テンプレート1


(1)葛藤のテクニック1

 

本当なら○○○○したい。しかし、それはできない。

なぜならば○○○○だからだ。

時間は刻々とすぎていく。私はどうすればいいんだ。

○○○○○○○○○○○○。(主人公の心情を描写)

周囲が騒ぎはじめた。○○○○○○○○○○○○。(周囲の様子)

私は決めた。○○○○○○○○○○○○。(最終的にどうなったか)

 

 

 

【文章例】

本当なら、こんな会社辞めてしまいたい。

しかし、それはできない。

なぜならば、時代は買い手市場で転職組はほとんど地獄を見ているからだ。

時間は刻々とすぎていく。私はどうすればいいんだ。

このまま、こんなブラック企業で飼い殺しにされるのだけは嫌だ。

周囲が騒ぎはじめた。

同僚や後輩たちが集団で辞表を出すと言いだした。

私は決めた。

辞表を出す連中と起業するのだ。起業した会社は順調に成長していった。

しかし、5年後。その会社の社員たちが「ブラック企業だ」とネットで書きこむようになった。

 

 

 

コメント: 26
  • #26

    あいけん (月曜日, 07 7月 2014 22:31)

    『ファイヤーマン』

     本当ならば少女を助けてあげたい。しかし、それはできない。なぜならば燃え盛る炎がガソリンに引火して、いつ爆発するか分からない危険な状態だからだ。
    実は液化天然ガスを積んだ貨物車が脱線して、線路横の道を走っていた車がその下敷きになったのだ。グシャグシャに潰れた車が火を吹いている。その上にいつ爆発するかもしれないタンクがどんと横たわっている。
    私が助けに行ったとしても、あの炎だ。それにもし爆発したならば確実に死ぬ。助けに行くのは自殺行為に等しい。現場の誰もが歯を食いしばりながら放水を続ける事しかできない程の状態であった。
     時間は刻々と過ぎていく。私はどうすればいいんだ。
     逃げ遅れた少女が今あの車の中でどれほど心細い思いをしているのであろう。どんなに怖い思いをしているだろう。私はここでただ黙って見ているだけしかできないのか。
    私はふと自分の娘の顔が思い浮かんだ。もしあそこに閉じ込められているのが自分の娘であったなら黙って見ている事が出来るだろうか。
    自分の娘を助けに行かんと暴れ、仲間に抑えられているあの娘の父と母の悲痛な叫びが僕の背中を強く押した。
     周囲が騒ぎ始めた。車のガソリンに引火してさらに火が勢いを増したのだ。
     私は決めた。少女を助けに行くのだ。私は自分の背の何倍もの高さの炎の中に飛び込んでいった。
     気がつくと、私は担架の上にいた。そして、私の手の中には少女の重みがずっしりとのしかかっていた。どうやら助ける事が出来たようだ。
    「お前、防火帽はどうした?」ひとりの仲間が心配そうに声をかけてくる。
    「そうだった」私は思い出したように腕の中の少女にかぶせた防火帽をゆっくりと取った。
    「よかった。この子の可愛い顔に傷がつかなくて」

  • #25

    あいけん (月曜日, 07 7月 2014 22:16)

    『共犯者』

     本当ならここで殺される母を助けたい。しかし、それはできない。なぜなら、歴史が変わってしまうからだ。助けてしまえば歴史が変わり、僕は死刑にも匹敵する時代犯罪者となってしまう。
     母は僕のいた時代から10年前、この歩行者天国で起きた無差別殺傷事件で、犯人の少年2人組に殺された。一人は逮捕されたが、その後もう一人は今も捕まっていないらしい。
     僕はどうしても真実が知りたいと、10年後の未来からタイムマシンでこの時間軸にやってきたのだ。
     昼の13時34分まであと数分だ。もうすぐここであの忌まわしい事件が起こる。
     懐かしい母の姿が僕の目の前を通り過ぎた。母が倒れていた街路樹まで後数メートルだ。犯人の少年は怪しい目をぎらつかせ、母の数メートル後ろを歩いている。私はどうすればいいんだ。
     周囲が騒ぎ始めた。犯人が一人目の犠牲者である女子高生に切りかかり、無差別殺人が始まったのだ。
     私は決めた。自分の母が目の前で殺されるのを黙って見過ごせる子がどこにいるだろうか。母が殺される前に犯人を殺すのだ。
     母に襲いかかる少年に僕は飛びかかった。そして包丁を持った手を必死で抑える。揉み合いの末、僕は犯人と共に勢いよく地面に倒れた。
     グサッ! 何かが刺さるなまめかしい音がする。「うっ・・・」と女の人が苦しむ声が聞こえた。
    なんと包丁が刺さり、血まみれになった母が悲痛な叫びをあげている。
     僕はその時ハッとした。犯人のもう一人はまだ捕まっていないという。もしかして、と手がブルブルと震える。僕は怖くなってその場から逃げてしまった。

  • #24

    山口倫可 (木曜日, 03 7月 2014 00:23)

    「悲しきチョウチンアンコウ」

    ボクは、子どもの頃から彼女が好きだった。
    ディズニーの漫画みたいに、ず~とず~と
    このまま、恋人同士でいたかった。

    でも、それはできない。
    なぜなら、二人の愛の結晶を作るには、
    ボクは存在を消すことが必要なんだ。

    生殖の時期が来た。
    時は刻々と過ぎていく。

    どうすればいいんだ。
    多分、彼女のことも、家族のことも、
    もう、わからなくなるかもしれない。

    美しい彼女を見つけたオス達が騒ぎ始めた。
    出会うことさえ希な世界。
    みんな必死だ。

    ボクは決断した。
    大好きな彼女と一緒に愛の結晶を残そう。

    ボクは彼女の一番大事な部分にそっと近づき
    他のオスに負けないよう、逸早く同化した。
    聞こえるかどうかわからないような小さな声で、
    「愛してるよ」と叫びながら…。

  • #23

    山内たま (月曜日, 30 6月 2014 23:50)

    「父の教え」
    本当ならお金をだまし取った彼女からの連絡を待ちたい。しかし、それはできない。
    なぜならば、あのお金は僕が大学院へ行くために、田舎の父が送ってきくれた大事な学費なのだ。
    同じバイト先で働くフリーターの彼女に大金を貸し、それっきり連絡がとれなくなった。もちろん、彼女は無断欠勤中。
    時間が刻々とすぎていく。僕はどうすればいいんだ。
    バイトの控え室で一緒だった彼女が、今日中に借金を返さないと取り立てのヤクザが実家にいってしまうと言い、何の疑いもなく現金を引き出し、貸してしまった。
    僕は山深い小さな村で育ち、人は信じるものだと父から教わった。困った人がいれば、助けるのが村では当たり前だった。
    あれから一週間経ち、周囲が騒ぎ始めた。
    店長が警察に被害届を出すようにと駅前の交番へ連れて行ってくれた。
    入り口に立っていたベテラン巡査員に声をかけようとした、その時、山仕事で日焼けした皺の深い父の笑顔が脳裏をよぎった。
    “人は信じるものだ”
    「どうかされましたか?」というベテラン巡査員に、「いえ、何も」と笑顔で踵を返した。

  • #22

    山口倫可 (月曜日, 30 6月 2014 21:03)

    「老愛」
    本当なら、カヨさんと一緒に暮らしたい。
    しかし、それはできない。
    なぜなら、私はもう85歳という高齢であり、
    彼女と付き合っていることを話せば
    息子たちは、財産目当てと勘違いするからだ。

    時間は刻々と過ぎていく。わたしはどうすればいいんだ。
    カヨさんは、決して美人ではない。
    むしろ地味なお婆さんという印象をみな受けるだろう。
    なぜ私が、彼女に惹かれたのか?
    彼女の声や包み込むような笑顔や優しさが
    初恋の人にそっくりだったのだ。

    あと何年生きられるかわからない。
    この想いを伝えぬまま死にたくはない。

    ある夜、息子達が私を老人ホームに入れる相談をヒソヒソとしていた。
    私は決めた。
    加代さんに告白して、一緒に暮らそう。

    だが、彼女は私の申し出を聞いたあと、
    にっこりと笑って、こう言った。
    「ありがとう。でも、やっぱり私達お友達でいましょう」

  • #21

    蘭子(佐藤晶子) (月曜日, 30 6月 2014 11:22)

    本当ならこののんびりした暮らしの中で子供を出産したい。
    しかし、それは簡単には決断できない。
    だって、お腹の子は夫の子じゃない可能性が強いから。

    時間は刻々とすぎていく。私はどうすればいいのだろう。
    今回の子は諦め中絶をして、再び夫との子を作るのが一番良いのは判っている。
    だけど私はすでに40歳を過ぎている。
    不妊クリニックで検査をし、妊娠する確率がとても低いことも知っている。

    2ヶ月前日本に帰国した私は、Facebookで繋がっていた高校時代の同級生達の、飲み会に参加した。

    もうお分かりだろう。
    相手はかつての同級生。高校時代の彼だ。
    高齢で初めての妊娠は、悪阻より眠気が激しく、このところ毎日トロトロと眠ってばかりいた。
    その様子を見て、姑を始めとする近所の女達が騒ぎだした。
    「マサミはベビーができたんじゃないか?」と。
    「いいえ、きっと違いますよ。最近仕事が忙しかったのでちょっと疲れて・・・」

    いつまでもこんな言い訳は通用しないだろう。
    しかし、どっちの子かは産まれてみないと判らない。
    日本人そのものだったら高校時代の彼の子。
    クルクルとした頭髪に、褐色の肌ならジャマイカ人の夫の子だ。

    なんとかなるさ!
    いつの間にか私も、ジャマイカ人のような思考になってきたようだ。
    「ノープロブレム」
    ジャマイカ人の口癖を真似しながら、今日は夫に妊娠を告げることに決めた。

  • #20

    秋カスミ(佐藤亜矢子) (月曜日, 30 6月 2014 00:17)

    『5歳の決断』
    本当ならば明日ボクは保育園に行きたい。しかし、それはできない。
    なぜならば「みずぼうそう」ってやつにかかってしまったからだ。
    時間は刻々とすぎていく。ボクはどうすればいいんだ。
    明日は保育園最後の運動会。この日のためにボクはがんばってきた。
    ボクは早く治すためなら薬も嫌がらず飲んだし、おとなしくもしていた。
    でも赤いポツポツがまだカサブタにならないんだ。
    あぁ、明日休んだら、きっと一生後悔するにちがいない。

    周囲が騒ぎはじめた。予行練習で、ボクがいない場合の、お遊戯の動きを練習し始めた。

    ボクは決めた。
    もう立派なコドモ、年長さんなんだ。運動会はあきらめて潔く休む。
    決めた後、涙がいっぱい出た。

    一年後、小学校初めての運動会。万全の態勢で徒競走のスタートに今立っている。

  • #19

    夏来 みか(戸部みか) (日曜日, 29 6月 2014 20:52)

    「ゴーストライター」

    本当なら、私があの、ミリオンセラーになった小説を
    書いたということを言いたい。

    しかし、それはできない。
    なぜならば、契約書に、
    私が書いたという事の守秘義務がかかれていて、
    家族にでも、秘密をばらしてしまったら、
    印税をもらえるどころか、
    一億円を超える違約金を、払わなければならないからだ。

    そんなお金はどこにもない。

    時間は刻々とすぎていく。私はどうすればいいんだ。

    作家がテレビに出る、インタビューを受ける、
    時代の寵児となっていくすがたを、私は苦々しい気持ちで見ていた。

    周囲が騒ぎ始めた。
    「作家が小説の内容を知らないようだ」

    私は決めた。
    放送されている、テレビ局に電話し、
    洗いざらい全てを明らかにしてやる。

  • #18

    佐伯 悠河(小林亜紀) (日曜日, 29 6月 2014 20:06)

    「決断の時」

    本当ならこの数値を公表してしまいたい。しかし、それはできない。
    なぜならば、パニックが起きるだろうからだ。
    時間は刻々と過ぎていく。私はどうすればいいんだ。

    このまま黙っていたら被害は広まるばかりだ。何らかの対策が必要なのだ。しかし、パニックが起きたら抑えきれるのか。別の大きな被害が出るのではないか。悩みは尽きず、出口は見えない。
    周囲が騒ぎ始めた。公表賛成派と反対派の対立がいよいよ深刻になってきたようだ。遅かれ早かれ、衝突が起きるだろう。責任者として、この事態をただ見ているだけでいいのか。

    私は決めた。放射性物質拡散データを公表する。パニックにはできる限りの予防措置を取ろう。
    すべての責任は、私が取る。

  • #17

    高山雄大(髙荷一良) (土曜日, 28 6月 2014 17:44)

    「嘘」

    彼女に会いに行こうと友人はしきりに誘う。
    しかし、その誘いにのることはできない。
    なぜならば、自分の嘘がばれてしまうからだ。

    大学生の夏、その友人と沖縄に出かけた時の話だ。見渡す限りの空と透き通る海を前にして2人とも開放感に浸っていた。海辺で遊ぶ人たちを眺めながら会話を楽しんでいた私たちであったが、1人の女性が隣に座った時から様相があやしくなった。私は頃合いを見計らって声をかけた。
    最初は警戒されたのか会話がぎこちなかったが、次第に打ちとけるようになり、再会を約束してそのまま別れた。
    帰郷してからというもの、友人は沖縄の女性が気になるらしく、しきりに電話しろと言う。自分でかければいいだろうと突き放したが、俺は口下手だからダメだの一点張りだ。

    時間は刻々とすぎていく。私はどうすればいいんだ。
    ある時、ふと思いついて私は友人がそばにいない時ダイヤルしてみた。すると思いのほか簡単につながった。少しとりとめのない話をつづけた後、思わぬ言葉が彼女の口から発せられた。
    「あなた、また沖縄に来て。今度は1人で」

    周囲が騒ぎ始めた。
    友人は大学で夏の出来事を吹聴して回っていた。
    「おまえ、一緒に行って仲をとりもってやれよ」
    興味本位にはやし立てられても困るんだ。
    自分一人で出かけて親密になっているなんて口が裂けても言えない。

    私は決めた。
    今まで嘘をついたことがないなんて言わない。コミュニケーションの潤滑油の側面もある。でも今回の嘘は自分で自分を許すことが出来ない。正直に言おう。言って謝ろう。

    友人は、私が告白する直前、交通事故で亡くなった。
    私は決して自己弁護のつもりで語っているのではない。どうにか言葉で表現できるようになっただけである。友人が亡くなって15年がたった。



  • #16

    まりこ (土曜日, 28 6月 2014 02:04)

    ごめんなさい。訂正をお願いします。
    私の小説の最後の段落に「ホーム」という語を重複して書いてしまいました。先の方を削除してください。
      ↓
    3月30日、ホームを動き出した新幹線はホームに立つ母をあっという間に後ろに追いやった。お母さん、頑張るすけ、待っとってね、私はつぶやいた。(重複している文)
    ↓↓

    3月30日、動き出した新幹線はホームに立つ母をあっという間に後ろに追いやった。お母さん、頑張るすけ、待っとってね、私はつぶやいた

  • #15

    まりこ (土曜日, 28 6月 2014 02:01)

    3月30日、ホームを動き出した新幹線はホームに立つ母をあっという間に後ろに追いやった。お母さん、頑張るすけ、待っとってね、私はつぶやいた。

  • #14

    鵜養真彩巳 (金曜日, 27 6月 2014 23:59)

    「理想の姿」

    本当なら菜食主義者になりたい。しかし、それはできない。なぜならばそれは一般的に非常識と言われているからだ。
    時間が刻々と過ぎていく。自分の理想の姿から目を逸らし、このまま肉を食べ続けてもいいのだろうか。罪悪感が頭をもたげつつ、今日も肉、明日も肉と続いていく。
    しかしある日、がまんできずに草を食べ始めた。
    仲間が騒ぎ始める。
    「ねえ、どうしたの!気は確か?」
    「私達が取ってきたものが、食べられないっていうの!?」
    「そんなものを食べたって、腹の足しになんかならないわよ。」
    もう自分を偽ることはしない。私は固く決心した。
    「もうこれ以上、生き物たちの命をいただいて生きることは、私にはできない。すまない。」
    仲間に向かって頭を下げる私を見て、隣のグループのリーダーがせせら笑った。
    「おいおい、やっぱりコイツ、頭がおかしいぜ!ライオンの風上にもおけねえよなあ

  • #13

    岡田那津子(おかだなつこ) (月曜日, 23 6月 2014 13:04)

    『ある研究者の独白』

    本当ならあの論文をなかったことにしたい。
    しかし、それはできない。なぜならばもう、世界の人たちが世紀の発見だとはやし立ててしまっているからだ。

    時間は刻々と過ぎていく。私はどうすればいい?私一人だけ責任をとって死ぬ?いつのまにか私は悪女のようないわれ方だ。でも、私だけの責任なの?私たちは確かに実験に成功したのに。確かにあの論文の成果は存在するのに。

    そう確かに存在するのよ。でも、もっともっと検証するべきだった。でも、でも、世紀の発見のこの現象を少しでも自分の名誉に利用したい権力者達は、論文の発表をただただ急がせた。次の出世レースを有利にしたいが為に。でも、彼らだけのせいじゃない。科学の世界は、一番最初でないと意味をなさない。最初に発表しないと、何の意味もない。だから、私も、私たちチームも、焦りすぎていたのだ。世紀の発見を世に知らしめることを。


    周囲が騒ぎ始めた。実験の再現ができないと。マスコミも騒ぎ始めた。私たちがうそつきだと。科学界の権威を失墜させたと責め立てる。再現できないっていうけど、私は何回も成功したの。してるのよ。再現できない方が無能なんじゃないの?ちょっとしたコツの違いなのに。でも今私が反論も証明もできる場所がない。味方も、いない。

    でも・・・。

    私は決めた。あの論文は取り下げない。

    記者会見を開こう。場所は私の実験室。あの無知なくせに人を攻め続けることだけは達者なレポーター陣も、自分で実験をしたことがないくせにライターとか名乗ってる輩も、再現ができないことを得意げに自慢する研究者たちも、全部実験室に呼んで目の前で再現してやる。無数のカメラを証拠に世界中に本当にあるんだと見せつけてやる。

    私は、絶対に成功する。科学の神様は絶対に私に味方する。私の研究者生命をかけて、私は絶対に成功させてやる。

  • #12

    林夏子 (日曜日, 22 6月 2014 22:04)

    【帰郷】
    本当なら田舎のある九州に帰って、一人で暮らす年老いた母と一緒に暮らしたい。
    しかし、それはできない。
    なぜならば私は小さいながらも東京で会社を経営しているし、妻や子どもは都会の暮らししか知らないからだ。
    時間は刻々とすぎていく。私はどうすればいいんだ。
    瞼を閉じると故郷の真っ青な海と潮風、母の優しい笑顔が浮かんだ。還暦を過ぎて故郷が恋しいと思った。
    友人に「離れて暮らしていて盆と正月だけにしか会わなければ、ご高齢のお母さんと過ごせる時間はあと数日だよ。」と言われた。
    私は決めた。
    会社はずっと右腕として支えてくれた男に譲ることにした。
    妻とは時間をかけてゆっくり話し合い、母と同居することを快諾してくれた。
    息子はもう、成人している。あいつは大丈夫だ。
    私は来月、母の元へ帰郷する。

  • #11

    マーガレット花摘(石井真紀子) (日曜日, 22 6月 2014 20:59)


    『嫁と姑』

    また姑が夕食前に子供たちにおやつをあげていた。
    子育てに対する考え方の違いや、日々の価値観のずれに、私ははもう我慢ができなくなっていた。

    本当なら姑と別居したい。
    しかしそれはできない。
    単身赴任中の夫に、姑の話をしても「お前が悪いんだろう」といわれてしまっていた。また別居の話を持ち出せば追い出されてしまうかもしれない。
    姑も姑で、『嫁の悪口』を言っていることは想像できる。夫は姑の味方だろうと、私はあきらめていた。
    夫が帰ってきたら本当に追い出されてしまうかもしれない。その前に子供を連れて出ていってしまおうか?
    だが、最近始めたばかりのパートの収入では一人で暮らしていくので精一杯だろう。

    時は刻々とすぎていく。私はどうすればいいんだ。
    夫から、夏物の服が送られてきた。帰ってくる準備をしているのだ。

    周囲が騒ぎ始めた。
    母「だから結婚しても仕事は続けなさいって言ったじゃないの」
    友人「いつまで我慢するつもりなの?子供つれて出てくなら今しかないじゃないの」
    姑「あら、今日も仕事?毎日お忙しいことで」

    私は決めた。まずは一人で出ていこう。
    姑との関係も、夫との関係も、離れて頭を冷やしたら少しかわるかもしれない。








  • #10

    まりこ(神田まり子) (土曜日, 21 6月 2014 06:09)

    『東京』
      ↓

  • #9

    まりこ(神田まり子) (土曜日, 21 6月 2014 06:06)

    本当なら私も東京に行きたい。東京の美大で学びたい。新しい風が吹いている東京で学びたい。しかしそれは出来ない。なぜなら新潟に母を一人残して行くことになるからだ。第一、美大は学費が高く母子家庭の我が家の経済状態では苦しいだろう。
    時間は刻々と過ぎていく。私はどうすればいいのか。このまま新潟の大学の英文科あたりに進学し、新潟の会社に就職し、新潟の人と結婚するのかな。一生新潟で暮らしていくのかな。でもそれだって、母に経済的な苦労をかけるのだ。
    周囲が騒ぎ始めた。クラスメートが次々に東京の専門学校や大学に願書を出し始めた。親友のさおりは東京の私大、メグは東京の専門学校だと言う。
    私は決めた。新潟の大学に進学しよう。母を残して行けない。   
    担任の先生に話した翌日の夜だ。母が突然、東京に行きなさい、と言った。好きな美大を受けなさい、お金はなんとかなる、お前が夢を叶えることがお母さんの幸せだからと。担任の先生が母に話したのだ。私は嬉しいのと、ありがたいのと、切ないのとで、涙が止まらなかった。
    3月30日、ホームを動き出した新幹線はホームに立つ母をあっという間に後ろに追いやった。お母さん、頑張るすけ、待っとってね、私はつぶやいた。

  • #8

    星野ゆか (金曜日, 20 6月 2014 01:15)

    『告白』

    透は、外資系IT会社で働いている40歳の独身男性だ。
    本当なら、ひそかに恋心を抱いている京香に告白したい。
    しかし、それはできない。
    何故ならば、京香は透の優秀な部下だったからだ。
    透が働いている会社では、部署内恋愛が禁止されている。
    もし、京香に告白して振られてしまったら、今後の仕事に支障が出て『セクハラ』で訴えられる可能性もある。
    また、運よく京香と付き合うことができたとしても、部署内恋愛禁止のルールによりどちらかが他部署に異動させられる。
    京香は仕事ができるだけでなく、類まれなる美貌の持ち主だった。
    このまま告白しなかったら、やがて他の男性に彼女を奪われてしまうだろう。
    時間は刻々と過ぎていく。僕はどうすればいいんだ。
    透が告白を考えてから1ヶ月経ったある日、周囲が騒ぎだした。
    京香が突然、会社を辞めることになった。
    会社は引き留めたそうだが、誰も彼女が辞める理由を知らなかった。
    透は決めた。
    これで彼女に告白するリスクはなくなった。
    彼女が退社する日、透はありったけの想いを京香に伝えた。
    京香は微笑みながら、透に告げた。
    「透さん、ありがとう。気持ちはすごく嬉しいですが、あなたとお付き合いすることはできません。ごめんなさい。透さんにはお世話になりましたので、あなただけに打ち明けますが、私は社員ではありません。実は、管理職に支払う残業代をゼロにしてコストパフォーマンスを上げるために会社から極秘に雇われた『レンタルスーパー社員』だったのです。1週間前、残業代をゼロにする目的を達成できましたので、今日をもって任務終了となりました。透さん、今までありがとうございました。」
    京香の思いがけない告白に、透は呆然と立ち尽くした。
    頭が真っ白になっている透を尻目に京香は、その場を立ち去った。

  • #7

    翔一(篠木謙一) (火曜日, 17 6月 2014 23:49)

    「大事な『今』」
    本当なら1か月後の新人戦に向けて部活の練習がしたい。
    しかし、それはできない。
    より良い高校に進学するためにも、勉強しなけれければならないからだ。
    「今が大事な時だ。テニスなど社会人になってからでもできる。それに、どうせ負けるんだ。練習する時間があるのなら、将来のために勉強しろ」
    それが親父の考えだ。
    時間は刻々と過ぎていく。俺はどうしたらいいんだ。
    確かに今まで練習試合ですらまともに勝てたことはない。けど、だからって、初めから負けると諦めたくない。
    夕食の席で俺はしばらく大会に向けて練習したいと話した。それに対して親父は静かに告げる。
    「テニスなんかいつでもできる。どうせ負けるのだし、そんな時間があるのなら勉強していろ」
    頭に来た俺は両手を机に叩き付けた。思いもよらない行動に周囲が騒ぎ始めた。
    「俺にとって大事なのはそんな先の見えない未来じゃない。今なんだよ!」
    いつもと違う俺の言葉に親父は何も返さない。その態度に腹が立ち部屋を出ていこうとすると、背中から答えが返ってきた。
    「好きにしろ」
    その言葉通り、俺は部活の練習量を増やすことに決めた。
    その結果、大会で初めて勝利することができた。
    大会の後、中間テストに向けて俺は必死に勉強して、前回とほぼ同じくらいの成績を修めた。
    俺の頑張りを認めてくれた両親から勉強も頑張ることを条件に、部活にも力を入れてもいいと許可が出た。

  • #6

    高山雄大(髙荷一良) (日曜日, 15 6月 2014 22:46)

    「相談」

    本当なら今すぐにでも息子夫婦と同居するのがいい。それはわかっている。
    嬉しいことに嫁も歓迎してくれている。
    しかし、それはできない。
    なぜならば、倒れて入院中の妻を見捨てることになるからだ。

    時間は刻々と過ぎていく。わしはどうすればよいのだ。
    確かに入院してからというもの夜は毎日居酒屋通いだ。
    このまま焼き鳥食べて酒飲んで腹を満たす日々が続くのは悪くない。
    悪くはないが、面白くもない。

    そうこうするうち周囲が騒ぎ始めた。
    近所に住む姉が、食事は?風呂は?掃除は?と来るたびに世話を焼く。
    時折顔をだす妹は、「息子と暮らすのが兄さんにはいいのよ」と言って一人暮らしの不自由さを並べ立てる。
    「かわいとる、かわいとるよ、なぁ」
    気がついたら誰もいない部屋で何度もつぶやいていた。

    わしは決めた。
    こういう時は妻に相談するのがいちばんだ。迷った時は妻頼みだ。今までだってそうしてきた。これからだってそうだ。
    寝たきりになっている妻がこたえてくれるかどうかはわからないが…。

  • #5

    マーガレット花摘 (日曜日, 15 6月 2014 18:05)

    ↓タイトル『かわいい復讐』

  • #4

    マーガレット花摘(石井真紀子) (日曜日, 15 6月 2014 18:00)

    本当ならツール・ド・東北に参加したい。

    しかし、それはできない。
    なぜならば晴美も渋沢もそれに参加すると言っていたからだ。
    晴美とは大学のサイクリングサークルで知り合った。
    昨年はまだ就職活動中でエントリーするのはやめた。二人で「来年は一緒に参加しよう」と約束していた。ところが、今年に入り突然別れを切り出された。そして彼女は「渋沢くんと付き合う」と。
    渋沢はサイクリングサークルの一つ下の後輩だが、就職活動中のはずである。

    申し込みまであと一週間だ。時間は刻々とすぎていく。僕はどうしたらいいんだ。
    彼女にはもう会いたくない。サークルに行きづらくなったのはあいつらのせいなのだ。

    周囲が騒ぎ始めた。サークル仲間の山戸から『エントリーしたのか』とメールが来た。同じゼミの向田は気仙沼出身らしく、「一緒にいこうな」と声をかけてきた。

    僕は決めた。申し込みメールを送信した。
    晴美よりかわいい彼女を作って、応援にきてもらうことにした。二人に笑顔で手を振ってやるんだ。


  • #3

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014 19:11)


    『トゥアンの誓い』 

     ベトナムの少年、トゥアンは思った。
     本当なら、中国船を撃沈してやりたい。しかし、それはできない。なぜならば、戦争になるからだ。

     時間は刻々と過ぎていく。僕はどうすればいいんだ、とトゥアンは心の中で叫んだ。このまま中国の理不尽な領土拡大戦略を放っておくのはどうしても我慢ならない。

     周囲が騒ぎはじめた。
     もう戦争だ、今度こそ中国に思い知らせてやる、と若者たちがいきり立った。
     しかし、一方である老人が、膝から下のない脚をさすりながらこう言った。
    「戦争では、世の中は何もかわらない」

     トゥアンは決めた。
     これまで通りサッカーの練習に集中することを。そして、世界一のサッカー選手になって注目され、自分の言葉で世の中を変えていくのだと。

    (了)

  • #2

    浅加怜香 (土曜日, 14 6月 2014)

    『本気のダイエット』

    本当なら痩せたい。しかし、それはできない。
    なぜならお腹がすくとすぐに食べてしまうし、
    おいしそうなものを見たら誘惑に負けてしまい、
    つい買って食べてしまうからだ。
    時間は刻々と過ぎていく、
    私はどうすればいいんだ。

    このままだとぽっちゃりさん専用の洋服売り場で
    取り扱っているものしか入らなくなるかもしれない。

    周囲が騒ぎ始め出した。
    「もしかしたら、俺よりも体重が重いのではないのか?」
    と弟が言い出したのだ。
    私は決めた。プロに任せることにした。

    美容整形をして余分な脂肪は取ってもらう。
    美容整形で脂肪吸引をして失敗するリスクよりも、
    自己流ダイエットの失敗やリバウンドのリスクの方がはるかに高いと考えたからだ。

  • #1

    星野ゆか (土曜日, 14 6月 2014 00:33)

    『恐怖のライン』

    本当なら、この手にあるスマホの電源を切って一刻も早く寝たい。
    しかし、それはできない。
    何故ならば、鬼ボスからLINEのメッセージが来たら10分以内に返信するルールがあるからだ。
    鬼ボスは、樹幸が働いてる投信会社の上司である。
    もし10分以内に返信しなかったり、返信をしないまま寝てしまったら鬼ボスの機嫌を損ねてしまう。
    鬼ボスの機嫌を損ねた社員は、彼女の権限で会社をクビになるのだ。
    そのため、鬼ボスから「寝る」というメッセージが来るまで、樹幸は眠りにつくことができない。
    既に深夜2時を過ぎているが、鬼ボスからメッセージは来ない。
    強力なミントガムを噛みながら何とか眠気を紛らわしているが、勝手に瞼がおりてしまう。自分の意思ではどうにもならない眠気が、樹幸の身体を襲う。
    時間は刻々とすぎていく。俺はどうすればいいんだ?
    このまま寝てしまったら、鬼ボスの機嫌を損ねることは確実だ。
    やっとこの会社で働くことができたのに、鬼ボスの勝手な都合でクビになるのだけは絶対にごめんだ!クビになるなら鬼ボスも道連れにしないと俺の気がすまない。

    樹幸が冷蔵庫を開けたとき、周囲が騒ぎはじめた。
    同期の敏弘からLINEのメッセージが来た。
    「今すぐTVをみて!すごいニュース!」
    「深夜にニュース?」と怪しみながら、樹幸はTVの電源を入れた。
    ニュースの画面が現れた時、樹幸は「ウソだろ?」と目を丸くした。
    TVからは、次のような字幕が流れていた。
    『都内に住む38歳の女性が、マンションの屋上から突き落とされて死亡しました。被害者の名前は吉澤あやこ。容疑者は投信会社をクビになった元社員の男性5人で・・・』

    樹幸は決めた。
    スマホの電源を切り、TVと電気を消した。
    「どうりでメッセージが来なかったわけだ。ふっ。」
    樹幸を睡眠不足で悩ませていた鬼ボスは、ついにこの世からいなくなった。
    ようやくLINEの恐怖から解放された喜びをかみしめながら、樹幸は安らかな眠りについた。