アメリカに潰された政治家たち

『アメリカに潰された政治家たち』(孫崎享)


日本はアメリカの属国だということはわかっていましたが、

これほどまで隷属させられていたのかと思うと

背筋が寒くなりました。


元外務省国際情報局の著者が言うことですから、

ほぼ間違いないでしょう。


戦後70年たった今も、

日本はアメリカの言いなりになっているのです。


日本の総理大臣はいったい誰が決めているのだろうと、

考えさせられました。


よくよく考えてみると、

アフガニスタンやイラクではアメリカ兵は撤退していますが、

日本はいまだにアメリカ兵が駐留していますよね。


この1点を見ただけでもゾっとします。


毎年、日本国民はその米軍基地の維持費を支払っているのですから。

いわば搾取されているようなものです。



本書にはアメリカに潰された12人の政治家たちを紹介しています。


1)鳩山一郎


2)石橋湛山


3)芦田均


4)重光葵


5)岸信介


6)佐藤栄作


7)田中角栄


8)竹下登


9)梶山静六


10)橋本龍太郎


11)小沢一郎


12)鳩山由紀夫


要は、

自主自立を貫こうとする政治家が失脚するということなんです。



田名角栄は、

中国との国交を回復した首相です。


その他、

世界の石油メジャーから石油を買うのではなく、

独自に石油ルートを作ろうとして失敗します。


中曽根は、この石油外交がアメリカの逆鱗に触れたのだと主張していますが、

著者は、


中国と日本が仲良くすることがアメリカの国益を害すると言っています。


ニクソン大統領の命を受けて日本にやってきたキッシンジャーは、

角栄と会談を要請するのですが、

角栄さんは


「なんでオレが補佐官と会わなきゃならないんだ」


といって断ります。

キッシンジャーは軽井沢の別荘にまで押しかけて、


「日中国交正常化を延期して欲しい」


と頼むのですが、

角栄は一蹴したのです。


その後、ロッキード事件が発覚し逮捕されます。

総理大臣経験者が逮捕監禁されるなんて、

前代未聞のことでした。


関係者が次々と変死する不可解な事件で、

当初からアメリカ陰謀説がささやかれますが、

尻尾はつかめないままうやむやになってしまうのです。


角栄は最高裁判決が出る前に、

75歳で亡くなっています。



角栄の愛弟子だった小沢一郎は、

常にアメリカにマークされていました。


アメリカの諜報機関は情報をつかんだら、

いつでも切れるカードとしてストックしておきます。


そして、

ここぞというときに検察にリークするのです。


小沢の政治資金問題が出てきたのは、

小沢が「沖縄の在日米軍は不要だ」と発言したときでした。


そのとき、アメリカの諜報機関は3年以上も前の情報をリークしたのです。


この事件で小沢は民主党代表を辞任することになります。


あのまま行けば、

小沢は間違いなく首相になっていた政治家です。


結局、小沢の政治資金問題は決定的な証拠は見つからないまま不起訴になっています。


小沢は身の潔白を証明したわけですが、

マスコミが連日報道していて、

ダークなイメージが染みついていました。


そして力を失ってしまうのです。



鳩山由紀夫も自主自立路線を行く政治家でした。


鳩山は「日米同盟をまったく理解していない人間」と、

メディアから激しく非難されましたが、


実際は違います。



鳩山が言った「有事駐留」は突飛な考えでもなんでもありません。

占領時代の政治家でも米軍の撤退を主張していましたし、


在日米軍基地を縮小し整理するのは、

国民全員が望むことのはずです。


ところが、

マスコミに登場する批評家やコメンテーターは鳩山を変人扱いし、

国民もそのように認識しました。


鳩山がアメリカの逆鱗に触れたのは、

沖縄の普天間基地を県内の辺野古ではなく

「最低でも県外」と言ったことです。


政治家としてはまったく正しい行為だし、

その通りに行動したことも正しいと思います。


しかし、鳩山は、日米双方の関係者から総攻撃を受けるのです。


鳩山を攻撃した政治家や批評家は、

「予定通り沖縄県内の辺野古へ移転するべきだ」と主張します。


そんなこと国民の誰が望んだのでしょうか?


理由は「日米関係を壊すことになるから」とのことでした。


アメリカ側は工作どころか、

目に見える形で恫喝します。


ゲーツ国防長官が来日し、

「オバマ大統領が訪日するまでに解決しろ」と迫ります。



年内決着を先送りする方針を伝えたところ、

ルース駐日大使は、顔を真っ赤にして大声を張り上げたと言うのです。


鳩山はひとり県外移転のために動いているのに、


外務省も防衛省も官邸も誰も動こうとしません。


日本の首相よりも、アメリカの意向を優先するという異常事態が

あのとき起きていたのです。


鳩山は、

「東アジア共同体構想」といって、

日本がアメリカ一辺倒ではなく、

中国や韓国、台湾など、

東アジアに外交や経済の軸足を移すという構想を持っていました。


しかし、

アメリカは日本が独自に中国と関係を強化することを許しません。

鳩山政権はわずか9か月で辞任に追い込まれてしまいました。



「在日米軍基地の削減」と

「対中国関係で日本が先行すること」が、

アメリカを激怒させます。


このトラの尾を踏んだ政治家が失脚させられるのです。


アメリカの諜報機関は民意を操作することに長けています。


日本国民がみんな騙されているのです。

マスコミも含めて・・・。


大事なのは民意です。


国民が意志をはっきりして、

アメリカにノーと言えばいいのです。


そうすれば、

はっきりとアメリカにノーと言ってくれる政治家があらわれます。


民意が変われば、政治も変わるのです!


著者はそう強調しています。



久しぶりに熱い本を読みました!


(高橋フミアキ)