われら5行詩クラブ


『5月中旬』


僅かな若草を食む蝦夷鹿がいる。
知床半島横断のドライブが始まった。
峠の見晴らし台は猛吹雪。
麓を目指して、ひたすら走る。
麓には水芭蕉が咲き、遅い春の訪れである。

 

 

(斉藤さん)


『雲の上』

遠くに初冠雪の富士山が見える。
眼下の小諸の町並みは見えない。
ピンクの絨毯が一面に広がっている。
朝日に照らされた雲海とともに、高峰高原の一日が始まる。
小枝の雪がパサりと落ちた。

 

 

(斉藤さん)


『里の目覚め』

小鳥の鳴き声が聞こえる。
早い朝の目覚め。
窓を開けると鳴き声が止み、一瞬の静けさ。
小鳥たちが慌ただしく飛び立つ。
皐月の白い花から朝露がこぼれる。

 

 

(斉藤さん)


『花見とピザ』

 

赤い帽子のピザ屋の配達員が、

井の頭公園の注文客との待ち合わせ場所を探している。

グレーのリクルートスーツの幹事さんが

まだ似合わないピザ屋の到着を

不安そうに待っていた。

 

(工藤瑞江)


『屋形船と桜』

 

ごうごうと音を立てて屋形船が白濁した波をたてる。


桜の花びらははらりはらりと空中を漂っている。

 

じゅうじゅうと焼ける音と香ばしい煙が胃を刺激する。

 

佃島公園に溢れる笑顔は酒とともに濃いピンク色になっていく。

 

花びらはユラユラと波の上で気持ちよさそうだ。

 

(有賀 亮)

 


 

『ピエロと桜』

 

公園の入り口、

 

子供たちに囲まれた赤い鼻のピエロが

 

ピンク色のバルーンをふくらましている。

 

子供たちの黒く大きな瞳は、

 

「何ができるんだろう」という好奇心できらきらしていた。

 

(渡邉 勝)


携帯ゲーム機とサラリーマン

蒸し暑い夜、生田駅近くの坂道を

紺のスーツを着た男が一人歩く

黒色の携帯ゲーム機を手にしながら、

煌々と光る液晶画面をまじまじと見つめる

道の右側の屏で囲われた屋敷からセミの鳴き声が響いた

(甲田希一)


世界の銀座 

 

カルチエのシックな金色。シャネルの粋な黒。並び立つビル。

 

白い日傘にレースの手袋を添えて、ワンピのお嬢さんが通り過ぎる。

 

「銀座らん月」から出てきた中年太りのサラリーマン二人組。

 

肉定食の後のチューインガムをくちゃくちゃ。。。

 

ほっ!和光の時計台の鐘が正午を知らせた。お口直しのように響く。                                    (橘)


『月夜』

 

浅草で買った江戸切子の赤い御猪口を片手に、

 

公園に面した3階の部屋の電気を消して窓際の椅子に腰掛ける。

 

時計の針が動く音しか聞こえない午前零時。

 

透明な焼酎の仄かな芋の香りを味わいながら

 

電線の間に浮かぶ満月の数を確認する。

 

(haru)


「夕方の風景」

 

赤い夕日と夕焼け雲に街が染まる。

 

部活帰りでへとへとになって歩く女子中学生。

 

ラーメン屋台の車が音楽を鳴らして近ついてくる。

 

豚骨の香りにグウとなるお腹。ジュワっと口に広がる涎。

 

すれ違いざま、運転する茶髪の青年がニヤリと笑う。

 

(てんし)


『マンデーナイト』

中国琴が細いメロディを奏でる麻布十番の富麗華

柔らかなクリーム色のソファー席に座り

サンローランのローズピンクのネイルの指で

口へと運ぶパリパリの北京ダック

甘い醤油の香りとキュウリのグリーンの爽やかさに癒されて

(haru)

「南青山骨董通り 月曜日、朝8時34分」

手作りパンの店、木村屋。紺色のスーツを着た細身の若い男性。

ガラスケース一番上の棚を指さす。「カレーパンください」よく通る低い声。

黒い革財布から取り出された小銭。男性の骨っぽい細長い指にはさまれた後、

熟した桃のようにぽってりとしたおばちゃんの手のひらのくぼみに着地。 「ありがとうございました」

チャリン、ビシッ。レジ奥の暗闇に収まる。

(Tracy)

『駅前のバス乗り場』

緑色の都バスが鳴らすクラクション。

ハ-ハ-息せき切って、バスに飛び乗る金髪少女。

少女のおさげ髪に揺れるピンクのリボン。

ほんのりと乗り場に残るシャンプーの香り。

思わずつられて乗り込む黒い背広のサラリーマン。

(SHIMOKAWA)

『河』

夜の山手通りに雨が降る

雨水に覆われた艶やかな路面には

車や信号機 看板などのカラフルな光が映りこむ

涙を流す空に星はなく

地上に落ちた天の川が揺れる

(May)

『明治通り』

 

原宿へ向かう人の波

 

ひときわ目立つ水色の髪

 

たっぷりとしたレースの服

 

彼女の足首にはキスマークのタトゥ

 

自己主張の追及と怖さ

 

 

(May)



『sepia』

 

ビルの2階のひっそりとしたカフェ

 

JazzyなBGM漂う珈琲の香り

 

色の薄い煉瓦が無造作に積まれた壁

 

壁の額縁に淡い照明が当たって、

 

オレンジ色の影が重なる

 

 

                    (May)