持たない幸福論

『持たない幸福論』pha


著者は、京大卒の「日本一有名なニート」と呼ばれているpha(ファ)さん。


著者は、28歳の時にふと

「インターネットがあれば仕事を辞めても孤独にならないし、

暇つぶしにも困らないし、

ある程度の収入も得られるんじゃないか」


と気づいて会社を辞めてしまいます。


以後、本書が出版されるまでの8年間、

定職を持たずふらふらした生活をしているのです。


年収は100万円前後。

ブログを書いたり、

サイトを作ったり、

古本やデジタル機器を安く手に入れて、

ネットで売ったり、

ときどき文章を書いて原稿料をもらったりして、

生活しているのだそうです。


シェアハウスに住んでいるので、

家賃は安あがり。


和歌山県の山奥に

家賃が月額5,000円という古民家を

友人と共同で借りてときどき遊びに行くという

シェア別荘を持っていると言います。



現代は生きるのがつらそうな人たちがいっぱいいます。



「会社でうまく働けなくてつらい」


「薄給なのに仕事がきつくてつらい」


「職がみつからなくてつらい」


「結婚したいけど相手が見つからなくてつらい」


「結婚したけどうまくいってなくてつらい」


「子育てで疲れ果ててつらい」


「親の介護も負担が大きくてつらい」


「家族と仲が悪くてつらい」


「自分が抱えている病気でつらい」


などなど。



この社会はなんでこんなにみんなしんどそうなんだろう?


と著者は問いかけます。


今の日本で生きるのがつらい人が多い原因は、

単純にお金がないという問題よりも、


社会を取り巻いている意識や価値観の問題が大きいと思うと、

著者は言うのです。


今の社会では、

生きていると、

常に、

外から内からプレッシャーをかけられていると感じるのだ。


「大学を出て新卒で正社員で就職しないと一生苦労するぞ」


「ちゃんと働かないと年をとったらホームレスになるしかないぞ」


「X歳までに結婚してX歳までに子供をつくらないと負け組」


「仕事も家庭も子育ても、大人なら完璧にこなせるのが当然」


「人生が苦しいのは自己責任、真面目に頑張っていればそうはならないはず」


そんなプレッシャーが社会全体に漂っているのです。


しかも、それをうまくこなせず「普通」から外れてしまった人を

カバーしてくれるようなセーフティネット的な仕組みがありません。



著者のように30代半ばになっても貧乏で定職にもつかず、

家族もつくらずにふらふら暮らしていると、


将来のことに不安に感じないのだろうか?


著者はこう言います。



「もし何か困った状態になったとしても、

ある程度までなら友人を頼ればなんとかなりそうな気もするし、

それでどうにもならないような事態なら、

仕方ないとあきらめるしかないなと思う。


どうにもならなかったら死ぬだけだ。

心配なのは死ぬときに潔くサックリ死ねるかどうかということだろうか」



著者のような生き方は極端な感じがします。


たしかに、「生きるのがつらい」と感じるようになったら、

いったん現在の生活を辞めて

著者のような生き方に避難するのもありでしょう。


しかし、元気になったら、

また第一線に戻って働くのがいいんじゃないでしょうか?


「ニート生活」と「仕事生活」を行ったり来たりするという

生き方もあっていいんじゃないかなぁ。


半年働いて、半年遊ぶ

という生活もアリだし、


そういうふうに、

生き方が多様化しているってことでしょうね。



(高橋フミアキ)