思われた打球は風にあおられて思いのほか伸び、フェンスすれすれでスタンドに入った。
     私にとって、人生初のホームランだった。

    (了)

  • #1

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014 19:01)


    『ど根性の営業マン』

     センター長は思った。
     明日の午前中までにあと20人以上の作業員が確保できれば天国、10人以下なら地獄。

     実はこういうことだ。
     新卒の営業マンが納期厳守を条件に、大型案件の受注を取ってきた。この案件を無事完了すれば、今後も当社に継続発注してくれるという。しかし、納期が守れなかったら当社は出入り禁止になる。
     商品部材も作業場所も確保したが、梱包の作業人員が明らかに不足していた。


     あと20人以上の作業員が確保できれば、なんとか納期に間に合うだろう。しかし、10人以下なら逆立ちしても間に合わない。

     センター長は複数の人材派遣会社にスタッフの依頼をしたが、今のところ5人しかつかまらない。本社の営業マンにも応援要請をかけているが、すでにアポイントが入ってしまっているのがほとんどで、応援要員は2人だけだった。

     いよいよ審判の時がきた。物流センター内はざわつき始める。

     結果はこうだ。
     翌日の11時を過ぎても10人の作業員の確保がやっとだった。皆がもはやこれまでと思ったそのとき、物流センター前に大型バスが止まり、今回の受注を取ってきた新卒の営業マンが降りてきた。

    「遅くなってすみません、大学の後輩をかき集めてきました。40人います!」

    (了)