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(6)緊張と緩和のテクニック

 怖くてたまらない。○○○○からだ。いったいどうしたことだろう。

 恐怖はさらに大きくなっていく。理由は、○○○○からだ。

 私は怒った。○○○○。すると、○○○○。

 私は悲しくなった。○○○○からだ。

 そのとき、○○○○。

 

 

 

【文章例】

 怖くてたまらない。目が覚めたらベッドに縛り付けられていて、身動きがとれなかったからだ。いったいどうしたことだろう。

 恐怖はさらに大きくなっていく。理由は、チェーンソーを持った大男が現れて「ヘヘヘヘっ」と笑いながらわたしに近づいてくるからだ。

 私は怒った。「バカ野郎、近づくな。あっちへ行け」怒りはマックスになる。私は怒鳴りつけてやった。身動きがとれないから、声を張り上げるしかなかった。すると、素直に大男は部屋を出て行った。

 私は悲しくなった。この3日間、ベッドに縛り付けられたまま一人ぼっちで、気が遠くなるほどの時間を過ごしたからだ。

 そのとき、大男が現れてこう言った。

「だから、3日前にチェーンソーでそのロープを切ってあげようと思ったのに」

(了)(318w)

 

 

 

コメント: 24
  • #24

    あいけん (月曜日, 07 7月 2014 21:58)

    『無情な世界』
     
     怖くてたまらない。ここの住人達は無表情で、まるでロボットのようだ。いったいどうしたことだろう。
     恐怖はさらに大きくなっていく。ここの住人達には感情というものが欠落しているように見えたからだ。肩がぶつかっても、まったく気にしない。
     人通りの多い交差点を通った時だった。ドーンと鈍い音がして、目の前で白いワンピースを来た女性が宙を舞った。女性が車にはねられたようだった。
     しかし、道行く人はおろか、女性をはねた車の運転手までも、それを気にも止める事なく平然としている。はねられた女性は道に倒れたまま動かない。
     僕は反射的に女性の元に駆け寄った。声をかけたが反応がない。口元に耳を当ててみると既に呼吸は止まっていた。
     早く救急車を呼ばなくちゃ。しかし、誰も見向きもしない。いったいどうなっているんだここは。
     私は怒った。
     「このままじゃこの女の人が死んじゃいますよ。誰か、救急車を早く呼んでください」
     しかし、依然としてここの住人達は僕とその女性の横を見向きもせずに通り過ぎていく。
     僕は悲しくなった。なんで誰も助けようとしないんだ。なんと無情なな人々だろうか。僕は道路の真ん中で、女性に心臓マッサージと、人口呼吸を始めた。
     その時だった。後ろからゴーッというけたたましい音が聞こえて来る。そしてそれはクレッシェンドのように大きくなっていった。
     振り向いて僕は愕然とした。なんと大型トラックがこちらに突っ込んで来るではないか。クラクションもなく、スピードを緩めることもなく突っ込んでくる。
    「あぁぁぁ!!!」
     気がつくと僕はビルの屋上にいた。そして全てを思い出した。僕が人間関係に疲れ、ビルから身を投げようとした事。そして人間関係のない世界に行きたいと願った事を。しかし今、僕ははっきりとこう言える。僕はこの世界で生きたい、と。

  • #23

    まりこ (水曜日, 02 7月 2014 23:42)

    「崖」

    私は崖の道を歩いていた。怖くてたまらない。道がどんどん細くなっていくのだ。どうしてこんな道を歩いていかなければならないのだろう。ザリザリっと道から砂が落ちる。恐怖はさらに大きくなっていく。崖下から吹き上げてくる風が強くなってきたからだ。「ゴォッー、ゴォツー」と風の音がする。吹いてくる風に吹き飛ばされそうだ。私は怒った。何で、こんな道を歩かなければいけないんだ。もう引き返そう。私は来た道を戻り始めた。するとどうだろう。「ピチュピチュッ」と向こうから何者かが変な音を立てながらこちらに向かってくるのだ。何者だろう。人間ではないな。私は悲しくなった。進むことも引き返すこともできない。「ゴォッー」「ピチュピチュ」私は二つの音の中にうずくまった。その時、「ゴオオォッ」強い風が襲ってきた。私は空中に舞い上がり、崖下に落ちていった。

    いつもの夢で目が覚めた。「ゴオォッ、ピチュピチュ、ゴオォッ、ピチュピチュ」隣で夫が規則正しくいびきをかいていた。私は夫をそっと押した。夫はごろりと横を向いた。いびきはぴたりと止まった。私はいつものようにまた眠りに落ちていった。

  • #22

    浅加怜香 (水曜日, 02 7月 2014 06:22)

    『起死回生の思いつき』

    怖くてたまらない。明日までに闇金業者に
    借金を返さないけないからだ。
    いったいどうしたことだろう。
    恐怖はさらに大きくなっていく。
    理由は、連帯保証人になってしまったからだ。

    私は怒った。「綾子の借金なんだから
    私に請求するのはおかしいでしょ!」
    すると借金取りは、「借りた本人が逃げた場合、
    お前に支払ってもらう」
    と言ってきた。親友の綾子だから連帯保証人になったのに逃げるなんて……。

    私は悲しくなった。700万なんて払えない。
    本人さえ見つかれば……。あっ! 私はひらめいた。
    そして電話をした。「もしもし。渡辺です。
    啓二君にお願いがあるの……」

    次の日、私は啓二君が住むアパートの前へ行き、
    死角になる場所に隠れた。
    数分後、黒塗りの車がアパートの前に止まった。
    車のドアが開くと、闇金業者が出てきて、啓二君が住んでいる部屋に行った。
    怒鳴り声の中、綾子は車の中へ無理やり乗せられ連れて行かれた。

    啓二君は綾子の彼氏で、そこに逃げ込んでいると思った。案の上その通りで、
    「綾子にどうしても会わせたい人がいるから、
    15時に啓二君の家に居て欲しい。このことは綾子には内緒にしてね」
    と電話で言っておいたのだ。

  • #21

    山内たま (月曜日, 30 6月 2014 23:59)

    「懺悔」
    怖くてたまらない。
    今朝、リビングに置いてあった妻の鞄が落ちていて拾った時、身動きが取れなかった。いったいどういうことだろう。
    恐怖はさらにおおきくなっていく。理由は鞄に離婚届が入っていたからだ。
    私は怒った。ユミとの浮気がバレたのか?あの女が妻にチクったのか?お互いの生活を壊さないようにと承諾した関係だったのに。すると、子どもが欲しいから別れたいと言ったユミの言葉を思い出した。犯人は彼女ではないだろう。では、なぜ妻は離婚をしたいのだろうか。
    私は悲しくなった。早期退職をして妻と世界旅行へ行こうと思い、この一年は休日も仕事をし、ストレス発散のため若い女と遊んでいた。妻に何もしてあげなかったのだ。自業自得だ。
    その時、妻がリビングに入ってきた。
    「あら、鞄落ちてた?嫌だ〜、何みてんの!勘違いしないでよ。お母さんに頼まれたの。いやね〜熟年離婚なんて…」

  • #20

    翔一(篠木謙一) (月曜日, 30 6月 2014 23:54)

    「僕のヒーロー」

    怖くてたまらない。知らない大人に腕をつかまれて引っ張られているからだ。いったいどうしたことだろう。恐怖はさらに大きくなっていく。理由は刑務所に連れていかれると思ったからだ。
    僕は怒った。
    「放して!」
    腕を振りほどこうとした。すると、さらに強く腕をつかまれる。
    僕は悲しくなった。一緒に来たお父さんにごめんなさいと言わなきゃいけないと思ったからだ。
    そのとき、正面のステージに立っていた人が僕に近づいてきた。仮面ライダーだ。腕をつかんでいる大人に何か話し、僕が手に持っていたカメラをその人に渡した。写真をとってもいいということだ。
    嬉しかった。涙が出そうだったけど、我慢した。笑われたくなかったからだ。
    こうして僕は、憧れの仮面ライダーと写真を撮ることができた。

  • #19

    dainosuque (月曜日, 30 6月 2014 23:12)

     怖くてたまらない。これから見も知らない人間と殴り合うからだ。いったいどうしたことだろう。
     恐怖はさらに大きくなっていく。理由は、僕の相手が見えた。顔面狂気のようだったからだ。
     私は怒った。「なんで俺があんな怖そうな奴と殴りあわなきゃならないんだ。
    絶対あいつは警察に何度も捕まっている」すると、渡しの対戦相手は泣き出し、他の人と交代した。
     私は悲しくなった。私の年老いた父親に対戦相手が代わったからだ。
     そのとき、「こいやベイベー」と言い、父親は華麗なステップを踏みシャドーボクシングを始めた。父親のパンチが早すぎて見えなかった。

  • #18

    星野ゆか (月曜日, 30 6月 2014 22:35)

    『1/3の確率』

    ケンは、どのボタンを押すか悩んでいた。
    怖くてたまらない。
    大好きな恋人と一緒になるには、恋人の父親が経営するカジノで勝負に挑み、勝たなければならないからだ。
    父親が提案したゲームは、次のようなものだ。
    ケンの前には3つの扉がある。
    そのうち、1つの扉には恋人のペットがいる。残りの扉は2億の小切手がある。
    扉を選んだら、扉と同じマークのボタンを押す。
    恋人のペットがいる扉を選ぶことができたら、ケンの勝利となる。
    唯一のヒントは彼女から渡された1枚の紙だが、暗号だらけで全く解読できない。
    恐怖はさらに大きくなっていく。
    もし、はずれの扉を選んだら恋人と別れなければいけないから。
    彼女と一生会えなくなるなら、死んだほうがマシだ。
    ケンは怒りを感じた。『この暗号は何なんだ?全然ヒントになっていないじゃないか!ルリは本当に僕を愛しているのか?』
    半信半疑になったケンは、父親と一緒に座っている恋人を見た。
    ケンは悲しくなった。
    恋人はケンと視線を合わせないまま、ずっとボタンを見つめているからだ。
    『ルリは僕と一緒になりたくないのか?お父さんに何か言われているだけなのか?』
    希望と絶望が交錯する中、ケンは暗号を解くため1枚の紙と格闘した。
    するとケンは、彼女が一心にあるものを見ていることに気が付いた。
    彼女の視線の先にあるものを見たケンは、突然ひらめいた。
    ケンは、迷わず星マークのボタンを押した。
    いよいよ星の扉が開いた。ケンは祈りながら、扉の先を見つめた。
    ケンが選んだ扉の先には、回し車に乗ったハムスターが走っていた。
    ケンはゲームに勝利したのだ。
    ルリはケンのもとへ駆け寄り、キスした。
    「ケンさん、ありがとう!あなたを信じてよかった。今まで私に求婚した人たちは私よりお金が入った扉を選んだの。もちろん私を裏切った人たちはパパの特権で処刑したけれど。ウフッ。」
    彼女の父親は、ホッとした表情で2人を見つめていた。

  • #17

    岡田那津子(おかだなつこ) (月曜日, 30 6月 2014 22:21)

    「本当の償いはこれから」

    怖くてたまらない。まもなく記者会見がはじまるからだ。いったいどうしたことだろう。恐怖はさらに大きくなっていく。理由は私は不正を行った当事者として徹底的に糾弾され、その後は逮捕されることが間違いないからだ。

    俺は怒った。俺は不正なんてしていない。会社の命令で新薬の臨床データを集めていただけだ。そのデータを不正改ざんして世間を欺いたのは上司や上役の連中だ。「俺じゃない!」何度言っても誰も聞いてくれやしなかった。

    俺は悲しくなった。社内ではもう、白い目で見られるどころか、存在さえ無視されている。俺が集めた「データ」の「せい」で大勢の人が死んでいることは確かだからだ。そう、俺が集めていた臨床データが不正に改ざんされて重篤な副作用を隠した結果、たくさんの人の命を奪ったことには間違いがないからだ。

    もうすぐ、記者会見が始まる、そのときだった。

    警察が踏み込んできた。あぁ、会見の前に捕まるのか。それはそれで、少し気が楽だ。信じてもらえるかもらえないかはもう関係なく、洗いざらい話してやる。すると、刑事は俺の前を通り過ぎ、憮然とした表情の俺の上司と上役連中の前に仁王立ちを、逮捕状を突きつけた。

    「アルファ製薬株式会社 専務取締役 佐藤雅美、常務執行役員 斉藤良平、第二営業部長 海老原大介 臨床データ不正改ざんによる薬事法違反及び、過失致死の疑いで逮捕状が出ています」

    そう告げると、刑事は俺の方に振り向いた。

    「高橋さん、災難でしたね。私たちの調べであなたはなにもしていないということは十分にわかっています。今後の捜査にはあなたの証言が必要です。ご協力いただけますか?」

    俺は大きくうなずいた。俺は、徹底的に洗いざらい、話してしてやる。それが俺にできる、亡くなった人たちへのせめてもの償いだからだ。

  • #16

    マーガレット花摘(石井真紀子) (月曜日, 30 6月 2014 22:05)

    怖くてたまらない。授業が始まると言うのに、塾にきたら、生徒が半数も休んでいたからだ。いったいどうしたことだろう。

    恐怖はさらに大きくなっていく。理由は、誰かがぼそぼそと「インフルエンザじゃないか?」と言ったからだ。

     僕は怒った。「こんな大事な時期に何を言うんだ!」。すると、僕の携帯にメールが入った。弟からだった『インフルエンザになりました。』

     僕は悲しくなった。去年大事な時にインフルエンザにかかり、受験に失敗したからだ。

     そのとき、先生がマスクをして入ってきた。
    「体調の悪い者は申し出なさい」
    そう言った先生が一番体調が悪そうだった。
    僕はちょっと迷ったが手を挙げた。
    「うつりたくないので帰ります」
    さすがに弟は部屋から出てこないだろう。外にいるよりは安全だ。
    先生を遠巻にして避ける。そして教室を飛び出した。

  • #15

    夏来 みか(戸部みか) (日曜日, 29 6月 2014 21:09)

    「話せばわかる」
     怖くてたまらない。
    私は、知らない男に追いかけられているからだ。

    いったいどうしたことだろう。
    恐怖はさらに大きくなっていく。
    理由は、お巡りさんも加わって、 私を追いかけてくるからだ。

    私は怒った。「なんで私のこと追いかけるのよ。追いかけないでよ」
    すると、男達は言った。「とにかく、待て」

    私は悲しくなった。お巡りさんにまで追いかけられているのに、
    誰も助けてくれないからだ。

    そのとき、男につかまってしまった。
    「このお財布。あなたのでしょ。落とされましたよ」

  • #14

    佐伯 悠河(小林亜紀) (日曜日, 29 6月 2014 20:24)

    「孤島にて」

    怖くてたまらない。見知らぬ土地にただ一人、置き去りにされたからだ。いったいどうしたことだろう。
    恐怖はさらに大きくなっていく。ここは無人島だ。水も食料もない。身一つで取り残されてしまったのだ。
    私は怒った。私を置き去りにした船の連中に対する怒りは収まらない。なんてろくでなしだ、血も涙もない連中だ!
    私は悲しくなった。私はここで一人寂しくのたれ死にしてしまうに違いない。
    そのとき、沖合からボートがやってくるのが見えた。
    「すまねえ!お前が降りたのを誰も気付かなかったんだよ。遅くなったが、迎えに来たぜ」
    私は安堵のあまり、その場にへなへなと崩れ落ちてしまった。
    「ほら、しっかりしな。次からクソは外じゃなく、船内でしろよ」

  • #13

    岡田那津子(おかだなつこ) (日曜日, 29 6月 2014 11:53)

    「30mの恐怖」

    怖くてたまらない。
    高さ30m、あと一歩踏み出してしまえば地面へ真っ逆さまになってしまう場所に立たされているからだ。

    恐怖はさらに大きくなっていく。理由は見知らぬ大きな男が背中を小突き続ける。その男は退路をその大きな体でふさいでしまって
    一切の逃げ場はない。

    私は怒った。

    「押さないで!やめてよ!!!!落ちるっ!やめてっ!」

    それでもその男はにやりと笑いながら「知らねーよ」と言わんばかりに相変わらず背中を小突く。

    「とっとと落ちろよ。」

    そんな顔をしてニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


    私は悲しくなった。どんなに怒っても、叫んでも、そもそも彼には日本語が通じないからだ。

    もう終わりだ。終わりなんだ。どんなに怒っても、叫んでも。たとえ泣いても。
    男はにやにやしながら鼻歌を歌っていながら、私の背中を小突く。

    その時、彼が楽しそうな声を出して私の背中を今までの中で一番強い力で背中を押され、抵抗むなしく私の体は宙に舞った。

    「きゃぁあああああああああああああああああ!」

    ありったけの声を出したけど、誰も助けてくれない。

    すると私の体は重力に逆らい何度か上へ下へと跳ね上がった後、太いゴムバンドに吊るされたままの状態になった。
    その瞬間、「じゃんけんで負けた方がバンジーな」といった彼氏を本気で呪った。あとで思いっきり蹴り飛ばしてやるんだから。

  • #12

    蘭子(佐藤晶子) (日曜日, 29 6月 2014 09:48)

    「絶体絶命」

    怖くてたまらない。
    眼下には激しい水しぶきをあげる滝壷が見える。

    恐怖はさらに大きくなっていく。
    寒くは無いのに震えが止まらない。
    このまま落ちたら、もちろん助かる見込みはないだろう。
    それなのに男は、私に早くしろとせっつく。
    私は怒った。
    待てよ!最後に心の準備をさせてくれたっていいじゃないか。

    すると男が馬鹿にしたように薄笑いを浮かべる。

    私は悲しくなった。まだ何も成し遂げていないからだ。
    今日までの命と分かっていたら、今まで先送りしにしてきたことが全て悔やまれる。

    そのとき、
    「さぁ○○企業の皆さ〜ん。いよいよ研修のクライマックス、滝行を始めますよ〜。早く降りてきてくださ〜い。大丈夫ですよ、この程度のチョロチョロ滝。子供や女性も平気で浴びてますから」
    インストラクターの若い女性が明るく言った。

    子供のころ溺れかかって、水が怖いとはさっきの同期はもちろん誰にも言えなかったのだ。
    体調が悪いと言って休めば良かった・・・。

  • #11

    星野ゆか (土曜日, 28 6月 2014 20:02)

    『ジャングル』

    ふと目が覚めると、そこは檻の中だった。
    怖くてたまらない。
    檻は広い高原の真ん中にポツンと置かれていた。
    それだけでなく、檻の周りを野生動物がゆうゆうと歩いているからだ。
    いったいどうしたことだろう。

    恐怖はさらに大きくなっていく。
    理由は、檻の前にいる2頭のライオンが座ったまま僕を凝視しているからだ。
    僕は怒った。「誰だ!僕をこんなところに閉じ込めたのは!もう分かったから、出てこい!」
    僕の声がこだまするだけで、人の気配さえ感じられない。
    すると、ライオンはこだまする声に反応したのか、さらに唸り声を上げて檻に近づいてきた。

    僕は悲しくなった。
    周りに助けを求めても、野生動物がいるだけだ。誰も助けてくれないだろう。
    ライオンを威嚇するために怒鳴ったとしても逆効果だろう。
    ライオンに檻を壊され、食い殺されるのは時間の問題だからだ。
    僕は死を覚悟して、目を閉じた。
    絶望を感じたとき、突然眩しい光が差し込んだ。
    僕が目を開けると、TVのスタッフらしき人が立っていた。
    「そこまで~!こんにちは~TASの番組です。実は『強面の俳優が突然、ジャングルの檻に閉じ込められたらどうするか?』を撮影させていただいていました~。このライオンですが、実はライオンではありません。人間がライオンの被り物に入っていました。怖かったでしょ?怖い思いをさせてすみません。でもドッキリは、大成功です!」
    僕は何が起こったか理解できないまま、あっけにとられていた。
    そんな僕を前に、見覚えのある俳優がライオンの被り物を持ちながら「ひどく驚かせてしまい、申し訳ありません!」と謝罪していた。

  • #10

    鵜養真彩巳 (土曜日, 28 6月 2014 00:08)

    「女か トラか」

    ジョンは、マフィアの娘ジーナと恋に落ちた。固く愛を誓った二人だが、ボスの父・マリオにみつかると、ジョンはマリオの屋敷に捕らえられてしまった。彼は怖くてたまらない。これから何をされるのか。
    地下室に連れて行かれると、目の前にドアが二つあった。天窓からジーナとマリオが覗き込み、ジョンにこう告げた。
    「さて、このままお前を殺してもよいのだが、お前にチャンスをやろう。片方の部屋には人喰いトラが、もう片方には女が入っている。好きなほうを選べ。」
    ジョンの恐怖はさらに大きくなった。トラを選べば、無論彼の命はない。しかし、確立は二分の一。
     「このゲームは娘からの提案だ。女を選べば命だけは助けてやろう。」
    ジョンの恐怖は怒りに変わった。
    (ジーナは俺に生きろと言っているのか?それとも喰い殺されろというのか?)
    ふとジーナをみると、彼女は目配せをして左の箱を選ぶよう合図をしている。
    ジョンは、彼女の意図がわからず絶望した。果たして彼女を信じてよいのか?
    「・・・右のドアにする。」
    ジョンは自分の直感を信じた。
    右のドアを開けると、向こうには美しい女性が微笑んでいる。
    「命拾いをしたな。その女はくれてやるから、二度と娘に近づくな。」

    父マリオの言葉を聞きながら、その時ジーナは無表情でジョンを見下ろしていた。
    全てはジーナの復讐だった。ジョンの浮気に気付いた彼女は、腹いせにこんなゲームを仕組んだのだ。
    「ジョンのヤツ、食い殺されればよかったのに。やっぱり本当にトラを仕込んでおくべきだったわ。」

  • #9

    山口倫可 (火曜日, 24 6月 2014 21:31)

    「予言」

    怖くてたまらなかった。
    その人は、急に近づいてきたからだ。
    いったいどうしたことだろう。
    恐怖はさらに大きくなっていった。
    理由は、彼女は私の顔を覗き込み「ふふふふ…」と低く笑い始めたからだ。

    私は怒った。いったいなんなの?気味が悪いからどっか行って!
    すると彼女はますます不敵な笑みを浮かべた。

    私は悲しくなった。
    笑われる要素が私にあるような気がしてきたからだ。

    そのとき、彼女が言った。
    「3年後、運命的な人と出逢うわ、あなた。そして、その人に支配されることになるの。ご愁傷様ふふふふふ・・・」

    ハネムーンの夜、隣に眠る夫の顔を見ていたら
    そのときの記憶がふいに甦り、私は恐怖におののいた。

  • #8

    山口倫可 (火曜日, 24 6月 2014 21:17)

    「情報」

    怖くてたまらない。
    大地震で原発で爆発事故が起きたからだ。
    いったいどうしたことだろう。
    恐怖はさらに大きくなっていく。
    理由は、ネットで放射能が大量に漏れ始めたと噂が流れ始めたからだ。

    私は怒った。早くなんとかしないと益々汚染が広がる。
    すると、放射能漏れはないとテレビが言い始めた。

    私は悲しくなった。
    50年先、100年先に生きる
    子供達のことを考えていないじゃないか。

    そのとき、過去に大きな原発事故があった国から
    私のところにホットラインが入った。
    「放射能汚染を食い止める方法が一つだけある」と

    ラジオの私は、出来るだけ多くの人に聞いて欲しいと思いながら
    その情報を人々に伝えた。

  • #7

    山口倫可 (火曜日, 24 6月 2014 21:03)

    「人生」

    怖くてたまらない。
    夢からさめたら崖っぷちに立たされていたからだ。
    いったいどうしたことだろう。
    恐怖はさらに大きくなっていく。
    理由は、風が強く吹き始めたからだ。

    私は怒った。なぜこんな場所に立たされているんだ。
    すると、足元の石ころが一つコロコロと転がり、
    次の瞬間、眼科に見える雲海の中に吸い込まれていった。

    私は悲しくなった。
    なんでこんなところに、独りぼっちで立たされているんだ。
    私もあの石ころと同じように谷底に堕ちるしかないのか?

    そのとき、雲海が割れ、
    目にも止まらぬ速さで、何かがこちらにやって来た。

    きんとん棒を持った孫悟空だった。
    「和尚、またせたな!さあ、また楽しい旅にでようぜ‼︎」

  • #6

    林夏子 (月曜日, 23 6月 2014 10:55)

    【領収書】
    怖くてたまらない。夫のスーツのポケットから赤坂の高級イタリアンレストランの領収書が出てきたからだ。金額は5万円。夫は接待があるような仕事ではない。行くとしたらプライベートで女性と行ったのではないだろうか。真面目な夫がいったいどうしたことだろう。
    恐怖はさらに大きくなっていく。理由は、私は夫より8歳も年上で、最近並んで歩いていると姉と弟のように見えることも気になっている。レストランに行ったお相手はきっと若い女性に違いない。
    私は怒った。私が年上なのを気にしてプロポーズを受けるか躊躇した時、「きみがおばさんになっても絶対に若い子がいいなんて思わない」って誓ったじゃないの。
    私は悲しくなった。結婚して15年間良い妻であろうと私は精一杯努力してきたつもりだったからだ。
    そのとき、夫が帰宅した。私は夫に領収書を突きつけた。
    「そのレストランで課長の送別会をした時、あとで割り勘にするからと自分が立て替えたんだよ。」
    「じゃあ、2人で5万円じゃなくて、10人で5万円ってなのね~。赤坂にしてはずいぶんリーズナブルなお店ねぇ。」私はひとりごちた。

  • #5

    高山雄大(髙荷一良) (金曜日, 20 6月 2014 20:18)

    「タロウのお使い」

    怖くてたまらない。
    これから足腰の弱った桃ちゃんを連れて行かなければならないからだ。石ころにつまずいて骨折でもされたらどうしよう。

    恐怖はさらに大きくなっていく。
    理由は、そんな桃ちゃんと一緒にサルやシカやタヌキのいる山を越えて隣村に行かなければならないからだ。もしかしたらクマが出てくるかもしれない。襲われたらどうしよう。

    ボクは怒った。
    「何で僕が桃ちゃんを連れていかなければならないんだ。ボクだけなら走りに走って隣村に行けるのに」
    するとボクの怒りを察したかのようにお母さんが頭を撫でてくれた。撫でてくれたのは良かったけどそのあとボクをじっと見つめて
    「しっかり働くのよ」
    と言ってお尻をポンポンと叩いた。

    ボクは悲しくなった。
    もし山でクマに出くわしたらどうしよう。ボクと桃ちゃんは死んでしまうかもしれない。死んでしまったら大好きな散歩に行けなくなるなぁ。優しいお母さんに抱きつけなくなるのもいやだなぁ」

    その時、
    たくましいご主人が玄関に現れた。
    「さぁ、行くぞ、タロウ。これからお前の好きな鶏肉を仕入れにいこうな。お前と行くのが俺の楽しみなんだ。帰って来たらお前にもたくさんやるぞ」
    なぁんだ、桃は桃でもご主人の桃太郎さんの方だったのか。桃衛門爺さんとばっかり思ってた。
    タロウは思いきりシッポを振って一目散に飛び出していった。




  • #4

    敷布団 (木曜日, 19 6月 2014 21:42)

    「雷の落としどころ」

     怖い怖い怖い、部署内の空気はピリピリと張りつめていた。
     入社したばかりの新人が、部長に向かってタメ口で話しているからだ。
     部長は今どきめずらしいほどの厳格な雷親父。
     部長に雷を落とされ、会社を辞めた新人も1人や2人ではない。
     新人が部長の肩をバシバシ叩いて笑った。
     部長が怒っていることが、後ろから見ていてもわかる。
    「マジ、ヤバいっすよぉ」
     と、新人が言った。
     この言葉に、俺は冷や汗をかいた。部長はこの手の若者言葉が大嫌いなのだ。
     ヤバいのはお前だ! 俺はそう言ってやりたかったが、黙っていた。とばっちりを受けてはたまらないからだ。
     他の者も同様の考えのようで、部長と新人の周りから避難している。
     周りの様子に気づけ! 空気読んでくれ! 俺は心の中で叫んだ。泣きたいような笑いたいような気持ちだった。
     やっかいな新人が入ったものだ……。
     そのとき、次長が入ってきた。
    「やあ、片桐くん」
    「あ、次長」
     部長が姿勢を正して次長に向き直った。
     部長は次長に恩があり、頭があがらないのだ。
     次長が、にこやかに部長に語りかけた。
    「どうだね、息子は」
    「ああ、はい。なかなか見所があり、先が楽しみで……」
    「おいおいオヤジィ、わざわざ見にくんなよぉ」
     この新人、次長の子どもかよ! そういえば苗字が同じだなと、俺は気づいた。
     通りで雷を落とさないわけだ……。
    「顔を引きつらせてる部長は笑えたな」
     会社の帰り、同僚と入った飲み屋で俺は笑って言った。
     しかし同僚は、浮かない顔だ。
    「どうしたよ。面白くなかったか?」
     すると同僚は言った。
    「お前わかってんの? これから先、あの新人に落とせない雷がこっちにくるかもしれないんだぞ?」
    「あ……」

  • #3

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014 19:51)


    『飛行機』 

     私は緊張していた。
     やはり飛行機なんかに乗るんじゃなかった。極度の高所恐怖症なのだ。しかし、今さら降りようにも、すでに離陸していた。

     体はガチガチに固くなっていた。
     背中と胸は汗ビッショリで肌着がピッタリはり付いている。私は俯いたまま足がガクガク震え出した。  
     あーっ、このままだと失禁しかねない。

     心の中はパニックだ。
     家族の顔、友人の顔がメリーゴーランドのように頭の中で回っている。やり残した仕事、作りかけの豪華客船の模型。あーっ、心残りだ。これじゃあ、死んでも死にきれない。

     そのとき耳元で、とても穏やかで甘い女性の声が囁いた。
    「お客様、どうかなさいましたか?」
     その声の魅力にひかれておもむろに顔を上げると、少し腰をかがめてこちらを見ているCAがいた。私は彼女のあまりの美しさに、我を忘れてシートにくぎ付けになった。そして、にわかに平静を取り戻した。
     彼女と一緒に死ねるならそれも本望だ、と私は思った。

    (了)

  • #2

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014)


    『結婚式のスピーチ』

     私は緊張していた。
     結婚式のスピーチなんてやっぱり断るんだった。

     体はガチガチに固くなっていた。
     掌と腋の下は汗でびっしょり、しかし喉はカラカラだった。ビールの注がれたグラスを取ろうとした手がガタガタ震えてうまくつかめない。

     心のなかはパニックだ。覚えたはずのスピーチの内容がさっぱり思い出せない。通常だったらアドリブで何とでもしのげる。しかし結婚式の場合、使ってはいけないタブーの言葉がたくさんある。あー、何を言っても不吉な言葉が出てきそうで不安だ。

     そのとき司会者がこう言った。
    「あのー、ご覧の通りの状態ですが、スピーチなさいますか?」
     冷静になって周りを見ると、会場はもう完全に大宴会モードに入っていた。新郎はすでに酔いつぶれてテーブルに突っ伏している。新婦はというと、そのテーブルの後ろでバケツにゲーゲー吐いていた。
     私は司会者に「やめときます」と言い、そしてコップのビールを一気に飲み干した。

    (了)

  • #1

    関根 雅史 (筆名:石賀 次樹) (土曜日, 14 6月 2014 19:48)


    『フルコースディナー』

     私は緊張していた。
     なぜかって、一番の得意先の社長から、三ツ星レストランでのフルコースディナーに招待されたからだ。私は居酒屋での接待は得意だった。しかし、西洋料理のマナーなどこれまで全く身に着けてこなかった。当日粗相でもしたらこれまでの努力が台無しだ。

     体はガチガチに固くなっていた。
     付け焼刃だが、事前にフランス料理のマナーガイドブックは熟読しておいた。だが、いざ席に着くと、並べられたナイフとフォークの内側外側のどちらから先に使うのかさえ思い出せない。

     心の中はパニックだ。
     料理が運ばれてきた。周りの人たちは上手にナイフとフォークを使って食べ始める。しまった、彼等が内側と外側のどっちを使ったのか見逃した。私はナイフとフォークに触れることさえできない。
     不謹慎だとは感じながら、ここで大地震でも起きてくれないかと願っていた。

     そのとき社長が店の従業員にこう言った。
    「すみません、箸もらえませんか?」
     すぐにギャルソンと呼ばれている人が箸をもってくる。
    「他に箸使う人います?」と社長が周りに聞いた。
     私は目一杯の平静さを装って言う。
    「それでは、私も箸でご一緒させていただきます」

    (了)