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(7)謎のテクニック1/憶測

ちょっと変な人がいた。

○○○○○○○○○○○○。(違和感のある様子)

それを見て私は疑問に思った。

○○○○○○○○○○○○。(疑問文)

たぶん○○○○○○○○○○○○だろうと思った。(憶測1)

Aは○○○○○○○○○○○○だろうと言った。(憶測2)

Bは○○○○○○○○○○○○だろうと言った。(憶測3)

私たちは確かめることにした。

○○○○○○○○○○○○。

 

 

 

【文章例】

 

ちょっと変な男がいた。

その男は、タワシを連れて歩いていた。犬につけるリードをタワシにつけて新宿の街を歩いているのだ。

それを見て私は疑問に思った。

「どうしてタワシを連れてるんだろう」

フェイスブックでは、男の話題で盛り上がっていた。

「きっと最愛の犬が亡くなって気がふれたんだよ」

「いやいや、あれは単に目立ちたがり屋なだけさ」

「何かの宣伝じゃないか?」

いろんな憶測が飛んだ。

1人の女性が勇気を出して、男に話しかけた。

「ちょっとお聞きして、よろしいかしら? あなたは、なぜタワシを連れて新宿を歩いてらっしゃるのですか?」

すると、男はこう答えた。

「街を掃除しているところですが、何か?」(287w)

 

 

 

コメント: 26
  • #26

    あいけん (月曜日, 07 7月 2014 21:43)

    『異邦人』

     桜並木を歩いていると、数本先の桜の木の横に変な男がいた。
     帽子に白い鉢巻を巻き、その上に大きなゴーグルをつけている。そして全身深緑のつなぎを着ていた。なんだか旧日本軍のパイロットの様な出で立ちであった。
    男は驚いた様子で辺りを見回している。見たところ体は透けていないし、足もちゃんとある。どうやらあの世のものである。
     それを見て私は疑問に思った。
    「どうしてそんな格好をしているのだろう?」
    終戦記念日が近かったことから「どこかで記念式典でも行われるのだろうか?」と思った。道行く人たちもその人を横目に口々に噂し合っていた。
    「きっとコスプレなんじゃないかしら?」
    「何か政治団体のイベントでもやるんじゃないか?」
    私は考えれば考えるほど、その人の事が気になって仕方なくなった。私は思い切ってその人の肩を叩いた。
    「すいません。あなたは何故こんな格好をしているのですか?」そう聞くと男は目を丸くしながら「ここはどこだ? もしかしてここは未来の日本なのか?」
     本当に驚いている様だった。私は「ここは2014年の日本です。太平洋戦争が終わってから来年で70年になります。今ではすっかり平和になりましたよ」と伝えた。ひょっとしたらこの人、と思ってしまったのだ。
     すると男はなんだか急にホッとしたような顔をしてゆっくりと空を仰ぎ見た。
    「そうか、未来の日本は平和なのか。よかった」
     そう言うと男は空に吸い込まれるかのように、スっと消えていった。

  • #25

    浅加怜香 (水曜日, 02 7月 2014 06:25)

    『人は見かけによらぬ者』

    ちょっと変な男がいた。
    私が勤めているスーパーに、
    顔立ちは男性なのに、袖口部分にリボンがついているピンク色のシフォンブラウスにフリルがついている白いスカートを履いた女装男がやって来るのだ。

    それを見て私は疑問に思った。
    この人は男性だよね? 私はそう思っていた。
    従業員の中でも有名で、
    「なんらかの事情で女性になりたい人なのかもしれない」
    「きっと、女装が趣味な人なのよ」
    「いや、あぁ見えて実は、女性なのだろう」
    色々な憶測が飛び交っていた。

    私たちは確かめることにした。
    でもどうやって……。
    すると、
    「ちょっと待って下さい。まだお会計が済んでいないものがありますよ」
    男性の声が聞こえた。
    行ってみると、いい人そうな常連さんが、女装男に右手を掴まれている。
    「どうしたのですか?」
    私が声をかけると、
    「私は万引きGメンです。ここのお店の店長さんに頼まれて万引き犯を捕まえる為にずっと張っていました」
    へ~。相手を油断さえるためにこんな格好をしていたのね~。

  • #24

    山内たま (火曜日, 01 7月 2014 03:34)

    「彼女の事情」
    ちょっと変な人がいた。
    いつもその女性は電車に乗って、座れなくても基礎化粧水からメイクを始め、新宿に到着する30分みっちり化粧をしている。
    じつはその女性、隣の課に来ている派遣の野口さんだった。
    それを見て私は疑問に思った。
    彼女はなぜ毎朝同じ電車で基礎からメイクをするのだろう。すっぴんでも十分綺麗なのに…
    たぶん、朝が弱いのだろうと思ったが、朝活している私が乗っているこの電車は、かなり早い時間に会社へ到着する。
    同僚のミチコは電車の中が自分の部屋の延長だと思っているじゃない?まだ若そうだし。と言った。
    後輩のジュンは化粧水から鞄に入れて持って歩くなんて考えられない。きっと何か事情があるのでは?と言った。
    私たちは、晩ご飯に誘って、確かめることにした。
    「ねぇ野口さん、じつは毎朝、基礎からメイクしているの見ちゃって…早く出社してるのに何でかな?って…」。
    野口さんは耳まで真っ赤になり、うつむいたまま黙り込んでしまった。
    「あっ、ごめん。言いたくなかったら言わなくていいから!」
    「ひ、引かないでくださいね…」
    「えぇ?…あ、うん」
    「私、まだ家族にカミングアウトしてなくて、自宅では男なんです。だからあの時間しかメイクできなくて…」
    私たちはこの美しい彼女を、引くどころか前に詰め寄って眺めた。

  • #23

    まりこ (火曜日, 01 7月 2014 01:58)

    「美人受付嬢」

    今日の午後は浜田コンサルティングの受付の女の子の話で盛り上がった。場所は浜田コンサルティングの斜め前にあるスタバだ。たまたま浜田コンサルティングに出入りしているA社B社の営業マンと出くわし、席も無かったので相席にしてもらった。何となく話し始めると盛り上がってそこにC社の営業マンも加わったのだ。最近浜田コンサルティングに新しい受付嬢が入った。美人で、応対ぶりからすると頭も良さそうだが、なんか変なんだ。その娘の話だった。

    A社の営業マンが言った。
    「俺、この間、言っちゃったんだ。メアド教えてくれない、って。ちっちゃい声でね。そしたら小さな紙を渡してくれて、普通の声で答えるんだ。メアドはこちらでございますってね。見ると浜田コンサルティングの所在地と会社のメアドが印刷された紙なんだ。ちって思ったね。隣の受付嬢も俺をじろって見るしね。ありゃあ、ちょっと意地悪な女だね。でないか、ピントのずれた女だ。」

    B社の営業マンが言った。
    「お前、アタックしたのか。実は俺も。この間ね、デートしないって言ってみたんだ。するとね、俺の顔を不思議そうに見て黙ってしまったんだ。俺の言っていることの意味がわからないっていう表情でね。あの子って家族以外の男性と接触したことがないようなお嬢様なんじゃないのか。うぶなんだよ。」

    C社のセールスマンが言った。
    「いやちょっと馬鹿なんじゃないか。俺が駄洒落を言うと、笑いもしないで、それはどういう意味でしょうか?って真顔で聞くんだ。いっつもいっつも。」

    「何にしても変わった女だぜ。」というのがみんなの結論だった。
    その結論とは別に俺は驚いた。みんな彼女にいろいろアタックしているのだ。俺も出遅れてはならない。
    俺は夕方浜田コンサルティングに寄った。そして彼女の前で、言った。「ねえ、晩飯食べに行かない?」
    彼女は答えた。「それは充電しに行こうということでございますか。」
    「そう、充電。」
    その時隣に座っていた受付嬢が言った。「ごめんなさいお客様、彼女はアンドロイドなんですよ。」

  • #22

    星野ゆか (火曜日, 01 7月 2014 01:05)

    ※訂正したものです。お手数をおかけして恐縮です。

    『着ぐるみ』

    ちょっと変な人がいた。
    新宿で、着ぐるみを着た集団がチラシを配っていた。
    僕は、疑問に思った。
    『何故、皆が着ぐるみを着ているんだ?』
    僕は恋人に、「ゆるキャラのコンテストかな?」と聞いた。
    彼女は、「この時期にコンテストをやるなんて聞いていないわよ。新しいゆるキャラのイベントじゃない?」

    僕は気になったので、彼女と一緒にリスの着ぐるみから、チラシを受け取った。
    チラシには、「アンケートに答えれば、カフェのケーキセットが無料!」と記載されていた。
    彼女は「ケーキセット無料だって!せっかくだからカフェに行こうよ~」
    僕は疑心暗鬼になりながら、カフェに入った。
    『本当にカフェの宣伝なのか?宣伝にわざわざ着ぐるみを使うとは怪しすぎる。アンケートは口実で、高いものを買わせる悪徳商法ではないか?』
    アンケートは簡単な質問に答えるもので、記入が終わるまで1分もかからなかった。
    指定の箱に入れると5分後、ケーキと飲み物が2人のもとへ運ばれてきた。
    予想以上にケーキがおいしく、彼女の幸せそうな表情を見ながら僕は、拍子抜けしていた。
    「なんだ・・・ケーキセットが無料だなんて信じられないが、オーナーは大金持ちなのか?」

    どうしても気になってしかたがない僕は、勇気を出して着ぐるみの1人に聞いてみた。
    ウサギの着ぐるみは、かわいらしい声で答えた。
    「実は、私たちは六本木にあるシェアハウスに住んでいます。今月中に新しい住人が入らなかったらシェアハウスをやめると大家さんから言われたんです。
    そこで私たちは協力して、シェアハウスに興味を持つ人を探していたんです。普通にチラシを配っても、誰も興味を持たないでしょ?だから着ぐるみでチラシを配ってカフェに案内することにしたんです。
    ちなみにカフェは私の仲間が経営している店なんですよ。そしたら興味を持ってくれる人が集まるし、店の宣伝にもなるから一石二鳥でしょ?あはは~」

  • #21

    翔一(篠木謙一) (月曜日, 30 6月 2014 23:37)

    「振り返り」

    変な人がいた。
    学生時代に俺が参加したすべての文化祭でいつも同じ爺さんがいる。
    それを見て俺は疑問に思った。
    「なんであの人はいつも文化祭にいるんだろう」
    その人を見かけるたび、俺はそのことを友人に話す。
    同じクラスの将人は「お爺さんの孫が何かの偶然で同じ学校に進学しているんじゃない」といった。
    そして康介は「ひょっとして、お前に幽霊かなんかがとりついてて、それが見えてるんじゃないの」といった。
    俺は確かめることにした。
    「失礼ですが、お孫さんをお探しですか?」
    すると、老人は微笑み、こう答えた。
    「あなたを探して、遠くから見ていたんです」
    俺の頭の中に疑問符が浮かぶ。
    近くで見ると、その人の顔はどこかで見たことのある面影があった。だが俺の知る限り、こんな爺さんは親戚にはいない。
    「私は60年後のあなたです。死ぬ前に自分の人生が本当に幸せであったか、こうして過去に戻りながら、その当時の自分を見ていたんです」

  • #20

    星野ゆか (月曜日, 30 6月 2014 23:21)

    『着ぐるみ』

    ちょっと変な人がいた。
    新宿で、かわいらしい着ぐるみを着た集団がチラシを配っていた。
    僕は疑問に思った。
    『何故、皆が着ぐるみを着ているんだ?』
    僕は恋人に、「ゆるキャラのコンテストかな?」と聞いた。
    彼女は、「この時期にコンテストをやるなんて聞いていないわよ。新しいゆるキャラのイベントじゃない?」

    僕は気になったので、彼女と一緒にリスの着ぐるみから、チラシを受け取った。
    チラシには、「アンケートに答えれば、カフェのケーキセットが無料!」と記載されていた。
    彼女は「ケーキセット無料だって!せっかくだからカフェに行こうよ~」
    僕は疑心暗鬼になりながら、カフェに入った。
    『本当にカフェの宣伝なのか?宣伝にわざわざ着ぐるみを使うとは怪しすぎる。アンケートは口実で、高いものを買わせる悪徳商法ではないのか?』』』』
    アンケートは簡単な質問に答えるもので記入が終わるまで1分もかからなかった。
    指定の箱に入れると5分後、ケーキと飲み物が2人のもとに運ばれてきた。
    思ったよりケーキがおいしく、彼女の幸せそうな表情を見ながら、僕は拍子抜けしていた。
    「なんだ・・・ケーキセットが無料だなんて信じられないが、オーナーは大金持ちなのか?」

    気になってしかたがない僕は、勇気を出して着ぐるみの1人に聞いてみた。
    ウサギの着ぐるみは、かわいらしい声で答えた。
    「実は、私たちは六本木にあるシェアハウスに住んでいます。今月中に新しい住人が入らなかったらシェアハウスをやめると大家さんから言われたんです。そこで私たちは協力して、シェアハウスに興味を持つ人を探していたんです。普通にチラシを配っても誰も興味を持たないでしょ?だから着ぐるみでチラシを配ってカフェに案内することにしたんです。ちなみにカフェは私の仲間が経営している店なんですよ。そしたら興味を持ってくれる人が集まるし、店の宣伝にもなるから一石二鳥でしょ?あはは~」

  • #19

    dainosuque (月曜日, 30 6月 2014 23:13)

    ちょっと変な人がいた。
    電車の中、女性がスマホを見ながらニヤニヤしている。
    それを見て私は疑問に思った。
    たぶん昨日壁かなんかに頭をぶつけて、ぶつけ所が悪かったのだろうと思った。
    それとも、役者かなんかで笑いの練習をしているのだろうか。
    はたまた、見えないものが見えておかしくなっているのか。
    私は確かめることにした。
    「昨日の録画していたバライティ番組みているんですよ」

  • #18

    星野ゆか (月曜日, 30 6月 2014 22:36)

    『紙芝居』

    奇妙な人がいた。
    明らかに目立つ黄色いスーツ、キラキラしたリボンネクタイ、赤くて大きいハット、やたらとでかい黒ぶちメガネをかけた男性が、紙芝居をしていた。
    ど派手な格好とは裏腹に、その男性の語り口はとても優しかった。
    小さな子どもと昔を懐かしむ老人が集まり、ちょっとした人だかりができていた。
    それを見て私は疑問に思った。
    『何故、紙芝居なのかしら?』

    一緒にいた夫と息子に、「ノスタルジアブームでも来ているのかしら?」と聞いた。
    夫は「大道芸人も紙芝居をやる時代になったんじゃない?紙芝居は珍しいから、お客さんが集まるんじゃない?」と言った。
    息子は「よくわからないけれど、何かのイベントじゃない?僕も紙芝居聞きたい~。」
    家族3人で、紙芝居を聞くことにした。
    意外にも紙芝居だけで終わり、「楽しんでいただけましたら、ご褒美をお願いしま~す。」という呼びかけすらなかった。

    翌日、買い物の帰り道で紙芝居をやっている奇妙な男性がいた
    私はどうしても気になったので、勇気を出して聞いてみた。
    すると、奇妙な男性は優しい笑顔で答えた。
    「実は、小学校のお受験に特化した塾講師の採用試験を受けていたのです。パフォーマンスで20人以上の子供を集められるか?という1次試験があり、私は、今の時代では珍しい紙芝居を選びました。」
    私は思わず「塾講師の採用試験?」と口にした。
    奇妙な男性は続けた。
    「このリボンネクタイには小型カメラが内蔵されています。パフォーマンスで何人の子どもを集めたか?が採用担当者にも分かるシステムになっています。少子化で塾講師も人気商売になり、採用試験のハードルも高くなってきているのです。人気がある講師には年収2,000万以上の報酬が約束されていますので、試験に受かるためには何でもやりますよ。そうでもなきゃ目立つ格好でわざわざ紙芝居をやったりしませんよ。」

  • #17

    夏来 みか(戸部みか) (日曜日, 29 6月 2014 21:11)

    「お守り」

    ちょっと変な人がいました。

    透明のビニール袋に、
    焼き鳥の串が沢山入っている袋を
    背中に背負っている、白髪の女性です。

    それを見て私は疑問に思いました。
    なぜ彼女は、焼き鳥の串を沢山持って歩いているのでしょう?
    焼き鳥屋さんなのでしょうか?
    焼き鳥の串を集める業者さんなのでしょうか?
    焼き鳥の串がご神体の宗教家なのでしょうか?

    私たちは確かめることにしました。
    「どうして焼き鳥の串をそんなに大量に持ち歩いていらっしゃるのですか?」
    するとその女性は答えた。
    「これは、私のお守りなのです。」

  • #16

    佐伯 悠河(小林亜紀) (日曜日, 29 6月 2014 20:28)

    「任務完了」

    ちょっと変な人がいた。
    週末の午後の電車、車両の端の座席に、花束を持ちお揃いの服を着た美女たちが座っているのだ。
    それを見て私は疑問に思った。
    「あの人達、なんで揃って花束持ってるんだ?」
    一緒にいた友人たちが口々に言う。
    「生け花の発表会の帰りじゃないかしら」
    「結婚式の花をもらって帰るところとか」
    「いやいや、なんかのパフォーマンスかもしれないぞ」

    電車が新宿に止まり、美女たちが揃って席を立つ。私達は行先を確かめることにした。
    彼女たちは一人ずつ違う出口に向かっていく。私達も分散して後を追った。
    私の追っていた女性がふいに立ち止まり、壁に背を向けて立つと、艶やかにほほえんで一礼した。
    その背後の壁には、彼女と同じ服で花束を持った女優が映る、新作映画の大型広告ポスターが貼られていた。

  • #15

    岡田那津子(おかだなつこ) (日曜日, 29 6月 2014 12:53)

    「スキップ&スマイル」

    ちょっと変な人がいた。

    ド派手な羽根をあしらった真っ赤なティンガロンハットに、真っ赤な短パン、両腕には軽く10本以上はあるだろうと思われる数のパワーストーンのブレスレッド。そして、レイバンっぽいサングラスでにこにこしながら駅前を何度となくスキップで往復している細身の60歳くらいの男性がいるのだ。そういえば、この前はやっぱり羽根をあしらった麦わら帽子に着流し、雪駄に、やっぱりレイバンっぽいサングラスで同じように駅前を何度もスキップして往復していた。あまりにも目立つので、このあたりではちょっとした有名人になりつつある。

    それを見て私は疑問に思った。
    そもそも、何であんな恰好で駅前を何度もスキップしながら往復しているんだろう。それも、人の多い通勤時間帯を狙って。たぶん、認知症かなにかなのかだろうか。

    偶々、その場に居合わせたカップルの男性は「ほら、また居るぜ。暑いからおかしくなっちゃったんじゃないか?」といって笑った。

    連れの女性は「あんなに沢山羽根を付けてるってことは痛いと熱狂的な宝塚ファンで、タカラジェンヌになりきってるんじゃない?」といって笑った。

    どれも違うような気がする。そう思ったら、私は確かめずにいられなかくなり、恐る恐るその男性に声をかけてみた。

    「あの、どうしてそんな派手な格好でスキップしているんですか?笑われてるのに・・・。」

    すると、その男性はサングラスを外してにっこりとほほ笑んだ。

    「お嬢さん、僕はね、笑われたいんですよ。この町はすっかり寂れてしまってみんなうつむいて歩いているでしょう?僕を見て、少しでも笑うことを思い出してもらえればうれしいなぁってね。ただそれだけなんですよ。ちなみに、サングラスはね、ちょっとした照れ隠し。」

    そういって、にっこり笑うと、またサングラスを付けた男性はスキップをしながら人ごみに消えていった。

  • #14

    蘭子(佐藤晶子) (日曜日, 29 6月 2014 08:21)

    佐紀が怒ったり泣いているのを誰もみたことがない。
    上司に叱られても、同僚に嫌なことを言われても、辛いことが起きていてもいつも笑っている。
    笑顔でいると言うよりは、へらへらしている。

    それを見ている私は疑問を超えて、不快感を覚える
    なんで彼女はいつも、笑っているのだろうか?

    「人に嫌われるのがイヤなんだよ」これは私の意見。

    「どっか神経が麻痺していて、私達がイヤだと思うことも感じないんじゃないの」と奈々子は彼女独特なシニカルな分析をする。

    絵里はこんな風に言い出す。
    「あの子、アダルトチルドレンじゃないのかなぁ。
    子供のころお母さんや家族に、厳しいことを言われて傷ついていると、感情を消すことで自分を防御しちゃうんだって」

    その言葉を聞いた私は無言になった。
    アダルトチルドレンなのは私も同じだから。
    でも、私は彼女のようにヘラヘラなんてしない。
    感情を消さないで、どんどん攻撃的にしていけば、誰も私のことを責めたりしないのだから。

    私たちは佐紀に確かめてみることにした。
    ねぇ、佐紀ってさ、なんでいつも怒ったりしないの?
    さっきだって、飯田君にとっても失礼なこといわれてたじゃない。
    なんで笑っているの?
    誰かに遠慮しているの? ねぇなんで?
    次第に私達は感情が高ぶってきた。

    すると佐紀はこう言った。
    「ほらいつも笑っていると運気があがるって言うじゃないですかぁ〜。だからですよ〜」
    呑気な佐紀の言葉に、ひさしぶりに怒りが湧いてきた。

  • #13

    翔一(篠木謙一) (土曜日, 28 6月 2014 22:16)

    変な人がいた。
    学生時代に俺が参加したすべての文化祭でいつも同じ爺さんがいる。
    それをみて私は疑問に思った。
    「なんであの人はいつも文化祭にいるんだろう」
    その人を見かけるたび、俺はそのことを友人に話す。
    同じクラスの将人は「お爺さんの孫が何かの偶然で同じ学校に進学しているんじゃない」といった。
    そして康介は「ひょっとして、幽霊かなんかがとりついてて、それが見えてるんじゃないの」といった。
    俺は確かめることにした。
    「失礼ですが、お孫さんをお探しですか?」
    すると、老人は微笑み、こう答えた。
    「あなたを探して、遠くから見ていたんです」
    俺の頭の中に疑問符が浮かぶ。
    近くでみてみると、その人の顔はどこかで見たことのある面影があった。俺の知る限り、こんな爺さんは親戚にはいない。
    「私は60年後のあなたです。死ぬ前に自分の人生が本当に幸せであったか、こうして過去に戻りながら、その当時の自分を見ていたんです」

  • #12

    鵜養真彩巳 (土曜日, 28 6月 2014 00:09)

    「人気者」

     ある日の夕方、妻と近所の橋を通りかかったとき、不思議な光景を目にした。
    禿げ頭の男を数人の女性が取り囲み、写真を撮っている。彼は橋の向こう側にいて、後ろ姿しか見えない。
    「ねえ、あの人誰かな?」私は妻に尋ねた。
    「さあ、有名人?俳優かしら。」
    黒っぽい服を身に着けているのは見えたが、顔まではまだよくわからない。女性たちと熱心に話をしているようだ。
    「国会議員とかで、あんな人いなかった?」
    そんな僕に、妻はちょっとあきれた顔をして、
    「国会議員ってそんなに人気者?繁華街も近いし、ホストじゃないの?」と言う。
    すると、一人のお婆さんが彼に手を合わせ、深々と頭を下げた。
    ますますわからない。
    「ちょっと、見てこようか。」
    近くまで来てみると、男は作務衣姿で、箒とゴミ袋を手にしている。そしてこちらを振り返ると、涼しげな目元で微笑みながら、軽く会釈をした。
    すれ違いざま、あ、と妻が小さく声を上げ、私にささやいた。
    「この人、昨日テレビに出ていたイケメン坊主だわ。若い子にすごい人気で、清掃活動のボランティアしているんですって。」

    坊主もイケメンが求められる時代・・・?
    もくもくと1人で掃除をしている彼をみながら、僕はどう思ったらいいのか、わからなかった。

  • #11

    山口倫可 (火曜日, 24 6月 2014 20:53)

    「発明家」

    電車の中でちょっと変な人物に出会った。
    スマホをいじる人の中、彼はカバンからおもむろに
    タブレットサイズの板のような物を取り出し、
    なにも写っていないその板を
    じっと見つめているのだ。

    それを見て私は不思議に思った。
    彼だけに何か見える、特別な板なのだろうか?

    会社に行ってその話をすると、
    電車の中で彼を見かけた者は多く
    結構な有名人だった。

    同僚の宅間は、「物フェチなんじゃないか?持ってないと不安になるってやつさ」と言った。

    後輩の高野は、「本物買えないから、持ってる風に装ってるつもりなんじゃないっすか?」と言った。

    私は気になって、
    翌日勇気を出して聞いてみた。
    すると彼はこう言った。
    「私は発明家なのですが、最近の便利なツールを利用しているうちに、全くアイデアが浮かばなくなってしまったのです。いつでもどこでも繋がることで、私の場合返って創作意欲をなくしてしまうのです。そのとき、思い出したんです。子供の頃使っていた石板ことを。書いては消し書いては消しして大切に使っていた石板ですが、私の頭の中にははっきりとした記憶が出来上がり、それが繋がってアイデアがバンバン浮かんできたことを」

  • #10

    山口倫可 (火曜日, 24 6月 2014 20:52)

    「三白眼」

    最近バイトに入ってきた子の中に、
    ちょっと変な娘がいた。
    いつも、これでもかというぐらい目を見開き、
    顔中の筋肉を強ばらせて会話するのだ。

    それを見て私は不思議に思った。
    彼女はどこか調子が悪いんじゃないだろうか?

    店長は、流行の美容法なんじゃないのか?

    販売の木村さんは、三白眼は悪人の相っていうよなと言った。

    私は、どうにも心配で彼女に直接聞いてみた。

    すると彼女はこう言った。
    「私、子どもの頃から人嫌いなんです。人の目を見て話せって親には言われてるんですけど、なかなかそれができなくて…。ある日、こうやって大きく目を見開いていれば、目を見なくても相手の人は見ているように感じるって気付いたんです。それでこうやって話すのがくせになりました」

  • #9

    山口倫可 (火曜日, 24 6月 2014 20:51)

    「精進」

    女友達と、久しぶりに都内の屋外プールに行った。
    すると、変な集団が一コース使って猛特訓をしていた。
    色白の男性集団で、みなスキンヘッドだった。
    コーチとおもわれる男に怒鳴られながら
    みな必死に繰り返し繰り返し泳ぎ続けていた。

    それを見て私達は疑問に思った。
    六本木近くだから、夜のお仕事の男たちなのだろうか?

    ひとみは、何かの罰ゲームなんじゃない?と言った。

    みどりは、何かの業界人なんじゃない?と言った。

    私達は思い切ってコーチとおもわれる男に聞いてみた。

    すると彼はこう言ったのだ。
    「私達は、住職ジュニア世代なんです。今どきの檀家さんたちは、みなルックスの良い住職が好みなので、我々は韓流スターのような体型を作ろうと精進しているのです」

  • #8

    山口倫可 (火曜日, 24 6月 2014 20:50)

    「ナザレのイエス?」

    ちょっと変な人がいた。

    その男は、長い距離をブツブツ言いながらひたすら歩いていた。
    いつも髪はぼさぼさ、服は埃まみれで靴は穴だらけだった。

    それを見て私は疑問に思った。
    車でなければ移動できないほどの距離を、なぜ歩いているんだろう?

    母は、たぶん気が触れちゃった人なのよといった。

    妹は、きっと物乞いなのよ。施しを与えてくれる人を探しているに違いないわといった。

    彼が通りかかったとき、私は思いきって聞いてみた。

    すると、彼はこう言ったのだ。

    「私は、世界を救うために使わされたイエスなのです。愛と希望を説くために、毎日こうやって歩いて布教しているのです。けれども、最近はみな私の話を聞こうともしない。家に入れてくれようともしない。あなたは本当に久しぶりに私に話かけてくれた人です」

    そのあと、私は長々と彼の説教を聞く羽目になった。

  • #7

    林夏子 (月曜日, 23 6月 2014 17:27)

    「ご婦人とインコ」

    ちょっと変な人がいた。
    近所の公園に大きな声でインコに話しかけているご婦人がいた。
    それを見て私は疑問に思った。
    どうしてあんな大きな声でインコに話しかけているのだろう。
    たぶんよほどインコが可愛いのだろうと思った。
    息子はちょっと頭のおかしい人なんだと言った。
    夫はきっと最愛の人を亡くされてインコが彼女を癒してくれているのだろうと言った。
    私たちは確かめることにした。
    彼女とインコに近づくと、インコはご婦人の言葉をオウム返ししていた。
    「こんにちは」「コンニチハ」
    ああ、このインコはお喋りができるのね。

  • #6

    高山雄大(髙荷一良) (土曜日, 21 6月 2014 19:17)

    「ICチップ」

    ここは四方が山に囲まれたのどかな田園風景が広がる田舎町。
    そこに変な人が出没し始めた。
    耳にはヘッドホンをつけ、手には携帯電話のようなものを持ち、画面に見入っている。
    時折、鋭い眼光であたりをうかがいながら歩きまわっている。
    ひとり、ふたり、…、7人8人とその数はどんどん増えていく。

    それを見て私は疑問に思った。
    何でまたこんな自然の恵みが息づいている場所でしきりに画面とにらめっこしているんだろう。
    都会の暮らしと同じ行動してたらここに来る意味はないのに。

    物珍しさも手伝ってあちこちで立ち話が始まった。
    「あれまぁ、あんなにせかせか歩いて。おまけに小難しい顔をして。流行歌でも聞いているんならあの顔はないわな」
    「まったくなぁ。そういえば、国の偉い人がうちの町に来るって話を聞いたで。来る前に怪しいもんがいるかいないか探っているんじゃないかね」
    「いやいや、あれはそうじゃねぇな。うちの町に持ち運ぶ電話を売り込もうとしているんだ。でもダメだな。そんなものなくたって話はできるわい」
    町中がにぎやかになってきた。

    ひとりのあどけない少女が前に進み出て男に話しかけた。
    「おじさんたち、何で耳をふさぐ道具をつけているの?手に持っているものは何?」
    男は周囲を見渡し、
    「私は怪しいものじゃありません。誘拐などしませんよ」
    と宣言した。
    そして少女のそばにしゃがみ込み、
    「この道具はね、何処にいるかわからない人を探す機械なんだよ。
    この頃、都会では突然出かけたきり家に帰って来ない人が増えちゃってね。でも体の中にはICチップが埋め込まれてあるからすぐに居場所はわかるんだ。音声案内に従って指し示す場所に行けば見つかるというわけ。だけど今日はおかしい。探さなきゃいけない人がこの町のどこかにはいるんだけど、その場所がいくつも画面に出てきてしまってさ。正直困っているんだ」
    「ふ~ん。だったらそんなの使わなくたって大丈夫だよ。ここはみんな顔見知りだから。知らない人がいたらすぐにわかるよ」

  • #5

    敷布団 (木曜日, 19 6月 2014 21:47)

    『ジャンク品の価値』

    「即決? バカかコイツは?」
     ネットオークションからメールを見て、俺は思わずつぶやいた。
     俺が出品したのは20年前のTVゲーム機。黄ばみ、落書きもあり、動作確認すらしていない、いわゆるジャンク品だ。
     最低落札価格は500円、即決価格は冗談で1万円に設定した。
     出品から1年以上、一度も入札すらされずにきたのだが……。
     それが初の入札で、いきなりの即決なのだ、俺が喜ぶよりも訝ったのもしょうがないと言えるだろう。
     この落札者はなにを考えているんだ?
     落札してから値段交渉するつもりか?
     それなら問題ない。正直、送料だけでも構わないぐらいだ。
     それとも商品が粗悪品であると難癖をつけるクレーマー落札者か?
     私は落札者の評価を見たが、概ね「非常に良い」の評価をもらっているし、コメントも丁寧でトラブルを起こして喜ぶような輩とも思えない。
     あるいは勘違いか間違いで落札したか?
     これはありそうだ。落札者に改めて遊べるかどうかもわからないジャンク品であることを確認するメールを送った。
     しかし返事はすべて承知の上で落札したというものだった。しかも自分の住所も書いてきて、振り込み先を早く教えろと急かしてきた。
     私は、相手の住所と名前を見て、あっと驚いた。
    「アキラじゃないか」
     20年前、小学生のころの友人の1人である。
     アキラとマサオと、そして俺の3人でよくこのTVゲームで遊んだものだ。
     そのアキラが落札したというのは偶然だろうか?
     俺はアキラに連絡を取った。
     アキラの話を聞き、また俺は驚いた。
     マサオが病床にあり、もう先は短いらしい。
     そんな時に思い出のゲーム機がネットオークションに出品されているのを偶然発見して即決した。これで思い出話に花を咲かせたいとのことだった。
     なるほど、思い出の品だから1万円でも即決したわけだ。
     それなら、こちらも相応の対応をしよう。
     俺はさっそく次の日曜、ゲーム機を持ってマサオの入院している病院に行った。
     そして3人で昔話に花を咲かせた。

  • #4

    夏来 みか (月曜日, 16 6月 2014 23:09)

    『カフェでの出来事』
    ある晴れた日曜日の午前9時。
    のんびりとした空気が漂うカフェで朝食をとっていました。
    隣に座った男性は、コーヒーを飲もうとしました。
    ところが、カップの中身を、全てバチャバチャと口からこぼし、
    トレーはコーヒーの海ができました。
    それでも、その男性は、コーヒーを飲む動作を再びします。
    次に、カップをコーヒーの海となったトレーの上に置きます。
    みたびコーヒーを飲む行為をして、カップをトレーに置きます。
    同じ動作をずっと繰り返しています。
    隣の人は、何のためにそんな事をしているのでしょうか?
    お酒に酔っているのでしょうか?
    精神的な病気なのでしょうか?
    何かの儀式なのでしょうか?
    隣で同じ動作を繰り返しているのは、とても気にかかります。
    勇気をだして聞いてみました。
    「大丈夫ですか?」
    すると、今度はその男性の動作がぴたりと止まってしまいました。
    そして、カフェの自動ドアが空き、
    あたふたと入ってきた男性が隣の席へきました。
    双子でしょうか?入ってきた男性と隣の男性は、そっくりです。
    ドアから入ってきた男性がいいました。
    「お騒がせいたしまして、ごめんなさいね。これ、僕が作ったアンドロイドなんです。
    ちょっと、故障しました」

  • #3

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014 19:57)


     『中途採用のAの秘密』

     中途採用で入ったAは、誰よりも早く出社し、誰よりも遅くまで会社に残っていた。彼は営業職なので残業手当はつかない。また、事務処理も早く、営業成績もいいので、頑張っていることをアピールするためのパフォーマンスも必要ない。だから社内の誰もがAの行動を不思議に思っていた。

     Aを採用した人事担当者は、「彼はとにかく慎重で真面目なんだ」と説明した。
     直属の上司は、「あいつは、仕事人間なんだよ」と言った。
     同僚達は、「いや、奴は家に帰りたくない特別な事情があるんだろう」と、やっかみまじりに噂した。

     そういう中、Aに対してほのかに恋心を抱いていた事務職のB子が、勇気を出して彼に尋ねた。
    「Aさんはどうして毎日そんなに長い時間仕事をしているんですか?」
    「僕は仕事で妥協したくないんです」とAは答えた。

     しかし、その数日後、Aは懲戒解雇になった。彼が社内の機密情報をライバル会社に漏洩していたことが判明したのだ。

    (了)

  • #2

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014 19:56)


     『ジョンの秘密』

     近頃、ジョンの様子がおかしい。小学校で一番の暴れん坊の彼が、まるで優等生のようにおとなしいのだ。ひそかにジョンへ思いを寄せていたアンは心配になった。同じクラスの皆も疑問に思っている。
     ポールは、「きっとこれまでの悪さで、校長先生に大目玉をくらったんだ」と言った。
     ジョージは、「また、虫歯が痛み出したんだろう」と言った。
     リンゴは、「いや、あれは恋煩いに違いない」と大人びたことを言った。

     ずっとナンバー2の存在だったポールはこのときとばかりに、しつこくジョンにちょっかいを出した。いつものジョンであればポールなんか簡単にやっつけてしまうのに、今はなぜかじっとガマンしている。
     皆には秘密なのだが、実はアンにはリッチという妖精の友達がいた。アンはどうしても気になったので、勇気を出してリッチにジョンの調査を依頼した。

     調査を終えたリッチは、こう答えた。
    「ジョンの大好きなお婆さんが病気になって、もうすぐ手術をするらしい。とても難しい手術らしいが、ジョンはどうしても成功してほしいと願っている。ジョンのお婆さんは日本人なので、彼は日本の神様に『これからはいい子になるのでどうかお婆さんを助けてください』とお願いしたんだ。ほら、彼のカバンについているあのアクセサリー、あれは日本の『御守り』といって、神様のご加護を願って身に着けるものなんだよ」

     今日もポールは調子に乗って、ジョンにデコピンをするなどやりたい放題だ。しかし、それでも彼はずっと耐えていた。それを見ていたアンは、たまりかねてすくっと立ち上がると、スタスタと歩いて行ってポールを突き飛ばした。

    (了)



  • #1

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014 19:54)


    『ジュンク堂池袋店の謎』

     池袋の「ジュンク堂」にここ2週間、毎日やってくる70代と思われる女性がいた。彼女はなぜか毎日、必ず同じ本を一冊買っていく。

     店員Aは、「きっと著者の熱狂的なファンなんだろう」と言った。
     店員Bは、「出版社に頼まれたサクラじゃないか」と言った。
     店員Cは、「もしかするとあの人、認知症なのかもしれないよ」と言った。

     そんな店員の会話をふと耳にした店長が、レジで待機し、とてもジェントルな物腰で彼女に尋ねた。
    「お客様、いつもご利用ありがとうございます。もし差支えなければ、なぜ毎日こちらの本を一冊ずつご購入いただいているのかお伺いしてもよろしいでしょうか? すみません、店員たちが不思議がっているものですから」
     彼女はとても上品な笑顔で答えた。
    「あら、ビックリさせてごめんなさい。この小説、うちの息子が初めて出版した本なの。ずっと作家になるのが夢で、50過ぎてやっと念願が叶ったのよ。それで私も感謝の気持ちを込めて、毎日一冊ずつ買って知り合いに送っているの。親バカね」

    (了)